小さな命に輝きを感じる瞬間を「月刊ムシミル」

ヒメウラナミジャノメ

ヒメウラナミジャノメの写真

写真ギャラリー

サクラ散る頃に地面に降りて休んでいたヒメウラナミジャノメ

羽を広げたヒメウラナミジャノメ。表の羽の蛇の目模様。

ヒメウラナミジャノメを正面から

黄色い花で吸ミツするヒメウラナミジャノメ

ヒメジョオンにやってきたヒメウラナミジャノメ

羽を広げて休むヒメウラナミジャノメ

夕刻。ぶら下がるように休んでいる。

見上げるようにヒメウラナミジャノメを撮影。まるで強い意志を感じるようだ。

一見地味な蝶だが、複雑な鱗粉の模様は光の角度でたまに輝いて見えたりします。

ヒメウラナミジャノメのカップル

ヒメウラナミジャノメってどんな蝶?

とても良く見かけるジャノメチョウの仲間です。
ジャノメチョウの仲間が飛んでいると思ったら、たいていヒメウラナミジャノメです。
似た種類にウラナミジャノメなどがいますが、数を減らして絶滅の危険があるとされていますので、見つけたジャノメはほとんどヒメウラナミジャノメだったりします。

低い位置を飛んでいることが多いので見かけやすいというのもありますね。
しかし、そんなよく見るチョウですが都会では数を減らしているようです。生息に適した地が減っているのでしょう。

ヒメウラナミジャノメの写真
ヒメウラナミジャノメが羽を広げている。凛々しい姿です。

チョウチョの仲間なんだけどなぁ・・・

ちょっと暗いところで見かけたり、薄茶色の地味な印象からかチョウではなく蛾(ガ)の仲間と思われることがあります。チョウとガの区別も実は曖昧なもので明確な区別はないのですが、それでも昼間に活動することや触角が細いことなどは他のチョウと同じような特徴があります。なにより、名前に「チョウ」とついていますし、可愛い目玉模様をしているチョウチョなのです。

ヒメウラナミジャノメの写真
黄色い花で吸ミツするヒメウラナミジャノメ

タテハチョウ科

チョウの分類の中にタテハチョウ科があります。ヒメウラナミジャノメはタテハチョウの仲間になりますが「ジャノメチョウ」の仲間として紹介されることもあります。

特徴

茶色い羽で、裏面は白く細かな波状の模様で少し明るく見えます。
後翅(こうし)には通常で2+3の眼状紋(がんじょうもん)が目立っています。
(変化がありますが、眼状紋の数は多い)

ヒメウラナミジャノメの写真
顔:毛がふさふさの顔
ヒメウラナミジャノメの写真
全体
ヒメウラナミジャノメの写真
幼虫

波のような模様と目玉模様

名前にもついている「ジャノメ」は蛇の目のことです。このような目玉のような模様を眼状紋(がんじょうもん)とも呼びます。
羽を広げた時の表の羽には、前羽に一つと後ろ羽に2つが基本です(もう少し多いときもある)。

裏の羽にもたくさんのジャノメ模様があってきれいに並んでリズム感が良いですね。似た種類にウラナミジャノメがいますが、前羽の表側はジャノメの大きさが違ったりするので、違いを見るときの参考になります。

ヒメウラナミジャノメの写真
表の模様。後ろの羽の紋の数は変化があります。
ヒメウラナミジャノメの写真
裏の模様の眼状紋も数が変わります。

生態

幼虫(イモムシ)の食べ物や餌(エサ)

イネ科のススキやメヒシバ、カヤツリグサ科の植物などを食べます。成虫はたくさん見るのですが、幼虫はあまり見かけないんですよね。猫のような可愛い顔の幼虫だったりするので会いたいのですけどね。

ふわふわ飛ぶ

草っぱらや林の低いところをジグザグ飛んでいるのを見かけます。
少し薄暗い環境を好むので、林縁などでよく見かけることができます。ちょっと飛んでは落ちた枯れ葉の上や葉っぱの上などに止まったりします。

ヒメウラナミジャノメの写真
サクラ散る頃。ヒメウラナミジャノメはよく地面にも降ります。

成長

ミントブルーのきれいな色の卵です。

ヒメウラナミジャノメの写真
表面に凹凸のある水色の卵。
ヒメウラナミジャノメの写真
卵の中に幼虫の姿ができてくると、色も大きく変わるのでわかりやすい。

孵化(ふか)

ヒメウラナミジャノメの写真
卵を食い破るように出てきます。
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目の周りが黒くなっているので、大きなお目々がくりくりしているように見えます。
ヒメウラナミジャノメの写真
出てきた卵の殻を食べる幼虫。

幼虫(若齢幼虫)

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孵化したてはピンク色の幼虫です。
ヒメウラナミジャノメの写真
草かげにかくれていた幼虫。
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体が透けているので、餌(エサ)を食べると緑色に。

幼虫(中齢、終齢幼虫)

ヒメウラナミジャノメの写真
小さな猫耳のように見える顔。草に捕まる姿がイモムシリング。
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少し大きくなった中齢の幼虫。
ヒメウラナミジャノメの写真
食事風景。
ヒメウラナミジャノメの写真
横から見たところ。
ヒメウラナミジャノメの写真
二匹並んでいた。
ヒメウラナミジャノメの写真
不思議な可愛さのある顔つき。
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脱皮の準備で顔が二重になっています。そろそろ脱げそう?
ヒメウラナミジャノメの写真
脱皮した頭部は顔そのまんまです。
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大きく育った幼虫。
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移動中。終齢幼虫の幼虫はかなり大きくなったのがわかりますね。
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立派に育った終齢幼虫。

前蛹(ぜんよう)

蛹(サナギ)になる前の状態を前蛹(ぜんよう)と言います。
ヒメウラナミジャノメは、ぶら下がった状態でサナギになる垂蛹(すいよう)型でタテハチョウの仲間の特徴です。

ヒメウラナミジャノメの写真
おしりでぶら下がってサナギになる準備を始めました。

蛹(サナギ)

薄い茶色の印象のサナギになりました。
付け根のところには幼虫最後の脱皮殻が残っています。

ヒメウラナミジャノメの写真
垂蛹型のサナギ。

成虫

このときは1週間ちょっとで羽化して成虫が誕生しました。

成虫になったチョウは野外で交尾をして産卵します。
そして、年に2~4回程度の発生を繰り返し、秋くらいまで長い期間見ることができます。

ヒメウラナミジャノメの写真
交尾シーン

分布や生息環境

北海道から九州の屋久島あたりまで広く見ることのできるジャノメチョウです。
草丈の低い草地でよく見られ、樹林周辺から農地や公園、湿地などでも見られます。

もっとタテハチョウの仲間を見る!

タテハチョウ科まとめ 蝶の図鑑

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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