セミ科とは?
カメムシ目に含まれる昆虫で、ストロー状の口で幼虫から成虫まで木の汁などを吸っています。
世界では約3,000種、日本には35種類ほどが生息しており、その鳴き声は夏の風物詩として愛されてきましたが、鳴くのはオスだけです。
セミ科の写真ギャラリー
Cicadidae
※クリックすると各ページに飛べます。写真と詳しい説明があります。
セミ科の種類
日本のセミ科の昆虫は「セミ亜科」と「チッチゼミ亜科」の2亜科に含まれています。
更に分類していくと、セミ亜科は「ニイニイゼミ属」「ケナガニイニイ属」「エゾゼミ属」「クマゼミ属」「アブラゼミ属」「ハルゼミ属」「ヒメハルゼミ属」「ヒグラシ属」「タイワンヒグラシ属」「ツクツクボウシ属」「ミンミンゼミ属」「ツマグロゼミ属」「クサゼミ属」、チッチゼミ亜科は「チッチゼミ属」「クロイワゼミ属」に分かれています。
日本には離島が多く、島固有で進化してきた珍しいセミもたくさんいます。
そういったセミは数も少なく絶滅の危機にひんしているものも多いです。
代表的な種では「ダイトウヒメハルゼミ(亜種)」「クロイワゼミ」「チョウセンケナガニイニイ」「イシガキニイニイ」などが、絶滅の危機がある種として指定されており、生息地域は保護区になっている場合もあります。
セミの名前
語源
セミの名前はその鳴き声が語源となっているようです。
セミが「シャンシャンシャン」と鳴いているのを擬音で「センセンセン」となり、そこから訛って「セミ」になったようです。
面白いですね!
英語
セミは英語で「cicada(シケイダ)」と呼ばれます。
ちなみに、セミの種類では、
- black cicada(クマゼミ)
- large brown cicada(アブラゼミ)
- robust cicada(ミンミンゼミ)
- evening cicada(ヒグラシ)
などと呼ばれます。
セミの生態や特徴
鳴き声が一番の特徴ですが、他にもストロー状の口や発達した羽なども大きな特徴になっています。
オスでは発音器官の発達が特徴的で、メスは木に差し込むこともできる強靭な産卵管が特徴的です。
セミは鳴く虫の代表格
メスを誘うためと言われる鳴き声は基本的にオスしか出しません。
オスの腹部には発音器官が発達し、お腹の方を見るとオスとメスの区別がつけやすいです。腹部も共鳴室として発達させたものは、ほとんど空洞になっていたいりします。腹部の大きさもメスよりも大きいものが多いのでオスの特徴になっています。
鳴き声を文字で紹介
クマゼミ
「ジュクジュクジュクジュク、、、シャンシャンシャンシャン、、、、ジュクジュク、」
ミンミンゼミ
「ミンミンミン、、、ミーンミンミンミン、ミーンミンミンミン、、、ミーーーー、、、、」
アブラゼミ
「ジーーーー、、、ジジジジジ、、、、」
ツクツクボウシ
「ジュクジュクジュクジュク、、、オーシンツクツク、オーシンツクツク、、、オシオーシ、オシオーシ、ジュー、、、、」
ニイニイゼミ
「チーーーー、ジーーーー、、、、チッ、チッ、チッ、、、」
ヒグラシ
「カナカナカナカナ、、、、、」
セミの方言
実はセミにも、人で言うところの方言があります。
同じ種類でも、住んでいる地域によって鳴き声が変わったりするのです。
セミの天敵
捕食
セミは様々な生き物から狙われています。
カエルやトカゲはもちろん、鳥類は飛んでいるセミも捕まえます。追いかけていたセミを鳥に持っていかれたこともあります。
同じ昆虫類でもカマキリ、オニヤンマ、ムシヒキアブ、スズメバチなどは成虫を捕まえます。羽化するとこををアリに襲われることもあります。
その他にも、クモやムカデなどがセミを捕食します。
寄生
セミに寄生するカビが知られています。寄生されると、木にしっかりとしがみついてそのまま息絶えるのですが、その後に菌が成熟して白いもこものが出てきます。
セミの幼虫に寄生することで有名なのは「冬虫夏草」と呼ばれるものもあります。
ダニ、セミヤドリガ、セミタマゴバチ、ニクバエの仲間が寄生することもあります。
セミの成長過程
セミの産卵と卵
多くのセミの仲間は基本的に枯死した枝や樹皮などに穴を開けて産卵します。
ニイニイゼミやヒグラシなどはその年に孵化(ふか)しますが、多くのセミは次の年まで孵化しません。
なので、生育している部分だと木の成長で埋まっちゃう可能性があるからなのでしょう。
しかし、イワサキクサゼミなどはサトウキビなどの生きた葉に産卵しますし、一部のセミは生きている細い枝などに産卵している様子も観察されています。
産卵前には枝に口吻を挿す行動が観察されるようですが、木の状態を確認していると考えられています。
木の組織が生きていない判断だけしているのかわかりませんが、配線に産卵をして断線させるなどの事故も昔はあったようです。
産卵された卵は、その年に孵化するものでは30~60日くらい、次の年に孵化するものでは240~330日の卵期間になります。
セミの幼虫
卵から出てきた幼虫は「前幼(ぜんよう)」と呼ばれる状態で、全身が透明な膜に包まれています。
脚が自由に動かせないのですが、産卵された穴から這い出るにはその方が都合が良いようです。
穴から出られると、その膜を脱いで1齢幼虫になります。
無事に孵化した幼虫は木から落下して土に潜っていきます。
ちなみに孵化するのは雨の日が多いようです。
理由はいくつか考えられるのですが「天敵の活動が抑えられている」「幼虫は感想にかなり弱い」「土が柔らかくなってすぐに隠れやすい」などが考えられています。
土に潜った幼虫は木の根っこの脇に小部屋(幼虫室)を作って、そこでエサとなる木の汁を吸って成長します。
幼虫の期間は種類によって、また栄養の状態や環境条件などでかなりばらつきが出るようですが1~5年程度かかります。
セミの幼虫の名前が知りたかったら参考までに
- アブラゼミは全体的に茶色っぽい(上の写真)
- クマゼミは目の後ろくらいが黒くなる
- ミンミンゼミはもう少し緑っぽいところが入る
- ツクツクボウシは小柄で細い
セミの羽化(うか)
世界のセミの種類や分布
世界最大のセミ
マレー半島の山間部に生息する「テイオウゼミ」が世界最大と言われています。
羽根を広げると20cmにもなります。