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アメンボ(ナミアメンボ)

アメンボのカップルの写真

写真ギャラリー

金魚の餌を食べるナミアメンボ

風が吹くと流されないようにみんな一斉に風上に泳ぎ始める。隊列を組んでいるみたいだ。

産んだばかりの卵

中にアメンボの形が見えてきた

赤いのはお目々

体ができている。脚も窮屈そうに詰まっている

生まれたての幼虫

少し時間が経って色がしっかりしてきた幼虫

成長して少し大きくなった幼虫

アメンボが水面を泳ぐときのきらめきを表現したいと思って撮影していたときの一枚。

アメンボのカップル。上に乗っているのはオス♂で「長翅型」

「短翅型」のアメンボ

蓮の葉の上に二匹のアメンボ

水草の上に上がって体を乾かしています

水面に落ちたガに集まってきました

睡蓮のきれいな池で二匹仲良く泳いでいた。

アメンボ科まとめ 水黽図鑑

アメンボ(ナミアメンボ)ってどんな虫?

水上で生活することが有名な昆虫で、ちょっとした水たまりや池などで普通に見られるために子どもたちにもなじみ深い昆虫です。
水上に落ちてきた昆虫などに集まっているのをよく見かけますし、池などで集団で見かけることも多いです。

アメンボの集合の写真
よく見るとみんな同じ方向を向いていて、隊列を組んでいるようです。

漢字で書くと「飴坊、飴ん坊」

飴のようなにおいのする昆虫なので「飴」の字が当てられたようです。坊は「赤ん坊」みたいな漢字で使われてるんですね。
しかし、次で紹介するように他にもたくさんの呼び方があります。

別名や方言がたくさん

アメンボは別名や方言などで呼び方が色々あっておもしろい昆虫です。水蜘蛛(ミズグモ)、川蜘蛛(カワグモ)、水馬(スイバ)、水澄(ミズスマシ)、跳馬(チョウマ)、アシタカなどの呼び名が各地にあります。色んな地域で色んな呼び方をされているということは、それだけ昔から身近に存在していた昆虫ということですね。人が利用する田んぼやため池などでよく見ることができますね。

アメンボ科

昆虫の分類の中でカメムシ目があります。その中にアメンボ科が含まれていて、ナミアメンボはこのなかの一種になります。アメンボとだけ言った時には、このナミアメンボのことを指したりアメンボ科全体の昆虫を指したりします。
水辺で生活することから「水生カメムシ」の仲間として紹介されることもあります。

ナミアメンボの特徴

棒みたいな細い体の昆虫

アメンボは水上で生活する変わった特徴を持った昆虫です。
細長い体と脚で、水の上に浮きやすくなっています。軽いですしね。

細長い昆虫は他にもナナフシの仲間やイトカメムシなどいるのですが、色んな種類の昆虫で細長く進化したものがたくさん見られます。

長翅型と短翅型の二型が見られる

翅が長く腹部を全体的に覆う「長翅型(ちょうしがた)」と、腹部が少し見えたまま大人になる「短翅型(たんしがた)」の二型が見られます。

アメンボ(ナミアメンボ)の写真
「短翅型(たんしがた)」
アメンボの羽が短く、お腹の後ろのほうが見えています。
アメンボ(ナミアメンボ)の写真
「長翅型(ちょうしがた)」
上に乗っているのオス♂の羽が長いですね。

ナミアメンボの生態

水の上を走る忍者みたい(水面を泳ぐ昆虫)

アメンボは水の上をスイスイ泳ぐ昆虫として有名ですね。水の上を歩けるだなんて不思議な話なのですが、これはアメンボの特徴がいくつか重なって成し遂げています。

・アメンボ自体が軽い
・足先がブラシ状になっていて空気の層がある
・足先から油を出すことで、水との反発力を利用している

などの工夫がされていることで、アメンボは水の上に浮かぶことができます。

しかし、それだけではただ浮かんでいるだけになってしまいます。足先の爪を水に引っ掛けることによってスイスイと泳ぐ(走る?)推進力を得ているのです!なかなかに見事なデザインになっています!

アメンボ(ナミアメンボ)の写真
アメンボ(ナミアメンボ)が水面をスイスイ泳いでいます。その波紋も綺麗です。
結構早いんですよね。

アメンボの食べ物や餌(エサ)

アメンボは肉食の昆虫です。
水面で活動しながら、水に落ちたり溺れた昆虫を捕食します。

大きな獲物だとたくさんのアメンボが集まってきます。

アメンボ(ナミアメンボ)の写真
池に落ちた蛾(ガ)にアメンボが群がっています。
食べ物を消化液で溶かしたものを吸っていきます。

アメの匂いがする!?

カメムシの仲間になるのですが、アメ(飴)のようなニオイがするようです。
コップにアメンボを何匹か入れてニオイをチェックする実験なんかも面白いですね!

サンマと同じ特徴?(保護色の不思議)

アメンボの配色を思い出してみてください。わかりますか?背中が黒くて、お腹が白いんですね。サンマなどの魚類なども同じような配色になっていますが、それは身を守るための配色になっています。空から海の中のサンマを見ると黒っぽい背中のほうが目立たないですし、水中から上を見上げた時には水面がキラキラしているのでお腹は白いほうが目立たないのです。アメンボもそれと同じように体の色が変わってきたのだと思います。違う生き物でも同じような進化を遂げてきたというのは興味深い話ですね。

アメンボ(ナミアメンボ)の写真
背中は黒いですが、お腹は白いですね。
アメンボは水上で生活しますが、たまに水から上がって日向ぼっこで体を乾かします。

ナミアメンボの成長

ナミアメンボは交尾をすると、メスがおしりを水の中につけて水草や適当なところに産卵します。

アメンボ(ナミアメンボ)の写真
産みたて卵は、模様の無い白っぽい卵です。(水と水草の関係で緑っぽく見えています。)
アメンボ(ナミアメンボ)の写真
横から。卵の中で幼虫が成長しているのがわかります。
アメンボ(ナミアメンボ)の写真
上から。赤い点が2つあるのがお目々です。
アメンボの写真
拡大してみてみると、中にアメンボの姿が見えてきています。長い脚もぎちぎちに詰まっていますね!

生まれたての幼虫

孵化(ふか)した幼虫はすぐに水面を泳ぎ始めるようです。小さなアメンボがケースの中を泳いでいました。

アメンボの写真
アメンボの赤ちゃん。生まれたては丸っこいですね!
アメンボ(ナミアメンボ)の写真
時間が経つとしっかりとした色がついてきます。

少し大きくなった幼虫

脱皮をして少し成長した幼虫です。

アメンボ(ナミアメンボ)の写真
生まれたてのアメンボより少し長く、尖った印象になっていますね!

大きくなった成虫

大きな蓮の葉の上で二匹のアメンボが休んでいます。

アメンボ(ナミアメンボ)の写真
右の小さのは幼虫ですが、左の大きいのはどうやら成虫のアメンボです。年に何度も発生するので、成虫から幼虫まで長い期間見ることができます。

アメンボの飼育

大きめの水槽と、フタができないとアメンボが飛んで逃げてしまいます。
適当に水をはって、たまに休憩のできる足場もあったほうがよいので、大きな石や木のブロックなど入れてあげるとよいです。
水を張っただけだと、疲れてきたアメンボが溺れてしまいます。

アメンボは肉食なので餌(エサ)の確保は少し大変です。
外でバッタなどの昆虫を取ってくるなども考えられますが、市販のものだとミルワームなども生き餌として食べてくれます。

私もびっくりしたのですが、実は金魚のエサもアメンボに人気でした。
他の水生昆虫にあげていたのですが、アメンボが持っていってしまったのを見て食べるのだと気づいたんですね!
金魚のエサだけでは心配ですが、かなり育てやすくなると思います。

アメンボ(ナミアメンボ)の写真
金魚の餌(エサ)を抱えて独り占めしているナミアメンボ。

ナミアメンボの分布や生息地

ナミアメンボはアメンボの中でも代表種で全国的に見られる昆虫です。
都市部の公園の池などでも見ることができ、その活動期間も、春先には越冬から目覚めた個体も見られますし、秋頃まで長い期間見ることができます。

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アメンボ科まとめ 水黽図鑑

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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