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【飼育日記】桜で見つけたハバチの幼虫の飼育と観察

ハバチの飼育の写真

飼育日記シリーズは身近でみつけた昆虫の成長を観察し、生き物に興味を持ってくれる人が増えることを期待しています!
大抵の昆虫は、調べると色んな情報が出てきますが、知識として持っているだけでなく実際に観察した記録を写真と一緒に紹介できればと思っています。

幼虫・イモムシとの出会い

昆虫を探していると変わったイモムシを見つけることがあります。その特徴はちょっと変わった動きをすることです。
お尻をくるっと曲げたり、くるくるとトグロを巻いてじっとしていたりします。
これらの幼虫はハバチと呼ばれるハチの仲間の可能性が高いのです。

ハバチの幼虫を知らないと、チョウやガのイモムシかな?と思うかもしれませんね。
実際に私も、昔はハチの幼虫だとは知りませんでした。

サクラの新芽が出てきてしばらくすると、サクラの葉っぱにそんなハバチの幼虫が止まっているのを見かけるようになりました。
ハバチの仲間だろうとは思っていても、どんな成虫になるのかわからなかったので飼育して調べてみることにしました。

ちなみに、サクラはバラ科の植物なので、同じ幼虫はバラにもついているかもしれません。

ハバチの飼育の写真
サクラの葉っぱについて、むしゃむしゃ食べていました。ハバチと思われるイモムシです。
近づくとお尻を丸めて高くあげてきます。威嚇なのでしょうか? 頭は黒いですが、体は透き通ったキイロからミドリの可愛らしいイモムシです。

飼育と観察記録

ここからは飼育と観察した記録になります。

5/2 ハバチの幼虫の飼育ケースと育て方

見つけたハバチの幼虫を一匹だけ連れて帰ってきましたので、ケースにいれて成長を見守ることにしました

ハバチの飼育の写真
5/2 我が家にやってきたハバチの幼虫。頭は黒く、体は透き通ったキイロから緑色をしています。体の緑色は、サクラの葉っぱを食べた色ですね。
ハバチの飼育の写真
5/2 葉っぱにしっかりと捕まってむしゃむしゃと食べていきます。
ハバチの飼育の写真
5/2 飼育ケースはちょっとしたお菓子か何かのプラスチックケースを利用することにしました。サクラの葉っぱは少し大きめのものを選んで、切り口に湿らせたティッシュペーパーを巻いています。フタは乗っかっているだけですが、そんなに移動するイモムシでもないので逃げることはないでしょう。

5/3 脱皮した皮は食べてしまう

早速脱皮しました!
成長してくれるのは嬉しいですね!

脱皮してすぐなので体の色が薄く、顔の様子もよくわかります。

ハバチの飼育の写真
5/3 ふとケースの中を見たら脱皮した皮を食べているようでした。これには栄養分の再利用や、自分がそこにいることの証拠隠滅の理由などが考えられるのですが、もともと目立ったところで葉っぱを食べているイモムシなので、栄養の再利用の可能性が高いかな?と思っています。
脱皮したてなので顔の部分が少し薄いですね。薄くなったのでかわいい単眼のお目々が見えています。ハバチの幼虫はこの単眼が特徴的で、チョウなどの幼虫は複数の単眼が並んでいるので雰囲気がかなり違います。

参考:チョウの幼虫の顔(ナミアゲハ)

こちらはチョウのイモムシの顔のアップです。
クリックすると拡大して見られるようにしています。
顔の横の方に縦に何個か黒いツブツブが並んでいるのが見えますが、それが蝶の幼虫のお目々になります。
蝶や蛾の仲間のイモムシは複数個並んでいるのが普通なのです。

アゲハチョウの幼虫
アゲハチョウの幼虫

5/4 大きな葉っぱですが、もりもりと食べていきます。

ハバチの飼育の写真
5/4 最終的にどのくらいの葉っぱを食べるのかはわかりませんが、体に対して大きな葉っぱをかなり食べています。

5/5 葉っぱの端っこから食べていくスタイル

ハバチの飼育の写真
5/5 葉っぱを食べると言っても種類によって食べ方は様々です。葉っぱの真ん中をくり抜くように食べるものもいれば、ジグザグに食べていく昆虫もいます。ハモグリと呼ばれるものはこの薄い葉っぱの中身だけを食べたりもします。
このハバチの幼虫は端っこから食べていくので、一番素直な食べ方をしていると思います。

5/6 ハバチの幼虫(イモムシ)の色が変わった!

まだ観察5日目ですが、この日は大きな変化がありました!
昼に見た幼虫の色が違うようで、何が起こるのかと思っていたら夜には繭が出来上がっていました。

お昼に見たハバチのイモムシ

ハバチの幼虫の飼育の写真
5/6 緑色と思っていたイモムシが黄色いイモムシに変化していました。
ハバチの幼虫の飼育の写真
5/6 しかし、よくよく前の画像と比べて見ると、元々の色が黄色っぽようです。緑色に見えていたのは食べた葉っぱの色なんですね。ですから、この状態は体内の消化物をすべて出し切った状態ということです。
ハバチの幼虫の飼育の写真
5/6 ハバチが食べた葉っぱの残り。他の葉っぱも少しかじっていましたが、だいたいこのくらい食べるとサナギになるようです。
ハバチの幼虫の飼育の写真
5/6 小さくコロコロした排泄物です。消化すると緑色ではなく黒い色になっているようです。

夜に見たら繭になっていた

いつの間に!?
って感じなのですが、葉っぱと葉っぱの間で繭になっていました!

こんな繭の残りが桜の葉についているのを見かけることがあります。
蛾の仲間の繭の痕跡だと思っていましたが、ハバチの繭の痕だったようです。

ハバチの幼虫の飼育の写真
5/6 繭になると思っていなかったのでびっくりしてしまいました。葉っぱと葉っぱの間に黒いものが見えたので、死んでしまったのかと焦りましたが、外だと見つかりにくそうな良い場所を見つけたのですね。
ハバチの幼虫の飼育の写真
5/6 葉っぱをのけてみました。中には黄色い本体が見えます。まだ幼虫でしょうか?

5/8 太い糸の繭の中に、細い糸で作った繭

サクラ ハバチの飼育の写真
5/8 中にうっすらと見えていた幼虫が隠れています。よく見てみると、太い糸で作った茶色い繭の中に、白く細い糸で作った繭を作っているようです。

5/17 ハバチの羽化

2日から飼育を初めて2周間ほど。
繭になってからは10日ほどで成虫へと羽化をしました。

気づいたときには羽化は終わっていましたが、まだ出たばかりで休んでいるような状態です。
しばらくすると、元気に飛び回るようになりました!
無事に成虫まで育ってくれてよかった。

サクラ ハバチの飼育の写真
5/17 触角を内側に折りたたんで休んでいるようです。
サクラ ハバチの飼育の写真
5/17 元気に活動をはじめました!
サクラ ハバチの飼育の写真
5/17 ハグロハバチとは違って、透明な羽に模様が入っています。
サクラ ハバチの飼育の写真
5/17 羽化して出てきた繭。こんな風に穴を開けて出てくるようです。

予想外に名前がわからない

サクラについていたイモムシでよく目立っていたので、調べたらすぐに名前もわかるかと思ってましたが、ちょっとわかりませんでした。
わかる方いらっしゃったら教えていただきたいです。

サクラ ハバチの飼育の写真
ハバチの顔
サクラ ハバチの飼育の写真
上から
サクラ ハバチの飼育の写真
横から

感想とまとめ

幼虫の状態から成虫になるまでを観察できました。

幼虫はミドリの幼虫だと思っていましたが、よくよく見返してみると黄色い幼虫です。
緑と思っていたのは食べたサクラの葉っぱの色だったのですね。

そして、ハグロハバチなどは土の中に潜ってサナギになることを知っていたので、このハバチも同じような感じかと思っていました。
予想が大きくハズレて、想像してなかった繭を作ったのでびっくりしました。
二種類の糸を使って、繭を作り上げる器用さにもびっくりです。

成虫まで育ったら名前も調べようと思っていたのに、まさか、わからないとは思ってなくて更にびっくりです。
また、名前がわかったら、その種類の図鑑ページも作りたいと思います。

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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