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キマダラカメムシ

キマダラカメムシの写真

写真ギャラリー

2齢幼虫

卵のアップ

孵化(ふか)が近づいた卵

孵化するとまずは共生菌カプセルへまっしぐら

孵化した幼虫の顔

順番に吸い終わってちょっと落ち着いてきました

卵の周りにきれいに並びます

時間が経つと赤色に変わります

卵の殻。黒いのは卵蓋破砕機(らんがいはさいき)です。

集まっている2齢幼虫達

脱皮したては不思議な印象でお菓子みたい

脱皮殻

大きく成長した幼虫

キマダラカメムシの成虫の交尾

成虫

カメムシ科まとめ 亀虫図鑑

キマダラカメムシってどんな虫?

中国から入ってきたとされている、模様が派手な大型のカメムシです。
成虫の体には黄色い模様がたくさん入って、美しくも見えますが、おどろおどろしくも見えたりするデザインです。

九州から始まって、本州でもあちこち見られるようになってきたようで、最近では東京などの関東でも見つかるカメムシです。
私の住んでいる大阪では、サクラを始めとした色んな樹木で普通に見かけています。

幼虫も特徴的で、大きくなった幼虫を初めて見た時には、宇宙人みたいだと思いました!

カメムシ科

昆虫の分類にカメムシ目があります。その中に含まれる「カメムシ科」の昆虫のことで「キマダラカメムシ」はその一種になります。たくさんの種類がおり、アオクサカメムシやアカスジカメムシなどが知られています。

キマダラカメムシの特徴

成虫の体には黄色い小斑点が散らばっているのが特徴的で、一見クサギカメムシにも似ているのですが、黄色い紋の強さや、頭部や他の部分に入った黄色いスジもはっきりと入っているので、慣れたらすぐにわかります。

脚にも黄色い部分がはっきりと入るのも特徴の一つです。

成虫(交尾)

キマダラカメムシの写真
キマダラカメムシの成虫の交尾。

幼虫

1齢幼虫から2齢幼虫になった途端に大きく雰囲気が変わります。
そこから成虫になるまでは、写真のように濃い灰色に赤い斑点が入ったデザインをしています。

灰色に見えるのは黒い体に白っぽい毛がたくさん生えているからです。

キマダラカメムシの写真
大きくなったキマダラカメムシの幼虫。

キマダラカメムシの生態

食べ物や餌(エサ)

いろんな樹木について、その汁を吸っています。
サクラなどで見かけることが多いのですが、他の樹木でも見かけます。

大型のキマダラカメムシだからできるのか、硬い木の幹のところからも直接汁を吸ったりしています。

家で観察している時には、リンゴの汁や昆虫ゼリーなども食べていました。

キマダラカメムシの写真
キマダラカメムシの幼虫がゼリーにストロー状の口を当てています。
(ゼリーには細かい切れ込みをたくさん入れています。)

臭いにおい

カメムシの仲間の多くは臭腺(しゅうせん)と呼ばれる、臭いにおいを出す器官を持っており、キマダラカメムシも身の危険を感じると臭いにおいを出します。そのことから害虫の扱いを受けることもしばしば。(色んな種類の植物の汁を吸うので人によっては害虫になるかもですが。)
しかし、普通に観察しているだけなら臭くなったりしないので、優しく見守ってあげましょう。

成虫越冬

成虫で越冬します。

キマダラカメムシの成長

キマダラカメムシの成虫は交尾をすると、葉っぱの裏などに卵を生みます。
たまたまかもしれませんが、12個並べて産んでいることが多いように思います(違うのも見かけますが)。

キマダラカメムシの卵を拡大

孵化(ふか)の近づいた卵の様子です。
赤い部分が幼虫の目の部分ですが、起き上がりこぼしのような可愛さがあっていいですね!

上の丸い部分は卵蓋(らんがい)と呼ばれるフタがついています。
中に黒く見えるのが卵蓋破砕機(読み方:らんがいはさいき)と呼ばれる構造物で、それを缶切りのように使って中から出てきます。

キマダラカメムシの写真
卵のアップ。

共生菌カプセル

生まれた幼虫は、まずは親が残した共生菌カプセルを摂取します。
順番に生まれてきた幼虫は競うように、カプセルに群がっていきます。

キマダラカメムシの写真
12個並んだ卵。
はっきりとは見えないけど、卵の左の方の隙間に黒くなっているところが2箇所。そこに共生菌カプセルが残されています。
キマダラカメムシの写真
孵化した幼虫はこぞって共生菌カプセルを目指して群がっていきます。

共生菌カプセル

カメムシの中には産卵の際に、共生菌の入った排泄物を卵塊(らんかい)に添えておくものがいます。
それを共生菌カプセルと呼び、孵化した幼虫はそのカプセルから共生菌を摂取します。

成長に必要な共生菌を親から子へ受け継いでいるのですね。

生まれたばかりの幼虫

孵化した幼虫は、黄色い体色に黒い模様の入ったデザインです。
時間が経つと赤色に変わっていきます。

孵化したばかりの幼虫は、一生懸命に口を伸ばして親が残してくれた共生菌カプセルを摂取しますが、その後は一回目の脱皮をするまでじっとしています。

キマダラカメムシの写真
生まれたばかりの幼虫。赤いお目々と、まだ薄く黒い模様が特徴的です。
キマダラカメムシの写真
共生菌を摂取した幼虫は卵の外側に並んでいきます。
写真で吸っているのは少し出遅れた個体です。
キマダラカメムシの写真
孵化した後の卵の殻。
黒いのが卵蓋破砕機で、キマダラカメムシの卵には三角形のものがついています。

卵の周りに並ぶ1齢幼虫

キマダラカメムシの写真
共生菌カプセルはすっかりと吸いつくされて薄い茶色になっています(卵の左上の方)。
卵の周りに並んで可愛いですね。
キマダラカメムシの写真
3日経っても同じ場所でじっとしていました。体の色は赤くなってまるで違う種類みたいです。

脱皮した幼虫

ちらほらと黒い幼虫を見かけるようになりました。2齢幼虫です。
その中に玩具のような薄い赤色の個体を見つけました。
脱皮したばかりの時はとても不思議な雰囲気を持っています。

キマダラカメムシの写真
脱皮したばかりの時はこんな白赤デザインで透けています。体の中には泡のような構造が見えて不思議な印象です。
キマダラカメムシの写真
みんな2齢幼虫になりましたが、まだしばらくは群れています。この後1匹また1匹と生まれた場所から離れていきました。
キマダラカメムシの写真
一回脱皮しただけで、生まれたときとは全然違う姿になりました。

脱皮した抜け殻

脱皮した抜け殻がたくさん転がっていました。
こう見ると脚の長い印象ですね。

キマダラカメムシの写真
キマダラカメムシの脱皮殻。

成長した幼虫

2齢幼虫から5齢幼虫までは大きく印象は変わりません。
しかし、卵型のような丸っこい印象だった幼虫は、成長すると胸部のクビレがはっきりとしてきたり、赤い模様も強くなっていきます。

キマダラカメムシの写真
4齢か5齢の幼虫(たぶん5齢)。
幼虫のときから結構大きいので目立ちます。

成虫

成虫になると、名前にもついている黄色のマダラ模様が美しいカメムシになります。

キマダラカメムシの写真
キマダラカメムシの成虫

キマダラカメムシの分布や生息地

中国原産の外来種の昆虫で、九州の長崎から入ってきてから分布を広げてきたと考えられています。
初めて日本で発見されて新種記載された1783年の南蛮船の動きから、マカオ、ルソン(フィリピン)、ベトナムあたりが原産地としても考えられています。

今では、大阪でも公園や街路樹のサクラの木などで普通に見られ、現在も生息範囲を広げているようです。

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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