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ツチイナゴってどんな虫?
日本国内で唯一の成虫で冬をこすバッタです。冬にはあまり昆虫は見られませんが、越冬している昆虫を探していた時に木の高いところに登ってじっとしているツチイナゴを見つけた時には驚きました。その時は冬に生きているバッタがいるとは思っていなかったからです。
体の色の秘密
ツチイナゴは幼虫の時期には緑色をしています。しかし成虫になると茶褐色に変わります。
これにはツチイナゴの生活サイクルが関係していると考えられています。幼虫時代を過ごす夏の時期は緑が生い茂っていますが、成虫で越冬するので冬の時期は枯れ葉などの茶色が多いのです。ですから、茶色をしていたほうが見つかりにくいのですね。
葉っぱの上のツチイナゴ
ツチイナゴの特徴や大きさ
ツチイナゴはトノサマバッタやクルマバッタと同じくらい大きなバッタです。オスでは50~60mm程、メスでは60~70mm程あり、雰囲気も似ています。他のバッタでは大きさにばらつきがあったり、オスのほうがかなり小さくなったりもするのですがツチイナゴはオスも大きいです。これは冬をこすのに体力が必要なためにオスでも大きいのではないかと思います。
他のバッタと違う特徴では、複眼の下の模様や全身に細かい毛が生えているところなどです。幼虫は緑色をしていて成虫と雰囲気は違うのですが、目の下の模様だけは同じ特徴です。
ツチイナゴの顔
ツチイナゴの幼虫の顔
後ろ脚(アシ)の使い方が上手いバッタ
土バッタを捕まえると器用に後ろ足で攻撃をしてきます。まるでヨガをするように器用に後ろ足を曲げて逃げようとするのですが、トゲもたくさんついているので意外に痛いです。
トゲが目立つ後ろ脚
バッタ科
昆虫の分類でバッタ目があるのですが、その中に「バッタ科」があります。ツチイナゴはその中の一種です。バッタ目には、他にキリギリスやコオロギ、ケラの仲間なども含まれています。バッタ科の近い仲間ではトノサマバッタやイナゴの仲間などが有名です。
食べ物、餌(エサ)は?
マメ科のクズやアサ科のカナムグラなどを食べます。他のバッタ科の昆虫がイネ科の植物などを好んで食べるのに対して、葉っぱの広い植物を好んで食べます。
生息地と分布
ツチイナゴは本州から南西諸島まで見ることのできる昆虫です。平地から丘陵などで見られ、草原や林縁などで見られます。冬を越している間は、枯れ葉の下にいたりもするようですが、日光浴をしに木に登ったりもするようです。
南西諸島に近縁種のタイワンツチイナゴも住んでいる
南西諸島にはツチイナゴの他に「タイワンツチイナゴ」が生息しています。見た目は一回り大きな印象ですが、他にも体毛が少ないなどの特徴があります。ツチイナゴはクズなどの葉っぱの広いものを好んで食べますが、タイワンツチイナゴはイネ科の植物を好んで食べるようなので見られる場所にも違いがありそうです。