
ベランダに植えた覚えのない植物がたくさん生えてきます。
雑草になるので取ってしまってもよいのですが、そのままにしていたら色んな昆虫もやってきます。
そんなことを期待して残しておいたら「カタバミ」にヤマトシジミという名のチョウの幼虫がついていました!
この記事では、シジミチョウの幼虫を飼育して成虫になるまでを観察した様子を紹介しています。
著者紹介

はじめまして。昆虫写真家でWebサイト「ムシミル」の管理人の村松です。
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ヤマトシジミの成虫はたくさん見かけるのに、野外でシジミチョウの幼虫を探しても見つけるのが難しかったりします。
葉っぱの裏などにいるので見つけにくいのです。
しかし、ベランダの鉢のカタバミに食痕(しょくこん)を見つけたので、それを頼りに探すと二匹も見つけることができました!
外だと寄生蜂などにやられる可能性もあるので、その幼虫を室内で飼育観察することにしました。
ヤマトシジミの一生
ヤマトシジミは蝶の仲間で、分類的には「チョウ目」の中の「シジミチョウ科」に分類されます。
完全変態をする昆虫で「卵」「幼虫」「蛹(サナギ)」「成虫」と段階を踏んで成長していき、幼虫から成虫に大きく姿を変えることが特徴的です。
ヤマトシジミは人為的環境に適応し、都会でも見られる蝶なので、数はたくさん見るのですが幼虫を見かける機会は多くありませんね。
ワラジ型の姿をした幼虫の姿にびっくりする人もいるのではないでしょうか?
越冬態(冬越し)は不定なので、暖かい地域では成虫で越冬しているのかもしれません。
春先から見られ、年に数回発生する蝶なので秋まで成虫の姿を見ることができます。
産卵された卵から生まれてきた幼虫はワラジ型をしており、カタバミの葉っぱを食べて育ちます。
3回~4回ほどの脱皮しながら大きくなっていき、蛹(サナギ)になって成虫になる準備をします。
サナギはマメ型の形をしていて、帯で体をくくりつける「帯蛹型(たいようがた)」のサナギです。
姿が大きく変わることが感動的な羽化を経て、空を飛ぶための羽を持てるようになるのですね。
飼育と観察記録
ではさっそく飼育と観察をしていきましょう!
4/16 ヤマトシジミの幼虫を発見!
ベランダに勝手に生えてきた「カタバミ」を眺めていると、葉っぱがくしゃっとなった不思議な部分を発見しました。
なんだろうと思って覗き込んでみると、シジミチョウの幼虫がついていたので観察をはじめました。

死んでいるのではないかと心配になりました。

ヤマトシジミの幼虫の脱皮
少し時間が経ってから見てみると、なんと脱皮をしているではありませんか!
硬直しているように見えたのは、脱皮の準備をしていたからだったのですね!



4/17 餌(エサ)を食べているのを確認

蝶の幼虫は脱皮した皮を食べてしまうものも多いのですが、脱いだ皮はほったらかしにしているようです。
もう一匹イモムシ発見!

こっちの幼虫のほうが大きいです!葉っぱについているのではなく、ご飯を食べる時以外は茎の部分などで待機していることがわかりました。
しかし、これは本当に見つけにくい・・・。
ヤマトシジミのイモムシの餌(エサ)の与え方
餌(エサ)となるカタバミはベランダの鉢に勝手に生えてきたものを使っているので確保が簡単です(笑)

4/18 餌(エサ)を食べているのを確認


4/20 さらに一匹発見!

休むときは葉っぱから離れた茎の部分によくいるみたいですが、茎の部分を探しても見つからないことが有るので、お腹が空いていないときは結構地面近くまで降りて隠れているのかもしれません。
4/22 シジミチョウのイモムシが動かなくなりました!?
大きくなっていたイモムシはプラケースの天井に張り付いて動かなくなっていました。
たまたま休んでいるのか、もしかしたら脱皮かもしれないと思って定期的に観察してたらサナギになる準備だったようです。

元気なのか元気がないのかよくわからないので心配になります・・・。

※クリックで大きくなるので体にかかっている糸を確認してみてください。右の方四分の一くらいのところです。

こういったところを裏から観察ができるのは飼育しているときだけですね!
プリンカップの掃除




4/23 サナギになりました!
ヤマトシジミの幼虫の一匹がサナギになりました!
プリンカップの天井についていたやつではなく、最後に家にやってきたイモムシから蛹になったのでちょっとびっくりです。

葉っぱが体にまとわりついて可愛そうと思って一度触ったのですが、その時に蛹になる時の糸を切ってしまったようです・・・
可愛そうなことをしましたが、このまま見守りたいと思います。



4/24 天井についていたイモムシもサナギに!

5/2 蛹(サナギ)の色に変化!

全体的に薄くなって羽になると思われる部分は白く変化しています。



死んでしまうのでしょうか・・・。
5/3 羽化するのも間近かな?


5/4~5/5 ヤマトシジミの羽化!
サナギになって12日目の5/4~5/5にかけてサナギが羽化しました!
その様子を追いかけたので紹介します。
その前に最後の幼虫ですがダメみたいです・・・

まだ生きていますが、もうダメそうです・・・
5/4 AM10:11 羽化の兆候が

5/4 PM01:25 黒い部分がかなり増えました

5/4 PM03:17 2時間ほど経ってもあまり変わりません

5/4 PM06:18 サナギの中の顔


5/4 PM11:35 深夜になっても大きな変化はなし

5/5 AM01:18 サナギの殻がはずれてきた


5/5 AM02:46 かなりサナギの殻が浮きました


5/5 AM03:47 羽化を待つだけ

5/5 AM07:23 ヤマトシジミが羽化しました!

カメラのレンズの上で羽根を伸ばしていたようです。
出てくる所を見逃したのは残念ですが、無事に羽化してくれて嬉しいです。
お疲れ様!!




5/6 もう一匹のヤマトシジミも羽化しました!
一日遅れでもう一匹も気がついたら羽化の準備に入っていました。
サナギになるのに少し時間がかかったので、もう少し後だと思っていたのでびっくりです。
最後の幼虫は死亡しました・・・

死亡の原因として考えていたのは、最初は寄生されていたのかと思ったのですが、それだとこんな風に干からびないと思います。
はっきりとはわかりませんが、何かの病気にかかって死んでしまったのだと思っています。
5/6 AM3時頃 ヤマトシジミが羽化!
プラケースの天井で蛹(サナギ)になったヤマトシジミも羽化してくれました!
羽化の瞬間は見逃しましたが、羽化したての羽の柔らかさを感じることができたのが興味深かったですね!

ちょっと寝て起きて観察するのに、寝る準備をしていたら、その間に羽化してました(笑)
残念な気持ちもありますが、まだ羽がくしゃくしゃのシジミチョウを見たら愛しくなったので、今しか撮れないその様子を撮影させてもらいました。
(寝なくてよかった・・・)




※二匹が羽化して一匹死亡で更新終了です。
感想とまとめ
ヤマトシジミはとても良く見るチョウの仲間ですが、このように成長の様子を観察したのは初めてです。
野外でも幼虫は隠れていることが多いので、その姿がどのようなものなのかを知っている人も少ないのではないでしょうか?
幼虫は大きくなるにつれて食べる量もかなり増えますが、それでも小さいチョウなのでしれています。
このくらいの食事で成虫にまでなれるですから、都会の道端に生えているちょっとしたカタバミでも成長できるんですね。
見どころは、サナギになる様子と羽化する時のサナギの変化が生命の神秘を強く感じることができます。
今回は特に深夜まで観察することになったので大変ですが、機会があればぜひ見て欲しいものです。
こんな大きな変化が私達の知らないうちに足元でおこなわれているのですから、びっくりしますね!
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