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エンマコオロギってどんな虫?
日本に生息する蟋蟀の仲間でかなり大きい種類です。地面を歩いているところを見つけることが多いのですが、黒い体で歩いている姿は他の昆虫を連想させて嫌がる人もいるようです。
しかし、鳴く虫としても有名で美しい音色を奏でます。
名前の由来
エンマコオロギは「閻魔(えんま)」が由来となって名付けられていますが、これは顔に入った眉模様が閻魔様の憤怒顔を連想させるところからきています。学名にも「emma」と入っています。
コオロギ科
昆虫の分類にバッタ目があり、コオロギ科はその中に含まれます。
この仲間にはオカメコオロギの仲間やイエコオロギなどがいます。
エンマコオロギの特徴
複眼の上にある眉状の模様が特徴的です。
似た種類もいますが、この眉上の模様である程度見分けることができます。
オスとメスの違い
一番わかり易いのは産卵管です。メスには長い産卵管があります。
メスは羽の模様が細かいですが、オス♂は鳴くために羽の模様が複雑になっているので印象が全く違います。
オス♂
オスは音色を奏でるために羽の模様が複雑に発達しています。
後ろ羽が飛び出ていますが、羽化したてはちょっと広がっているのですが、時間の経過で細く伸びているように見えてきます。
エンマコオロギのメスの産卵管の長さを知らないと、後ろ羽が産卵管のように見えるので注意ですね!
メス♀
シンプルな羽の模様で、長い産卵管が特徴的です。
「エンマコオロギ」とつく似た種類
エンマコオロギにも何種類かいるのですが、みんな似ています。
特徴と生息地を簡単にまとめています。
名前 | 特徴 |
---|---|
エンマコオロギ Teleogryllus emma | 明瞭で狭い眉紋。黒化した山地型と呼ばれる個体もいます。 北海道~九州まで見られます。 |
エゾエンマコオロギ Teleogryllus infernalis | 黒褐色で眉紋は小さめです。 本州の和歌山県より北に生息しています。 |
ムニンエンマコオロギ Teleogryllus boninensis | 体色には変化がありますが、淡色で薄い色の傾向があります。 小笠原諸島に分布します。 |
タイワンエンマコオロギ Teleogryllus occipitalis | 体色は褐色から黄褐色をしていて、眉紋が太いのが特徴的です。 見られるのは本州南部より南で、南西諸島にも。 |
生態や音色
鳴く虫
エンマコオロギは鳴く虫としても有名です。
メインの羽をこすり合わせてコロコロリーと美しい音を奏でますが、これはメスを誘うために奏でているので、鳴くのはオスだけです。
後ろの羽は鳴くのには使わないので、気に入った場所を見つけると自分でとってしまうこともあるようです。
ただ、飼育している個体に関してはそのような行動は確認できず、後ろ羽を残したまま鳴いていました。
鳴いているところを観察していると、自分で土に掘った穴の中で鳴くのも好きなようです。
もしかしたら、掘った空間を使って音を反響させているのかもしれません。
広い場所で鳴いたほうがメス♀に見つけてもらいやすそうですよね?
しかし、とても狭い岩の隙間に挟まれて鳴いていたり、音のじゃまになりそうなのに自分の上に落ち葉がたくさんあるような状態で鳴く事が多いように思います。障害物として邪魔になるのではなく、音を響かせるために場所を選んで鳴いているのだとしたらすごいですね!
エンマコオロギの耳
コオロギは音でコミュニケーションをとる昆虫ですが、音を聴くための耳があるのはご存知ですか?
エンマコオロギの耳は前脚(まえあし)の外側に鼓膜(こまく)のようなものがついていています。
成長
若い幼虫
エンマコオロギの幼虫は体に白い線が入っているのが特徴的です。
脱皮と薄い体色
大きくなった幼虫のメス
あと、2~3回くらいの脱皮で成虫になりそうなメスです。
白い線はなくなっています。
大きくなった幼虫のオス
あと、1~2回くらいの脱皮で成虫になりそうなオスです。
成虫と交尾
成虫になると、オスは綺麗な音色でメスを誘って交尾をします。
他の昆虫ではオスが上に乗ることが多いのですが、観察しているとエンマコオロギは鳴いてメスを引きつけると、オスがメスの下に潜り込みます。
下にいるオスが精包と呼ばれる白い玉をメスに渡すと交尾が成功です。
産卵
卵(たまご)
成虫は冬になると死んでしまいます。
卵の状態で冬を越して、次の春に新しく幼虫が孵化(ふか)するんですね。
分布や生息環境
北海道から九州までみることのできる昆虫です。
草地で普通に見られ、人家周辺にも多いので少し注意すればすぐに見つけることができます。