細くてかわいい昆虫。ナナフシってどんな虫?

ナナフシとは?

ナナフシとはナナフシ目ナナフシ科の昆虫の総称です。日本では和名がそのままナナフシ(ナナフシモドキ)と呼ばれるものがいます。ナナフシと言ったら、だいたいこのナナフシ(ナナフシモドキ)のことを指すことが多いです。他にも、エダナナフシやトゲナナフシなどの仲間がいて、日本には15~20種類程度が生息していると言われています。その細く長い形状から木の枝に擬態している昆虫として有名です!

一般的にナナフシと言えば、このナナフシ(ナナフシモドキ)です。

バッタやゴキブリの仲間??

バッタ目(直翅目)と呼ばれる、バッタやキリギリスなどが属する大きなグループがあります。その中に、カマキリやナナフシやゴキブリなどが含まれていたことがあるのですが、現在では独立した目だとされているんですね。そえでも比較的近い仲間になるようです。

漢字で書くと「七節/竹節虫」

漢字では「七節」や「竹節虫」と書きます。「七」という字には「たくさんの」という意味があります。七つの節があるということではなく、たくさんの節のある虫という意味でつけられた名前ですね!「七転び八起き」って言ったりしますが、何回失敗しても、また立ち上がって頑張っていくことの例えで使っていて、「七転び」とはたくさん転ぶことの意味ですね。「竹節虫」というのは、そのまま体の形状が竹の節のように見えることから名付けられています。

ナナフシの英語ででの呼び方

ナナフシを英語では、「Stick insect(スティックインセクト)」や、「Walking stick(ウォーキングスティック)」と呼びます。 Stickとは「棒や棒状のもの」を指す言葉で、ナナフシの場合だと木の枝のことを指しています。 Stick insectは木の枝みたいな虫。 Walking stickは歩く木の枝になります。面白いですね!

学名が面白い!日本語にすると「異様なもの」!?

ナナフシ目の学名は「Phasmatodea」です。異様なものを表す「phasma」からつけられています。とんでもない名前つけられちゃいましたね。

ナナフシの形態

「棒みたいな虫」見たことありますか?

ナナフシの体
ナナフシ(ナナフシモドキ)は、細く長い体に、細く長い脚(あし)が特徴的で、とにかく細く長い印象です。木の枝に擬態していると言われており、木の枝みたいな虫としても有名な昆虫です。
他のナナフシも細く長い種類が多いですが、ちょっと短めでずんぐりしているトゲナナフシやコブナナフシもいます。

葉っぱみたいな昆虫として有名なコノハムシもナナフシの仲間です。

ナナフシの翅・羽(はね)

ナナフシ(ナナフシモドキ)をはじめ、翅(はね)は退化して無いものが多いです。しかし、トビナナフシなどの一部のナナフシには翅があって飛ぶことができます。

ナナフシの生態

ナナフシの食べ物

ナナフシ(ナナフシモドキ)が食べるのは葉っぱです。好んで食べる葉っぱはバラ科の植物やクヌギ、コナラなどですが、広葉樹の葉っぱを広く食べます。
種類によって好みの葉っぱは違いますし、同じ種類のナナフシでも好みがわかれたりします。しかし、全体的に共通しているのは草食の昆虫ということです。
トゲナナフシは小松菜なども食べます。しかし、食べるものが決まっている種類もいて南西諸島のヤエヤマツダナナフシはアダンと呼ばれる植物の葉しか食べません。

ナナフシの生息地

生息地域はナナフシ全体を見てみると大体の種類は本州で見られますが、沖縄の方まで行くとアマミナナフシやコブナナフシが見られます。北海の方ではトビナナフシの一部の種類が見られるだけで、他のナナフシは見られなくなります。
どんなところに住んでいるかでは、ナナフシ(ナナフシモドキ)ですと、平地から少し標高の高いところまで見られます。エダナナフシですと平地よりは少し標高のある山の中で見つけることが多いです。
同じナナフシの仲間でも好む生息環境は違います。

不完全変態(ふかんぜんへんたい)

昆虫の変態様式には「完全変態」と「不完全変態」とがあって、ナナフシは不完全変態の昆虫です。何が違うのかと言えば、一番の違いは蛹(サナギ)の状態があるかどうかです。ナナフシにはサナギの時代がありませんので、生まれたての幼虫の時から成虫と同じような形をしています。同じように不完全変態をする昆虫にはバッタやカマキリなどがわかりやすい例で、小さい時も成虫を小さくしたような見た目をしています。羽の印象が強いので大きく変わっているように思いますが、トンボやセミなども不完全変態の昆虫になります。

擬態(ぎたい)

ナナフシの特徴の一つに擬態があります。擬態とは何かに変装することです。他の強い生き物や毒のある生き物に変装することで身を護ったりします。ナナフシ(ナナフシモドキ)の擬態はちょっと違って、木の枝に擬態しているといわれています。これは木の枝に変装することで、敵から見つからないようにする工夫です。まるで忍者ですね!

単為生殖(たんいせいしょく)

生き物にはオスとメスで子孫を残すのが一般的で「有性生殖」と呼ばれます。ナナフシの多くの仲間も有性生殖を行います。

しかし、ナナフシ(ナナフシモドキ)のオスはめったに見つかりません。ほとんどメスしかいないのです。メスだけで産んだ卵からも幼虫が孵(かえ)ってきます。メスだけで産卵をして増えることを「単為生殖」と呼びます。ナナフシ(ナナフシモドキ)のオスを見つけたら、昆虫館などに連絡すると良いでしょう。新聞に載ることもあります。

トカゲみたいに自切(じせつ)する

ナナフシ(ナナフシモドキ)を始め、ナナフシの仲間では身の危険を感じると、自分から脚を切りはなす「自切」を行います。トカゲのしっぽみたいなイメージです。単純に細いのでもげることもあります。しかし、幼虫の頃に失った脚は脱皮すると再生します。

ナナフシの寿命

ナナフシ(ナナフシモドキ)は卵で冬を越し、春先に暖かくなると孵化(ふか)してきます。幼虫はちょっとずつ成長し夏までには成虫になります。秋にはちょっとずつ数を減らし11月にもなるとほとんど死んでしまいます。しかし、飼育による環境であれば年を越して2月くらまで生きるものもいます。

卵も擬態している

ナナフシの卵はまるで植物の種子のようなデザインになっていて、地面に産み落とされるとまず見つけることはできません。

ナナフシの卵図鑑(ギャラリー)

この中にナナフシモドキの卵がかくれているよ。何個の卵があるかわかりますか?(答えは最後の「まとめ」に書いてあります。)

孵化にびっくり

生まれてビックリ。数ミリの卵からありえないサイズのナナフシの幼虫が出てきます。どうやっておさまっているのでしょうね。

これは日本のナナフシではありませんが、左の後ろ足が抜けずに卵がついています。どうやって収まっていたのでしょうね?

幼虫の時代

生まれたての幼虫は小さく可愛いです。全体的に透けています。木の枝のマネをしているポーズもとりますが、葉っぱの真ん中でじっとしていることも多いです。小さい頃は葉っぱの葉脈のマネをしているのではないかと思います。

ナナフシの幼虫図鑑(ギャラリー)

脱皮と再生

昆虫は脱皮をして大きくなります。ナナフシの仲間ももちろん脱皮をして大きくなります。ナナフシですごいのは脱皮をする時に失った脚を再生することができます。若い幼虫の時に自切したものなら成虫になったときにはほぼ再生できちゃうんですね!成虫になってから失った脚は再生できません。

成虫の時期

脱皮を繰り返し、生まれた時から比べるととても大きくなります。脚を伸ばして数cmだった幼虫が、大きいものだと15cmを超えてきます!生まれたての時はちょっと透けていた体も、脱皮とともに木の枝のようにゴツゴツしていきます。成虫になると卵を生み始めます。どこかにまとめて産み付けるのではなく、一個一個の卵をばらまくように生み落していきます。地面に落ちると植物の種子のようで見つけるのは簡単ではありませんが、飼育下だとケースに落とされるので採集しやすいです。

毒はあるのか?

海外には弱い毒を噴出するナナフシの仲間が確認されているようですが、日本のナナフシには毒はありません。ですから鳥などに見つかってしまうと普通に食べられてしまいます。しかし、日本のナナフシで毒があると勘違いされるのにも理由があります。江戸時代の頃にナナフシは蜘蛛の仲間だと勘違いされていたようなのです。大きな蜘蛛(クモ)の仲間と思われていて「大毒蟲」と呼ばれていたそうです。もちろん、日本のナナフシは触っても問題ない種類ばかりです。どちらかと言えばか弱い虫なので優しく触ってあげましょう。

臭いを出すナナフシがいる

ナナフシ(ナナフシモドキ)などは食べて出したものがフローラルな香りがするくらいですが、日本には身を守るために臭いを出す種類がいます。南西諸島に生息するヤエヤマツダナナフシです。台湾に生息するツダナナフシの亜種ですが、身の危険を感じると白い液体を噴出し、その液体が湿布のようなツーンとしたミント臭を出します。

他に、日本で見られるナナフシ

日本で見られるナナフシは15~20種類ほどとされていますが、研究や分類が進むと変わってくる可能性があります。違うと思っていた種類が同じ種類だったり、同じと思ってい種類が違う種類だったりするからです。特にナナフシは単為生殖でメスだけで増えるため、ちょっと見た目が違うと別の種類に見えたりするのでややこしいと思います。多く見積もっても20種類くらいしかいないのにあやふやなのはそこら辺に研究の難しさがあると思います。

日本で見られる代表的なナナフシをあげておきます!

・ナナフシモドキ
・エダナナフシ
・トゲナナフシ
・アマミナナフシ
・ヤエヤマツダナナフシ
・シラキトビナナフシ
・コブナナフシ

ナナフシ(ナナフシモドキ)

エダナナフシ

トゲナナフシ

アマミナナフシ(オキナワナナフシ)

ヤエヤマツダナナフシ(ツダナナフシ)

台湾のツダナナフシですが、ヤエヤマツダナナフシは亜種になります。

シラキトビナナフシ

コブナナフシ

飼育法(ナナフシの飼い方)

ナナフシの飼い方ですが、ここではナナフシ(ナナフシモドキ)を例に出します。飼育は比較的簡単です。

餌(エサ)

餌として好んで食べるものはバラ科の植物やクヌギ、コナラの葉っぱなどですが、広葉樹の葉っぱを広く食べる草食です。幼虫の頃はあまり硬い葉っぱは食べることができないので、新芽などをあげるか、ミニバラなどをおすすめします。園芸店でも売っていますし、庭で育てている人もいるかと思います。我が家のベランダーにもプランターを置いて育てています。ただ、買ってきたばかりのものでは農薬には気をつけましょう。サクラの新芽なども好んで食べ、花が咲く季節ですと花弁を食べているのも見たことがあります。

大きくなってくると、しっかりした葉っぱも食べることができるようになります。飼育下で長生きした場合は餌の確保が難しくなることがありますが、そんな時に便利な食草がレモンリーフです。

冬場の餌の確保に便利なレモンリーフ

レモンリーフは北米原産の植物で、名前にはレモンと入っていますが、ツツジ科の植物になります。レモンの香りなどは全くしませんが、レモンの葉に形が似ていることから名づけられたようです。フラワーブーケなどで葉物として利用され、園芸店で枝ごと売られています。虫などにも強い植物なので農薬などもほとんど使われないそうで、安心して食草として与えることができます。枝ごと水に差してプラケースに一緒に入れてあげると葉っぱも長持ちしてよいですよ!

飼育ケース

幼虫くらいの大きさでしたらちょっとしたプラケースで飼育することもできます。体長に合わせて飼育ケースも大きくしていかなければなりませんが、最初から大きすぎるのもよくありません。ナナフシは天井にぶら下がることも多く、大きなケースの真ん中にちょっとだけエサが入っている場合などは食べなかったりするからです。天井にぶら下がっていてもエサに届くような入れ方をしてあげるとよいでしょう。

成虫くらい大きくなってくると、ケースも大きいものを準備しないと窮屈ですね!今は大きな50cmくらいのプラケースも見かけますが、広々と飼育したい場合は押入れなどで使う収納ケースを使うこともできます。収納ケースを立てた状態でふたを外してネットをかけるのです。大きなナナフシケースの完成です!

しかし、もっと洒落たケースにはできないのでしょうか?僕のおすすめは「GEXのグラステラリウム 3045」です!ナナフシ(ナナフシモドキ)を飼育するには完全にオーバースペックですが、これに花瓶を入れてナナフシを飼育するとリビングにもぴったりです!
3045の本体サイズは315×315×480(mm)あるのですが、高さが50cm近くあって余裕を持って飼育できます。他のサイズもあるので気に入ったサイズを探してみるのも良いですね!

ナナフシの見つけ方

ナナフシを見つけるにはまずは食草を探すところからです。ナナフシ(ナナフシモドキ)は食べる食草の幅も広いですがサクラの根元に新しく生えた新芽の辺りを探してみると良く見つかりますよ!

色んな最大のナナフシは?

大きなナナフシの仲間を、日本と世界で何種類か紹介します。

日本最大のナナフシ

日本で最大といわれているのは「アマミナナフシ(オキナワナナフシ)」です!体長は15cmにもなり、脚も含めた長さは20cmを越えてきます!一歩がでかいので動きの割には移動力は高いです。

世界で最長のナナフシ

2008年にボルネオ島で発見されたナナフシで「チャンズ・メガスティック(Phobaeticus chain)」というナナフシが全長56.7cm(脚まで入れた長さ)で世界最長と言われていました。
参考:ボルネオ島の新種:世界最長の昆虫

しかし、2014年に中国南部で発見された「フリーガニストリア・チャイネンシス・ツァオ(Phryganistria chinensis Zhao)」が全長62.4cm(脚まで入れた長さ)で記録を更新したようです。
参考:全長62.4センチのナナフシ、世界最長の昆虫か

もっと大きなナナフシも今後発見されるかもしれませんね。

世界で最重量

世界で最も重いナナフシと言われているのは「サカダチコノハナナフシ(Heteropteryx dilatata)」です。昆虫全体で見ても最重量クラスで見た目も単純にでかい。しかもトゲトゲしているので強そうに見える。

個人的にびっくしたナナフシ

色々調べている時に見つけた西田賢司(にしだ けんじ)さんの「コスタリカ昆虫中心生活」の記事で知ったナナフシです。なんと標高5000mの山で発見されたそうです。

参考:コスタリカ昆虫中心生活 第33回 ナナフシの「七不思議」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20120910/322537/?P=2

まとめ

ナナフシのこと少し好きになってもらえたでしょうか?特徴的な形と、実は動きも可愛いので子供から大人まで人気のある昆虫です。飼育も簡単ですので、親子で観察するのも楽しいですね。

※答え:ナナフシモドキの卵の数「3個」。

他にもいろんな昆虫を「Jewel Insect Life」で紹介していますのでぜひご覧になってください。