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コメツキムシ科とは?

コウチュウ目に含まれるグループで、日本では約800種類が知られています。
脚が短く、細長く扁平な体型をしていて、前胸が上下に曲がる構造が特徴的です。見た目はタマムシの仲間に似ていると言われることもあります。

ひっくり返った状態から跳ねる様子が有名な昆虫です。

コメツキムシに関しては、しっかりとした図鑑などは見たことがなく、昆虫全般を扱ったものや甲虫を特集したものなどで調べるのが中心になります。

コメツキムシ科の写真ギャラリー
Elateridae

※クリックすると各ページに飛べます。写真と詳しい説明があります。

名前の由来「米搗虫(こめつきむし)」

胸の部分から上下に曲がる構造のおかげで、仰向けにひっくり返された時には自分で飛び跳ねて元に戻ることができます。
その様子が、まるで米をついているかのように見えたところからコメツキムシ(米搗虫)と名付けられました。

コメツキムシを捕まえると、脚を閉じて米をつくような動きをするのでぜひ観察してみてください。

コメツキムシを英語で「Click beetle(クリック・ビートル)」

コメツキムシは英語で「Click beetle」と呼ばれます。
これは米をつくような動作と音からきています。

擬死行動、死んだふりから跳ねる昆虫

コメツキムシの仲間は、触ったり危険を感じると脚を閉じてすぐに死んだふりをするものが多いです。
ひっくり返った状態から、跳ねて起き上がる様子が観察できます。

コメツキムシの幼虫

コメツキムシの幼虫は色んな場所に生息しています。
その多くは土壌性で、土の中で腐植質を食べたり他の昆虫を捕えたりします。
農地で作物の根っこなどを食べるものなどもいるので、そういった種類は害虫にもなります。

他には朽ち木の中から見つかる幼虫もたくさんいます。
大きなアゴをもっているので、朽ち木の中で他の昆虫の幼虫などを捕えて食べているのだと思います。

コメツキムシの幼虫の頭部

コメツキムシの幼虫の写真
コメツキムシの一種の幼虫。
大きく鋭いアゴを持っており、他の昆虫を捕えて食べていると思われます。

色んな種類のコメツキムシの幼虫

朽ち木から出てきたコメツキムシの幼虫を紹介します。
細長く、鋭いアゴを持っているのが特徴的です。

コメツキムシの幼虫の写真
立ち枯れた木から出てきた。
細身で長い。
コメツキムシの幼虫の写真
朽ち木から。
コメツキムシの幼虫の写真
朽ち木から。
コメツキムシの幼虫の写真
朽ち木から。

大きなアゴと腹部のカギ

観察していたコメツキムシの幼虫にミルワームを与えたら、鋭いアゴで噛みつきました。
噛む力はなかなか強く、観察中に一度噛みつかれました・・・。
簡単にはずれないし、牙は皮膚を突き破るし、とても痛かったです。

お尻の先の方、腹部側にカギ状になった突起を持った種類もいるようです。
朽ち木の坑道で、獲物に引っ張られないように体を引っ掛ける役割がありそうです。

コメツキムシの幼虫の写真
ミルワームに噛みつきました。
コメツキムシの幼虫の写真
爪楊枝に引っ掛けてみたら、腹部の突起がよくわかりました。

コメツキムシの種類(亜科)

コメツキムシの仲間も種類が多いので、近い特徴を持ったものから更に「亜科」として分類されています。

  • コメツキムシ亜科 Elaterinae
  • ヒゲコメツキ亜科 Pityobiinae
  • オオヒゲコメツキ亜科 Oxynopterinae
  • ベニコメツキ亜科 Denticollinae
  • クシコメツキ亜科 Melanotinae
  • ミズギワコメツキ亜科 Negastrinae
  • ハナコメツキ亜科 Cardiophorinae
  • サビキコリ亜科 Pyrophorinae

コメツキムシの食べ物や餌(エサ)

コメツキムシは種類によって食べるものが違います。
植物食から肉食まで様々で、よくわかっていない種類も多いです。

わかっているものだと、樹液に集まる「クシヒゲコメツキ」「サビキコリ」「オオフタモンウバタマコメツキ」など。
花に集まる「キバネホソコメツキ」「ダイミョウコメツキ」など。
他の小昆虫などを捕らえる「ヒゲコメツキ」など。

農作物への被害(害虫の一面)

畑などで作物の根っこなどを食べてしまう幼虫などがおり「ハリガネムシ」と呼ばれて害虫の扱いになります。

農業でハリガネムシと呼ばれる害虫は10数種ほどが知られているようで、ジャガイモやサツマイモなどの根菜類、トウモロコシやムギなどイネ科の植物、マメ科の植物などでの被害が報告されているようです。

種類としては、マルクビクシコメツキ、クロクシコメツキ、コガネコメツキ、トビイロムナボソコメツキ、クロツヤハダコメツキなどが知られています。

被害がひどい場合は薬剤で害虫を退治・駆除したり、畑内に幼虫が入ってこないように溝を掘って侵入防止の対策が取られたりします。

明かりにつられて部屋に入ってくる?

たまに部屋の中でコメツキムシを見かけてびっくりすることがあるようです。
コメツキムシの中には光に集まる習性を持ったものがいます。
家の中で生活しているのではなく、そうやって光に集まる種類が夜中のうちに窓の明かりにやってきて部屋に入るのだと思います。

大きなコメツキムシ、小さいコメツキムシ

小さいものでは1mmほどのコメツキムシもいるそうです。(跳ねるのかな??)

大きいコメツキムシはパチンと跳ねる力も強く、観察したときの見ごたえも大きいです。
よく見られる大きな種類だと「ヒゲコメツキ」「オオフタモンウバタマコメツキ」「オオクシヒゲコメツキ」などが有名です。

コメツキムシの美麗種

コメツキムシは地味な種類も多いですが、とてもきれいな種類のものもいます。
与那国島に生息する「ノブオオアオコメツキ」は全身が光沢のある瑠璃色に輝いています。
「キンムネヒメカネコメツキ」は頭部と胸部が金属光沢のある赤色をしています。

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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