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オオカマキリ

オオカマキリの写真

写真ギャラリー

逆さまになって休んでいる(奈良)

オオカマキリを上から(奈良)

前脚は鎌状になっていて捕まえた獲物は離しません(奈良)

葉っぱから葉っぱへ散歩中(奈良)

緑色の体は葉っぱに馴染んで見つけにくい(奈良)

幼虫の時期はまだ羽が小さいです(奈良)

草むらの中でも見つけにくい体の色です(奈良)

お手入れ中(奈良)

後翅は黒っぽい色をしています(奈良)

オオカマキリのカマの付け根は黄色をしています(奈良)

獲物を待ち構えています(奈良)

オオカマキリの顔のアップ

オオカマキリの卵(卵鞘)

カマキリ目(蟷螂目)まとめ カマキリの図鑑へ

オオカマキリってどんな虫?

日本で最大のカマキリです。と言っても近い種類のチョウセンカマキリと見た目がとても良く似ています。
一般的にカマキリと呼べば、この「オオカマキリ」か「チョウセンカマキリ」のことを指しています。

成虫の大きいものは90mmくらいのサイズがあるので結構大きいです。
肉食で獰猛(どうもう)な性格から大きな獲物まで捕まえてしまいますが、その様子から子供にも人気の昆虫です。

名前の由来

前脚が鎌(カマ)のようになっているからカマキリなのですが、「キリ」というのはキリギリスのことです。実際にはキリギリスの仲間ではないのですが、昔はカマキリはバッタに近い仲間とされていたのです。そしてカマキリの中で一番大きいから「オオカマキリ」ですね!

「鎌で切る」からとうい説もありますが、実際にカマキリが「切る」ようにカマを使うことは無いですしね。
獲物を挟んで押さえるだけです。

カマキリ科

昆虫の分類にカマキリ目があります。その中にカマキリ科があって「オオカマキリ」はその中の一種になります。日本で有名なカマキリ科の仲間では「コカマキリ」や「ハラビロカマキリ」がいます。前脚が鎌(カマ)のように発達していて、他の昆虫や小動物を俊敏に捕食することが知られている昆虫です。

オオカマキリの持ち方

カマキリって、前脚がカマのようになっているので、挟まれたりしたら痛そうでつかみにくいです。
しかし、そんなカマキリにも持ち方があります。

背中から羽の付け根の部分を押さえるようにつかめば、挟まれたり噛まれたりすることもありません!
最初は慣れないでしょうが、素早くパッと掴むのが肝心です。

オオカマキリの写真
上からぱっと押さえます。
オオカマキリの写真
羽の付け根の辺りを持つのがコツです。

オオカマキリの特徴や見分け方

オオカマキリは日本で見られる一番大きなカマキリです。
カマキリの仲間の一番の特徴は、カマのように発達して獲物を素早く捕らえる前脚(まえあし)ですね!
そして、体の色は緑色から茶色まで変化があります。

オスとメスの違いや、色の違い

オオカマキリはメスの方がオスよりも大きくなります。
特に産卵もするので腹部がふっくらと大きくなっています。

触角はオスの方が長いのも特徴です。
色に関してはオスにもメスにも「緑色型」と「褐色型」が現れます。

メス♀

オオカマキリの写真
メス「褐色型」
腹部がふっくらとしています。
オオカマキリの写真
メス「緑色型」
オスよりも触角が短めです。

オス♂

オオカマキリの写真
オスオス「褐色型」
腹部は腹部はほっそりしています。
オオカマキリの写真
オス「褐色型」
触角がとても長いです。

腹部にも違いがあるので、捕まえて観察してみると面白いですよ!
メスは産卵するために、オスとは少し形状が違います。

メス♀の腹部

オオカマキリの写真
メスは先が割れ、縦筋の入った三角の突出部が産卵管です。

オス♂の腹部

オオカマキリの写真
腹部の先は平らな印象で、尾突起(びとっき)と呼ばれる突起があります。(この写真ではわかりにくいですが、右方向にちょびっと見えています。)

「オオカマキリ」と「チョウセンカマキリ」の見分け方

「オオカマキリ」と「チョウセンカマキリ」はとても良く似ています。名前に「大(オオ)」と入っているくらいですからオオカマキリのほうが一回り大きいのですが、個体差もあるので大きかったらオオカマキリという風に見分けるのもちょっと違います。

見分けるポイントその1「羽」

羽といっても後ろの羽です。後翅(こうし)と言います。威嚇するときなどに羽を広げて自分の体を大きく見せるのですが、その時に見える普段は隠れている羽のことですね。ですから、茂みなどに隠れているカマキリを見つけてもわからないので、ちょっと怒らせて威嚇させるか捕まえて確認しましょう。

オオカマキリの後翅は黒い

オオカマキリの写真
オオカマキリの後翅は広げると黒っぽい色をしています。

チョウセンカマキリの後翅は透明

チョウセンカマキリの写真
チョウセンカマキリの後翅は透明です。

見分けるポイントその2「カマの付け根」

実は正面から見たときの雰囲気がちょっと違います。特に鎌(カマ)の付け根の部分に色が入っているのですが、オオカマキリでは黄色っぽいのに対して、チョウセンカマキリはオレンジ色をしています。

オオカマキリは黄色

オオカマキリの写真
カマの付け根は黄色。

チョウセンカマキリはオレンジ色

チョウセンカマキリの写真
カマの付け根はオレンジ色。

オオカマキリの生態

食べ物、餌(エサ)は?

カマキリは他の昆虫を捕食します。鎌(カマ)のようになった前脚で他の昆虫を一瞬で捕らえます。オオカマキリは体も大きいのと性格の獰猛さから、他の昆虫だけではなく小動物も捕らえて食べてしまうことがあります。トカゲやカエルなどを捕食することも知られていますが、時には小型の鳥類までもを捕まえることがあるようです。

幼虫の時にはカエルやトカゲには簡単に食べられてしまう存在なので、大きく成長すると立場が変わってしまうのですね。

オオカマキリの写真
オオカマキリの顔のアップ
この鋭い大アゴで捕らえた獲物をバリバリと食べる。

幼虫の時期の狩りと天敵

オオカマキリといえども、生まれたては小さな幼虫です。アリに捕まって巣に運び込まれてしまうこともあります。
ですから、産まれて間もない頃はアブラムシなどの小さな昆虫を捕食して成長していきます。

夜には目が黒くなる

カマキリは夜になると目が黒くなります。
暗い場所にしばらくおいていると、目が黒くなっているので試しに観察してみると面白いですよ。

オオカマキリの写真
オオカマキリの夜の複眼は黒くなっています。

オオカマキリの成長の様子

オオカマキリの卵は「釣鐘型」

カマキリは卵鞘(らんしょう)と呼ばれるスポンジ状の中に卵を産みます。形も色々あるのですが、オオカマキリの卵鞘は「釣鐘型」と呼ばれる少し幅広の形をしています。

オオカマキリの卵の写真
オオカマキリの卵鞘(らんしょう)
中にたくさんの卵が入っています。

幼虫

オオカマキリの幼虫の写真
まだ小さな幼虫
オオカマキリの写真
オオカマキリの幼虫。まだ羽がありません。

脱皮

オオカマキリの脱皮
脱皮をして大きくなります。ぶら下がった状態で体を少しずつ抜いていき、体が固まるのをじっと待ちます。

成虫

成虫になるとオスはメスにそっと近づいて、飛び乗って交尾をします。
また次の世代をつないでいくのです。

オオカマキリの写真
成虫のメス♀
オオカマキリの写真
成虫のオス♂

寿命

オオカマキリは成虫で冬をこすことはありません。
春に出てきた幼虫は、何回もの脱皮を繰り返して成虫になり、秋には産卵を終えて成虫は寿命を迎えます。
冬の間は卵鞘に守られて、春が来るのを卵の状態でじっと待っています。

生息地や分布

本州、四国、九州で見ることができます。北海道でも見られるようですが、昔は見ることはなかったようで人為的に持ち込まれたと考えられています。しかし、定着したということはもともと環境の条件などは整っていたのでしょうね。

草むらなどで普通に見られるのですが、よく移動もするようで道路などを歩いているのを見つけることもあります。

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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