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コオイムシ

コオイムシの写真

写真ギャラリー

孵化(ふか)

孵化(ふか)したての幼虫

時間が経つと茶色の幼虫になる

陸に上がった幼虫

脱皮して成長していきます

産卵

オスが背負っている卵

孵化(ふか)

前脚が鎌状に発達した肉食昆虫

コオイムシ

コオイムシ科まとめ 子負虫図鑑

コオイムシってどんな虫?

タガメを小さくしたようなフォルムですが、タガメが6cm程度大きくなるのに比べて、2cmくらいまでしか大きくならないので印象はかなり違います。
メスはオスの背中に卵を産み付けて、幼虫が孵化(ふか)するまでオスが卵を背負っているのが名前の由来にもなっています。

コオイムシ科

カメムシ目の中に「コオイムシ科」があります。コオイムシはコオイムシ科の昆虫です。
コオイムシというのは水性カメムシの中でも、卵を背中に乗せて守る習性などがある昆虫です。

コオイムシの特徴

小判型の丸みのある体型で、発達した前脚で他の昆虫などを捕食します。

産卵するときは、メスがオスの背中に卵を産みます。

オオコオイムシとの違い

とても似た種類にオオコオイムシがいます。
見た目の印象はほとんどかわらず、ひとまとめにコオイムシと呼ばれていることも。

見分けるポイントがいくつかあリますが、大きさなどにも個体差があり、確実に見分けるポイントは少ないです。

チェックポイントコオイムシオオコオイムシ
淡い傾向濃い傾向
大きさ17~25mm18~28mm
卵のサイズ少し小さめ少し大きめ
前脚の腿節細い太い

前脚の腿節(たいせつ)の幅が、比較的見分けやすいポイントだと思います。
コオイムシの方が少し細く、オオコオイムシはがっしりとした太さがあるように見えます。

コオイムシの写真
コオイムシの腿節は少し細い
オオコオイムシの写真
オオコオイムシの腿節は少し太い

コオイムシとオオコオイムシを一緒に並べて撮ってみました。
左の3匹がコオイムシで、右の卵を背負った1匹がオオコオイムシです。
コオイムシにも大きさや体色などにばらつきがあるのがわかりますね。

コオイムシとオオコオイムシの写真
コオイムシ(左3)とオオコオイムシ(右1)

生態(食べ物や越冬など)

水生昆虫のコオイムシ(水性カメムシの仲間)

コオイムシは水生昆虫で、水場を利用して生活しているのですが空気中から酸素を取り込みます。
水の中にいても、おしりの先を水面につけているのは空気を取り込んでいるからなんですね。

肉食昆虫

前脚が鎌状となっていて、獲物を挟み込むように捕食します。
捕まえたら獲物に口吻(こうふん)を突き刺して、消化液を出します。
溶けた部分を吸っていくような食事をします。

成虫で冬を超す

コオイムシは成虫の状態で陸上越冬します。

準絶滅危惧(NT)

コオイムシは環境省のレッドデータブック2014において「準絶滅危惧(NT)」に該当しています。
分布の範囲はオオコオイムシよりも広いはずなのですが、感覚的にはコオイムシのほうが出会いにくいです。

成長

春から夏にかけて繁殖し、早いものだとその年にもう一度産卵をする年1~2化の昆虫です。

オスの背中に楕円形の黄色っぽい卵を並べるように産み付けます。

コオイムシの写真
オスの背中に並べられた卵。

孵化(ふか)

オスの背中で守られてきた卵から幼虫が孵化します。
頭の先からちょっとずつ見えてきて、体をのけぞらせるように出てきます。

このあと、水に入るとすぐに泳ぎ始めます。

コオイムシの写真
孵化(ふか)の様子。

幼虫

脱皮を繰り返しながら成長していきます。

コオイムシの写真
陸に上がった幼虫。
コオイムシの写真
孵化したての幼虫は透き通っている。
コオイムシの写真
孵化して時間が経つと茶色の幼虫になる。

成虫

約2cm程度の昆虫ですが、前脚が発達したハンターなのです。

コオイムシの写真
コオイムシの成虫。

産卵

オス♂は水面で体をゆするような行動をしてメスを誘います。
交尾が成功すると、オスはメスの下に潜るように入って、メスはオスの背中に卵をキレイに並べていきます。

卵の先端には接着剤のようなものがついていて、簡単には卵は取れません。
かと言って絶対に取れないのではなく、孵化(ふか)が終わってしばらくすると卵の殻ごとまとめてぺろっと取れているのを確認しています。

コオイムシの写真
産卵。上に乗っているのがメス。

分布や生息地

分布は北海道から九州まで見られる昆虫です。
生息環境としては、水生の植物が豊富な平地から山地の止水域で見つかります。

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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