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コガタルリハムシの飼育!ギシギシについている黒いイモムシの正体は?

コガタルリハムシの飼育バナー

公園などでよく見かける「ギシギシ」という植物知ってますか?
タデ科の植物で、生薬や食用としても利用される使い道の多い植物なのですが、雑草的に生えているので公園では定期的に他の雑草を一緒に刈られてしまいます。

そんあギシギシですが、公園の横を通りかかった時に一区画だけやたらと食べられた痕があるのを発見しました。
これは何かついているなと思って近づいてみると黒いイモムシが葉っぱを食べていました。
何になるのか気になったので持ち帰って飼育してみることに。

ちなみに飼育した結果「コガタルリハムシ」であることがわかりました!
よく見られる普通の虫ですが、そんな身近な昆虫に目を向けることができてよかったです。

その飼育の様子や、経過を観察したものを紹介します!

コガタルリハムシの一生

先に、コガタルリハムシの生態について簡単に紹介しておきます。
コガタルリハムシはコウチュウ目(甲虫目)のハムシ科に含まれるグループの中の一種です。
成虫、幼虫ともにギシギシなどを食草として育ちます。

完全変態の昆虫で「卵」「幼虫」「サナギ」「成虫」と成長していきます。
蛹の期間が入ることで、その姿はイモムシの状態から硬い羽を持った成虫へと大きく姿を変えることが特徴的です。

夏になると土中に潜って次の春まで長い期間、休眠して過ごしているようです

飼育と観察記録

ではここから飼育と観察の記録です!

4/12 ギシギシで黒いイモムシを発見!

公園で見つけた穴だらけのギシギシ。
ギシギシにはいろんな虫がついているのですが、黒いイモムシがたくさんついていたので何か気になって連れて帰ってみました。

アオムシなどと比べると脚が長いです。
テントウムシの幼虫にも似ていますが、ハムシの幼虫ではないかと予想しています。

コガタルリハムシの飼育の写真
4/12 黒いイモムシ。ギシギシの葉っぱを美味しそうに食べていました。

4/13 様子のおかしい幼虫と蛹(サナギ)に変身

一匹が蛹になっていましたが、今まで元気だったのに三匹もケースに転がっている状態にい死んでしまったと思いました。

コガタルリハムシの飼育の写真
4/13 イモムシが葉っぱをたくさん食べて穴だらけになっています。しかし、それまで元気だった幼虫たちが次々と動かなくなっていきました。少し丸くなって動かないので死んでしまったと悲しい気持ちに・・・ うさぎのフンのような黒い塊に見えるのが幼虫です・・・。
コガタルリハムシの飼育の写真
4/13 その中で一匹だけ蛹になっているものを発見!一匹だけでも成長してくれてよかったと少し安心しました!

サナギになりたてのコガタルリハムシ

コガタルリハムシの飼育の写真
4/13 サナギになりたては全体に黄色いです。蛹の時点で脚などはしっかりと出来上がっているようです。
コガタルリハムシの飼育の写真
4/13 背中から見るとこんな感じです。

4/16 色の変わらない蛹(サナギ)

この蛹は時間が経っても色合あまり変わらないようです。
そして後から知りましたが、このコガタルリハムシは土の中でサナギになります。
ですから、元気がなくなって丸くなって死んでしまったかと思っていた幼虫は、潜る地面がないからそのまま転がっていたってことになります。
葉っぱにぶら下がってサナギになる種類を知っていたので、土の中に潜るというのは新発見でした。

コガタルリハムシの飼育の写真
4/16 二日ほど経ってから見てみると、あんまり変わっていませんでした。目のところが赤くなったくらいですね。どうやら黄色いサナギになるようです。
コガタルリハムシの飼育の写真
4/16 毛が生えている部分が少し斑点みたいになっていますが全体には黄色いサナギです。

4/19 羽化と成虫

頭部や脚が黒くなったら羽化直前の合図です。
ゆっくりと薄皮をむくように、皮を脱いでいきます。

コガタルリハムシが羽化する直前

コガタルリハムシの飼育の写真
4/19 一週間も経たないうちに羽化するようです!脚や頭などが色づいて生きて黒い部分が増えてきました。
コガタルリハムシの飼育の写真
4/19 背中の胸の部分が黒くなっています。羽なども色づくかと思っていましたが、これ以上色は変わらないみたいです。

羽化が始まりました

コガタルリハムシの飼育の写真
4/19 蛹の状態で動き出しました!ここから羽化を始めるようです。蛹の状態では全体に毛が少し生えていましたが、頭部にも毛が見えるのでまだ脱いでいない状態です。
コガタルリハムシの飼育の写真
4/19 少しずつ皮を脱いでいきます。蝶などのように、パカッと割れるわけではなく、表面の皮を脱いでいくような羽化をします。
コガタルリハムシの飼育の写真
4/19 ゆっくりと力を込めて少しずつ脱いでいきます。頭部から順番に抜けていき、触角と脚を引き抜こうと頑張っています。
コガタルリハムシの飼育の写真
4/19 触角と脚が何本か抜けることができました。後少しです!
コガタルリハムシの飼育の写真
4/19 腹部を動かしながらあと一息で抜けられそうなのですが、なかなかうまくいきません。本来は土の中で羽化をするので、周りの壁にこすりつけて脱ぎ切るのかもしれません。最後のちょっとだけ手伝ってあげました。

羽化が成功しました!

コガタルリハムシの飼育の写真
4/19 とうとう抜けきることができました!東部や胸の部分が黒いですが、全体的には黄色い色をしているのでぜんぜん違うハムシみたいです。
しかし、羽化したてはとんでもなく美しい姿なのですね!

次に後ろ羽をのばします

コガタルリハムシの飼育の写真
4/19 この時点では後ろ羽が伸びていません。全体が抜けたら次は腹部を動かし始めました。

コガタルリハムシの飼育の写真
4/19 お腹を曲げたり伸ばしたりしながら頑張っていると後ろ羽が伸びてきました!
一体どうなっているんでしょうね。

伸ばした羽を収納して、後は体が固まるのを待つだけです

コガタルリハムシの飼育の写真
4/19 伸ばした羽は、また少し時間が経つと上翅の下に収納します。

コガタルリハムシの飼育の写真
4/19 ここからは体が固くなるのを待つだけです。脚の動きはぎこちないですが、この状態でも歩くことはできます。

時間が経つと黒っぽくなっていきます

コガタルリハムシの飼育の写真
4/19 二~三時間ほど経ってから確認すると全体的に色が黒っぽくなってきました。

コガタルリハムシの飼育の写真
4/19 頭と胸の黒い部分はかなり広がってきました。

4/20 青色に光るコガタルリハムシの成虫

夜に羽化をして、次の日の朝に確認すると色がすっかりと黒っぽい瑠璃色に変化していました。

コガタルリハムシの飼育の写真
4/20 次の日に確認すると、すっかり瑠璃色の体に変わっていました。公園でよく見るハムシの仲間で「コガタルリハムシ」です。
コガタルリハムシの飼育の写真
4/20 体もしっかりと固まったようで元気に歩き回っていました。
コガタルリハムシの飼育の写真
4/20 瑠璃色ですが、黒っぽくも見えます。

4/22 ギシギシで作ったコガタルリハムシのお家

死んだかと思っていた幼虫達は、みんなサナギになる準備をしていただけでした。(死んだと思って処分しなくてよかった・・・。)
合計4匹のコガタルリハムシが成虫になったので、新しいギシギシの葉っぱを入れてキレイにしてあげました!
今はモリモリと葉っぱを食べています。

コガタルリハムシの飼育の写真
4/22 餌も新しくして小さなプリンカップを使ったお家になっています。

まとめと感想

とても良く見るハムシですが、幼虫の姿は知りませんでしたし、羽化の時の様子などは初めて知ることができました。
身近な昆虫でも知らないことがたくさんあるものだと驚きもしましたが、成長もかなり早く、変化も大きいので観察にも良い昆虫ではないかと思います。
幼虫がついていた食草のギシギシを入れておけばすぐに成長して大きくなるので飼育も簡単です。
春先に見る事ができる昆虫なので、興味があればぜひ飼育してみてください!

注意点は、死んだようにまるくなっているのは蛹になる準備をしている可能性があります。慌てずに少し様子を見てあげましょう!

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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