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マツムシってどんな虫?
秋に鳴く代表的な昆虫の一種で「蟲のこゑ」という童謡の中で鳴き声が歌詞に入っています。
チンチロリンという鳴き声の印象がマツムシでは強いですが、実際にマツムシを観察していると「ピッ ピリリッ」て感じで鳴くので驚く人も多いかもしれません。
都市部では生息数を減らしていますが、それでもまだまだ各地で秋の雰囲気を感じさせてくれる昆虫ですね。
マツムシ科
マツムシはバッタ目に含まれるマツムシ科の昆虫です。キレイな鳴き声を出すものが多く知られ、日本人の耳を楽しませてくれます。
マツムシの特徴
体の色は薄い茶色で、頭部は胸の幅より狭く、小顔な印象です。
沖縄で見られるものは、鳴き声の違いなどもあって「オキナワマツムシ」という別亜種の扱いになっています。
オスとメスの違い
一番わかり易いのは産卵管です。メスには長い産卵管があります。
メスは羽の模様が細かいです。
オスの羽は、音を出すために模様が複雑になっているのと、羽の幅が広いので並べると一目瞭然です。
オス♂
メス♀
オス♂の写真
オスの羽は複雑な模様をしていて、こすり合わせることで音色を奏でることができます。
メス♀の写真
細かな模様の羽で、オスとくらべるとすっきりとした見た目です。
長い産卵管が目立ちます。
鳴き声(動画あり)
鳴く虫
マツムシは鳴く虫としても有名です。
鳴くのはオスだけで、羽をこすり合わせることで音を出します。
その音を使って、メスを誘うなどのコミュニケーションをとっています。
羽は立てた状態で震わせます。
有名な童謡の歌詞では「チンチロ チンチロ チンチロリン」と表現されていて、歌ったことがある人も多いと思います。
柔らかくのんびりした鳴き声かと思っていましたが、実際に音色を聴いてみると、短く切れのある感じで「ピッ ピリリッ」と鳴いているのを聴くことができます。
この音色をチンチロリンと表現した感性に感服ですね。
動画で鳴き声を紹介
生態
食べ物や餌(エサ)
いろんな植物を食べるようですが、飼育する場合は枯れたクズの葉っぱをよく食べます。
クズの葉を取ってきて、数日置いておいたら良い感じになります。
水分は水苔などを湿らせて入れてあげるのも良いですが、私は枯れたクズの葉っぱとナスを爪楊枝に刺して入れておきました。他のきゅうりなどの野菜でも構いませんが、水分補給になりますし野菜を食べる様子がなんとも可愛いからです。
霧吹きで水分補給でも良いでしょうが、クズの葉っぱが白っぽくなってカビが生えることがあったので、あまりおすすめはしません。
雑食性なので、たまにニボシも入れてタンパク質を取ってもらうのも大切ですね!
マツムシの脚(あし)
跳ねる虫の脚は色々とすごいですよね。
ジャンプして、ビタッとくっつくことができたりします。
マツムシも滑りそうなケースの壁を歩くことができます。
脚を拡大してみてみると、ふ節の第2節(脚先の付け根のあたり)が幅広くなったりして、滑りやすいものに捕まりやすいようになっているのがわかります。
成長(交尾の様子や卵)
成虫と交尾
成虫になると、オスは綺麗な音色でメスを誘って交尾をします。
オスが鳴いていると、メスが近づいてきて羽の下に潜るように乗っていきました。
下にいるオスが精包と呼ばれる白い玉を出して、メスに渡して交尾をする様子が観察できました。
精包(せいほう)
オスから渡された精包はしばらくメス♀のお尻にくっついているようです。
白い玉の先っちょが伸びていて、そこをくっつけるように受け渡しをするみたいです。
産卵
マツムシは枯れたイネ科植物の茎に産卵することが知られています。
イネ科の植物を集めて、しばらく乾燥させたものをケースの中に入れておきました。
しばらくすると、かじったような穴をいくつか確認しました。
気になって一つ開けてみれば、そこにはマツムシの卵が入っているのを確認することができました。
分布や生息環境
本州から南西諸島までみることのできる昆虫です。
草丈の高い草地に多く見られ、植物の株元や葉っぱの上で見つかることが多いです。近所の公園ではクズが多くある雑草地から鳴き声がよく聴こえてきます。
南西諸島で見られるものは、鳴き声の違いなどから別亜種「オキナワマツムシ」と呼ばれます。