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ナナホシテントウの飼い方。餌を与える時のポイントも!

ナナホシテントウの飼育

はじめに

この記事はナナホシテントウを実際に飼育してみた様子を写真を使って紹介したものです。
観察の様子から、肉食のテントウムシを飼う時の注意点や生態までわかる内容となっています。

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村松の撮影風景

はじめまして。昆虫写真家の村松です。
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さて、テントウムシがどんな成長の仕方するか知ってますか?テントウムシの幼虫のことを知ってびっくりした!って話をよく聞きます。飼育と観察を通してテントウムシのことをもっと知りたいと思ったので、みんなも知ってるナナホシテントウの飼い方を紹介します!

ナナホシテントウの基本はこちら

Q&A:てんとう虫の餌はなんですか?

質問で一番多いのは「てんとう虫の餌」です。下にも詳しく書いていますが、ここにも書いておきます。
ナナホシテントウが食べるのは「アブラムシ」です!
てんとう虫にも肉食性や草食性などたくさんいますが、ナナホシテントウやナミテントウはアブラムシを食べます。

カラスノエンドウなどについているアブラムシを探してきましょう。カゴに入れるときには餌(エサ)が逃げないように蓋のできるものがベストです!

ナナホシテントウの一生

ナナホシテントウは完全変態の昆虫で、卵→幼虫→サナギ→成虫と大きくなっていき、オスとメスが出会って卵を産みます。
卵を産んでから成虫になるまでの期間は約20日程度と成長スピードも速く、成虫となったメスは2ヶ月ほど生きるので、その間にアブラムシをたくさん食べて何度も卵を産みます。

成虫や幼虫の見つけ方

ナナホシテントウはアブラムシのたくさんついている植物のあるところにたくさんいます。春先の暖かくなった時期は特に活発に動き回っています。たくさんアブラムシが付いているところを見つけると、近くには必ずと言ってもいいほどにナナホシテントウがたくさんいます。そして、緑の中に赤いテントウムシはとても良く目立っているので見つけるのはそんなに難しくありません。
そして、ナナホシテントウの成虫を見つけたら、その近くに幼虫を見つけることもできます。

アブラムシがよく見つかるところ

春先はカラスノエンドウやバラ科の植物、クローバーなど。少し経って5~6月にはコムギ、ムクゲ、ヤナギなど。夏場はヨモギやセイタカアワダチソウなど。秋にはヨモギやクリなどについているのが見つかりますよ!

天敵

鳥などの昆虫を食べる生き物もテントウムシを食べようとしますが撃退します。
怖いのはテントウムシに寄生するハチなどです。
テントウハラボソコマユバチなどが知られますが、成虫のナナホシテントウに一つの卵を産み付けます。室内で飼っていれば大丈夫ですが既に卵を産み付けられている可能性もあります。寄生されていると、そのうちにテントウムシのお腹の下に寄生したハチの繭が出てきます。心配な場合はサナギを取ってきて羽化させると良いでしょう。

オスとメスの見分け方

オスとメスを見分けることができたら、カップルにして卵を産ませることもできます。
まずはメスのほうがオスよりも大きいということです。しかし、個体差もあるので絶対というわけでもありません。

ナナホシテントウのオスとメス

ナナホシテントウのオスとメス
左が♂で、右が♀。メスのほうが大きい。

もっと確実なのは、お尻の先で見分ける方法です。
お尻の先を見てみると、オスの方は少しくぼみがありますが、メスではくぼみがありません。

ナナホシテントウのオス♂

ナナホシテントウのオス
オス♂

ナナホシテントウのメス♀

ナナホシテントウのメス
メス♀

ナナホシテントウの飼い方

成虫も幼虫もアブラムシを食べるので、同じように飼育することができます。

準備するもの

  • 食べ物、餌(エサ)
  • 飼育ケース
  • 絵筆

・食べ物、餌(エサ)

ナナホシテントウはアブラムシを食べますので、近所の原っぱや畑やその周りなどでアブラムシのたくさんついている植物を見つけてきましょう。
毎日とってきてあげるのがベストですが、植物ごとアブラムシを取ってきてジップロックなどに入れた状態で冷蔵しても3日程は生きているようです。(家族の許可を取りましょう)

ナナホシテントウの幼虫
アブラムシのたくさんついたカラスノエンドウとナナホシテントウの幼虫

・飼育ケース選びのポイント

穴の空いているものは向きません。アブラムシが逃げてしまうからです。
アクリルやガラスの水槽などのケースに、平らなガラス板などを乗せて飼育するのがよさそうです。
穴の空いた飼育ケースでも、ケースとフタの間にキッチンペーパーやラップを挟む方法もあります。

ナナホシテントウ飼育
普通の飼育ケースだが、フタの穴からアブラムシが逃げてしまうので間にキッチンペーパーを挟んでいる。中にはカラスノエンドウごと取ってきたアブラムシと、カラスノエンドウを長持ちさせるためにティッシュを水で濡らしたものを入れている。

・飼育ケース(簡易)

もっと簡単に飼育するなら、プリンカップなどのケースにラップをかけて輪ゴムで止めると良いでしょう。
アブラムシを入れてあげる時の換気で充分ですが、植物を一緒に入れた時に湿度が上がりすぎるのに注意が必要です。

ナナホシテントウ飼育
観察がしやすいメリットもありますね。平らで真っ直ぐな透明な板を乗せておくだけでも大丈夫です。その場合はケースをひっくり返さないように気をつけましょう。輪ゴムの場合は全部外さないと餌やりもできませんが、板を乗せているだけだとずらすだけでアブラムシなどを入れてあげることができます。

・便利なアイテム「筆」

テントウムシもアブラムシも手では捕まえにくいです。テントウムシはじっとしていると半球状なのでうまく掴めないですし、アブラムシは小さい上に柔らかいので潰れてしまいます。そんな時に便利なのが「筆」なんですね!アブラムシを払い落とすのにも使えますし、ナナホシテントウに近づければ登ってくるので移動もさせやすいのです。

絵筆・刷毛
絵筆が丁寧で良いですが、ちょっとお世話効率が上がるかと思って刷毛(はけ)を準備しました。

注意事項

・ナナホシテントウには毒になるもの

ナナホシテントウはどんなアブラムシでも食べますが、「ニセアカシア」という植物の汁はナナホシテントウにとって毒になります。
ですから、ニセアカシアについているアブラムシだけはナナホシテントウにあげないように気をつけましょう。

・寄生蜂

テントウハラボソコマユバチなどのテントウムシに寄生する天敵の存在が知られています。
室内でケースの中で飼育する分には心配する必要はありません。

参考:テントウハラボソコマユバチのページはこちら

・水滴

多少は大丈夫ですが、あんまりビチャビチャになると溺れてしまいます。気をつけてあげましょう。

・捕まる場所

テントウムシはガラスの壁なども登ることができます。けど、底でひっくり返った時に起き上がれないことがあります。掴まれるところを準備するのに植物などを少し入れてあげると過ごしやすいと思います。

ナナホシテントウの飼育記録

2019年の春にナナホシテントウを飼育した記録と思い出です。

成虫を見つけてくる

ナナホシテントウを探しに出たらすぐに見つけることができました。畑の周りの草むらにカラスノエンドウがたくさん生えているところがあって、そこではアブラムシがみっちりとついていました。すごい数です。
その近くにはナナホシテントウの成虫や幼虫がたくさんいました。

ナナホシテントウ
カラスノエンドウにたくさんついたアブラムシの近くにいたナナホシテントウの成虫。

成虫を何匹か取ってきて飼育ケースに入れてあげました。エサとなるアブラムシもたっぷりと!

ナナホシテントウ飼育
この状態から更にアブラムシを追加で入れてあげました。

オスとメスがつながっているのを確認することができました

ナナホシテントウのカップル
ナナホシテントウのカップル。上に乗った(下に乗った??)オスは体を左右にふるボディーシェイキングというダンスを踊ります。産卵してくれるのが楽しみです!

野外で卵を発見

飼育下では卵が見れなかったのですが、外で卵を見つけました。

ナナホシテントウの卵の写真
ナナホシテントウの卵
ナナホシテントウを見つけてきた場所で見つけました。

最後に

昆虫の写真を撮りながら昆虫に興味を持ってくれる人が増えたら嬉しいので、ムシミルでは昆虫の図鑑だけでなく、飼育や豆知識も紹介しています。興味を持ってくださったらプロフィールなども確認してもらえると嬉しいです。

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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たくさんの人にそれを知ってもらうことで、人も昆虫もよりよい未来を築いていけたらと思ってこのサイト「ムシミル」を運営しています。

カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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