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ナナホシテントウってどんな虫?
幸運を呼ぶ縁起の良い昆虫
ナナホシテントウに限りませんが、テントウムシは昔から世界各国で幸せの象徴とされ、幸運を運んでくると言われています。
代表的なものでは「天道虫が止まると幸せなことがある」とか、「病気の人にテントウムシが止まると、病を持っていってくれる(治る)」などと言われる、とても素敵な昆虫です。
ナナホシテントウにまつわる名前のお話
名前の由来は「七つの星」
黒い紋のことを星と呼んでいます。ですから、赤色の目立つ地色に7つの紋が入っているので「七星(ナナホシ)」です。
漢字で書くと「天道虫」
高いところに登って太陽に向かって飛んでいきます。
お天道さま(太陽)に向かって飛んでいくので天道虫(テントウムシ)です。
英語では「Ladybug(レディバグ)」
英語でテントウムシは「Ladybug(レディバグ)」と呼ばれます。
レディとは、貴婦人や淑女のことを指すので、英語圏でもテントウムシが好感を持たれているのがわかります。
それどころか、実はこのレディは聖母マリアを表しているという話まであります。
聖母マリアの化身であったり、マリアの使いであったりと言われることもあるようです。
ナナホシテントウの生態
触ると黄色い汁
触ったりして、身の危険を感じると黄色い汁を足(脚)の根元の関節から出します。
臭いにおいと、苦い味がします。
アルカロイド系の毒を体内に持っているので、鳥などは捕食せずに敬遠します。
死んだふりをする昆虫「擬死(ぎし)」
危険を感じると、黄色い汁を出すだけではなく、死んだふりもします。
ひっくり返って、脚を内側に折り曲げて死んだように動かなくなります。
しばらくジッと見ていると、まるで生き返ったかのように元気に動き出すので面白いです!
赤と黒は警戒色
赤色と黒色の目立つ色をしているのは「警戒色」と呼ばれ、目立つことによって自分はまずいのだと天敵に教えているのです。
ナナホシテントウの餌(エサ)/食べ物
可愛らしい容姿をしていますが肉食の昆虫です。
幼虫、成虫ともにアブラムシを食べます。
ナナホシテントウの体/形態
ナナホシテントウの顔
ナナホシテントウの食べ物でも触れましたが、実はナナホシテントウはアブラムシを食べる肉食です。そして、テントウムシには葉っぱを食べる草食のものもいます。ちょっと見比べてみましょう!
こうやってみると、ちょっとだけ草食のニジュウヤホシテントウのほうがまろやかな表情をしているような気がします。
オスとメスの見分け方
テントウムシを含め、多くの昆虫に当てはまるのですがメスのほうがオスよりも大きいことが多いです。
しかし、個体差もあるので絶対ではありません。
小さくてわかりにくいのですが、お尻の先で見分ける方法もあります。
ナナホシテントウのオスとメス
大きさが違うのわかりますか??
ナナホシテントウのオス
ナナホシテントウのメス
お尻の先を見てみると、オスの方は少しくぼみがありますが、メスではくぼみがありません。
ナナホシテントウの成長
ナナホシテントウは完全変態の昆虫で、幼虫と成虫の姿がサナギの時期を境にガラッと変わります。
ナナホシテントウの卵
コンクリートの壁の凹みに産卵していました。
ここは確かに安全そうです。
ナナホシテントウの幼虫
成虫のナナホシテントウとはあまり似ていない幼虫です。
幼虫の時期は丸っこくなく、長細い体をしているのですね!
1齢~4齢幼虫で蛹になります。
2齢幼虫 3齢幼虫 終齢幼虫
前蛹(ぜんよう)
ナナホシテントウは完全変態の昆虫なので、蛹(サナギ)の期間があります。
サナギになる直前の状態のことを前蛹(ぜんよう)と呼びます。
大きくなった幼虫が、体を縮めて動かなくなったらもうすぐ蛹になりますよ!
蛹(サナギ)
この蛹の状態になったら約1周間程度で成虫が出てきます!
ナナホシテントウの羽化(うか)
羽化してすぐのナナホシテントウは黄色っぽい色をしていて黒い星がありません。
羽化すると羽根を伸ばして、ゆっくりたたみます。
時間が経つとうっすらと星の模様が出てきて、だんだんと赤と黒色のナナホシテントウになっていきます。
羽化してすぐ 時間が経つと模様
小さな集団で越冬する
ナナホシテントウは大集団ではなく、小規模な集団で草陰などで越冬します。
てんとう虫の種類によっては大きな集団を作って越冬します(ナミテントウなど)。
ナナホシテントウ Q&A
ナナホシテントウが農業に使われるって本当?
農作物につくアブラムシは悩みのタネの一つです。ですから、そのアブラムシを食べてくれるテントウムシは「益虫」として歓迎されます。
農薬等のなかった昔の農業では、かなり重要な昆虫でした。それを考えると幸運を運んでくるという話につながるのもわかりますね。
現代でもテントウムシを使った、農薬を使わない農業の研究などがされており、実際に農家さん向けに販売もされています。
ナナホシテントウにそっくりなのに違うテントウムシなの?
実はナナホシテントウにそっくりなテントウムシがいます。
「アイヌテントウ」は北海道や本州の一部に生息し、星の数が11個あります。
「ココノホシテントウ」も北海道や本州の一部に生息して、星の数が9個あるテントウムシです。
テントウムシじゃないのにそっくりな種類がいるの?
テントウムシは苦い汁を出すことで、鳥などから食べられることを防いでいます。ですからテントウムシのマネをして、天敵から食べられないようにしようとする昆虫が現れたんですね!
特に次の「クロボシツツハムシ」などはナナホシテントウに似ています。
ナナホシテントウに擬態している「クロボシツツハムシ」
コラム:ナナホシテントウは子供にも人気
「あっ、ななほしてんとう!!」
子供が大きな声で、お母さんに向かって嬉しそうに捕まえて見せているのをよく見かけます。赤く目立つ昆虫なので子供の目にもつきやすいのでしょう。子供は大人とは目線がもともと違うのもあるかもしれません。
でも、テントウムシは身を護るために変なニオイのする黄色い汁を出すんですね。手で捕まえるとどうしても黄色い汁をつけられてしまうので、私も小さい頃はテントウムシを捕まえるたびに母から「手を拭きなさい」とティッシュをもらっていたのを覚えています。私の好奇心を大切にしてくれる母だったので捕まえるなとは言わない母でしたね。
今でもテントウムシを見つけて母親に見せている子供を見ると、そんなことを思い出します。