はじめに
この記事はアゲハチョウを実際に飼育してみた様子を写真を使って紹介したものです。
アゲハチョウの生態から、飼育観察した様子を卵から羽化して飛び立っていくまでがわかる内容になっています。
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はじめまして。昆虫写真家の村松です。
ムシミルは昆虫の写真を通して自然に関心を持つ人がたくさん増えるようにと運営しています。写真を使って昆虫の紹介をしたり、昆虫の「面白い!」に関心を持つ人が増えてほしいと思っているので、飼育などの記事も書いています。
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アゲハチョウと言えばどんなイメージを持っていますか?
春の蝶とか黄色い蝶とか色々浮かぶと思います。
幼虫はどうですか?
可愛い「目玉(めだま)模様」を知りませんか?
あの目玉模様を近くで観察したいと思って飼育を開始しました!
さぁ、かわいい目玉模様のイモムシに出会えるでしょうか。
まずは事前知識から。
アゲハチョウの一生
アゲハチョウはナミアゲハとも呼ばれます。完全変態の昆虫で、卵→幼虫→サナギ→成虫と大きくなっていき、オスとメスが出会って卵を産みます。
産卵から成虫になるまでの期間は2ヶ月程度かかりますが、タイミングを見れば自由研究にも良さそうですね!
「アゲハチョウ(ナミアゲハ)」と「キアゲハ」の違い
アゲハチョウを見てキアゲハと思う人がよくいるのですが、同じアゲハチョウの仲間でも違う種類です。
とても良く似ていて間違いやすいキアゲハですが、どんな違いがあるのか確認して間違えないようにしましょう!
模様の違い
・アゲハチョウは前翅のつけ根の模様が黒い筋状。
・キアゲハは前翅のつけ根に黒い模様があるが筋は入っていない。
羽の色の違い
・アゲハチョウは淡い黄色。(濃い個体もいる)
・キアゲハは黄色みが強い。(薄い個体もいる)
(※個体差があるので確実ではない)
幼虫の見た目の違い
・アゲハのイモムシは大きくなると特徴的な目玉模様。
・キアゲハのイモムシは縦筋の入ったしましまデザイン。
幼虫の食草(食べ物)の違い
・アゲハのイモムシは柑橘(かんきつ)系のミカンやサンショウなどのミカン科の植物。
・キアゲハのイモムシはニンジンやセリなどのセリ科の植物。
似ているチョウですが、幼虫の姿や食べるものなどを見ると、違うところがたくさんありますね。
アゲハ幼虫/イモムシの天敵
鳥やトカゲやカエルなど、昆虫を食料として狙う動物がたくさんいます。
同じ昆虫の仲間でも、肉食のハチやサシガメなどにも狙われます。
特に気をつけたいのは寄生蜂(きせいばち)や寄生蝿(きせいばえ)の仲間。
こいつらに卵を産み付けられると、中身を食べられてしまい成虫になることはありません。
以前飼育していたタイミングだと、蛹になる直前の前蛹の状態で寄生蜂がやってきていました。
アゲハチョウの見つけ方
アゲハチョウはよく見られる昆虫で、見つけるのはそんなに難しくはありません。
卵や幼虫
アゲハチョウの幼虫はミカン科の植物を食べて大きくなります。
ですからミカン科の植物を探してよく観察してみましょう。
特に柔らかそうな新芽が出ているところによく産み付けられています。
黄色い丸い粒がついていたらアゲハチョウの卵の可能性が高いです。
生まれたての幼虫は黒い体をしており、鳥の糞(ふん)に擬態(ぎたい)していると言われています。
そんな小さな幼虫を葉っぱの上で探してみるのもよいでしょう!新芽の近くに産卵されていることが多いので、若い幼虫は新芽の辺りで見つけることが多いですよ。
園芸店などで、外に出されているミカン科の植物の鉢などはアゲハチョウにとってもちょうど良い産卵場所です。
売り物に卵を産み付けられた園芸店としてはつらいかもしれませんが、そのような鉢をまるごと買ってきて観察するのも良いと思います。
成虫
成虫のアゲハチョウは色んな花に訪花してミツを吸うので花のたくさんあるところや公園などに行くと良いでしょう。
またミカン科の植物に産卵するので、産卵しそうなミカン科の植物の周りで待っているとアゲハチョウのメスが見つかるかもしれません。
ミカン科の植物の色々
ミカン(蜜柑)、レモン(檸檬)、キンカン(金柑)、サンショウ(山椒)、コブミカン、ポンカン、オレンジ、ユズ、グレープフルーツ、イヨカン、ハッサク、ライム、スダチ、カボスなど
アゲハイモムシの飼い方・飼育
餌(エサ)
ミカン科の植物の葉を食べます。
ミカンやレモン、オレンジなどの葉っぱを上げると良いでしょう。
飼育ケースで飼う場合
食草となる葉っぱを枝ごと取ってきて水に挿して入れておいてあげると長持ちします。
なくなる前に新しいものを入れてあげましょう。
瓶(ビン)に食草を挿してそのまま飼う方法
食草を瓶に挿してそのまま飼うこともできます。エサから離れることは基本的にはないので逃げ出すこともないでしょう。
糞(ふん)をするので、下にザルや新聞紙を引くなどの工夫は必要です。
鉢で飼う場合
鉢で丸ごと飼う場合は、鉢に水をあげるのを忘れないようにしましょう。
水が足りないと葉っぱが見るからにしおれてきます。しかし水をあげればまた復活します。
幼虫は大きくなってくるとかなりのペースで葉っぱを食べていきます。
小さい鉢だと丸坊主にされて、枯れてしまう可能性もあるので気をつけましょう。
室内に鉢を置く場合は、瓶のとき同様で糞(ふん)の掃除をするのに、下にザルや新聞紙を引いておくと良いですね。
外で飼う場合は、天敵に襲われる可能性があるので注意したいです。ネットで守るなどしてあげないと、気がついたらいなくなっている可能性があります。
ネットも目の細かいものを準備しておく必要があります。寄生蜂などはとても小さいので目が粗いとすり抜けて入ってきてしまうからです。
飼育の注意事項
・病気
様子がおかしくなったり、色がくすんできたりしたら病気の可能性があります。他の幼虫に影響が出ないうちに隔離しましょう。残念ですが、大抵の場合はそのまま死んでしまいます。
・農薬
農薬がかかっていないどうかは注意したいです。自宅で育てているものだと安心ですが、外からとってきたものだと農薬がついている可能性があり、それを食べた幼虫が死んでしまうかもしれません。
自宅のものであっても、近所で農薬を散布したものが飛んできている可能性もあるので、エサとして与えるものはできるだけ丁寧に洗ってあげたほうがよいです。
・寄生蜂
外で飼育する場合に寄生蜂(きせいばち)や寄生蝿(きせいばえ)にやられる可能性があります。目の細かいネットで守ってあげるか、室内での飼育のほうが安全です。
・水滴
ケースを密閉したりすると、ケース内に水滴ができることがります。まだ小さい幼虫の場合は溺れてしまう可能性があるので通気性はよくして飼ってあげてください。
・サナギになるとき
基本的に食草から離れることは無いのですが、サナギになるときだけは餌から離れてサナギになる場所を探しに行くことがあります。
幼虫が大きくなったら注意深く見守ってあげましょう。エサを食べなくなったり、からだの色が透き通ったような印象になったらサナギになる前兆かもしれません。
アゲハチョウ(ナミアゲハ)の飼育記録
卵を見つける
今回は卵を探すのに園芸店へ行ってきました!
そこで見つけたミカンの鉢を丁寧に一個ずつ見ていくと、、、、、ありました!
黄色い卵。アゲハチョウの卵です!
それを鉢ごと買って帰ることにしました。
金額は1500円ほどの鉢でした。
4/15 アゲハチョウの卵
4/24 アゲハチョウの1齢幼虫
卵の様子を確認しようと思ったら、幼虫になっていました!
鉢にネットをかけておく
生まれたばかりの幼虫は寄生されたりはあまりしないのですが、外に鉢を置いているので蜘蛛などに捕食される可能性もあります。
ですから、ネットをかけて保護しています。
隙間もありますが、ないよりはだいぶましでしょう!
4/26 アゲハチョウの1齢幼虫
大きくなったので2齢幼虫かと思いましたが、毛の感じなどを見る限りまだ1齢幼虫のようです。そろそろ2齢幼虫になるかな?
4/27 アゲハチョウの2齢幼虫
タイミングよく脱皮をしていました。皮を脱いだばかりですが、しばらく経つとこの皮は食べてしまいます。
5/4 アゲハチョウの3齢幼虫
一週間ほど経ったのですが、更に大きくなっています。どうやら3齢幼虫になっているようです!
アゲハチョウの4齢幼虫
5/11 アゲハチョウの終齢幼虫(しゅうれいようちゅう)
5/12 アゲハチョウの終齢幼虫(しゅうれいようちゅう)
イモムシの臭角(しゅうかく)
イモムシの食事
アゲハチョウの糞・うんち
5/13 アゲハチョウの蛹化(ようか)と終齢幼虫(しゅうれいようちゅう)
アゲハチョウの前蛹(ぜんよう)
5/14 アゲハチョウの蛹(サナギ)と終齢幼虫(しゅうれいようちゅう)
アゲハチョウの蛹(サナギ)
蛹になった時の脱皮殻
アゲハチョウの前蛹(ぜんよう)
5/15 アゲハチョウの蛹(サナギ)
5/24 アゲハチョウの羽化(うか)
最初に蛹になったチョウが羽化して成虫になりました!
羽化して成虫になったアゲハチョウ
サナギの脱皮殻
5/25 アゲハチョウの羽化(うか)
ケースの天井についていたサナギは、気がついたら落下していたので枝にくっつけてあげました。
アゲハチョウのサナギ(脱皮直前)
アゲハチョウのストロー状の口
アゲハチョウの羽のアップ。鱗粉(りんぷん)
アゲハチョウのおしっこ
5/26 アゲハチョウ(ナミアゲハ)
まとめ
4月の15日に卵を迎えてから5月の24~26日くらいに羽化していきました。産卵されたタイミングが正確にはわかりませんが、大体40日~50日くらいで成虫のアゲハチョウになるようですね!
サナギが落下するトラブルなどもありましたが、無事にみんな飛び立つことができてよかったです。野外で観察するのも面白いですが、飼育してみると普段見ることのできない姿も観察することができますので、機会があれば是非チャレンジしてみましょう!
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