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カマキリ(チョウセンカマキリ)

チョウセンカマキリの写真

写真ギャラリー

花に紛れて獲物を狙っているのだろうか(滋賀)

ヒマワリからぶら下がるようにカマキリが顔を出していた(滋賀)

日が暮れた頃に草むらで見つけました(大阪)

緑色のチョウセンカマキリ

茶色のチョウセンカマキリ

茶色のカマキリは緑の上ではちょっと目立ちます(大阪)

チョウセンカマキリの威嚇

カマキリ目(蟷螂目)まとめ カマキリの図鑑へ

カマキリ(チョウセンカマキリ)ってどんな虫?

カマキリはいろんなポーズを取ります。その仕草がとてもユーモラスでカマキリ好きでなくても興味を持つ人は多いです。カマキリは普通にしているだけなのでしょうが、その姿からは力強さや色気まで感じることがあります。そしてカマキリの複眼の構造にも秘密があって、どこから見てもこっちを見ているような不思議な構造しているので、自分と意思疎通をしているようにも見えるのです。その目の構造を「偽瞳孔(ぎどうこう)」と呼びます。

カマキリ目のカマキリ科に含まれる昆虫で、チョウセンカマキリと呼ぶのですが、そのまま「カマキリ」とも呼ばれます。

チョウセンカマキリの写真
草むらで葉っぱの上にいたチョウセンカマキリ

カマキリの名前の由来

カマキリは漢字で「蟷螂」と書きます。こちらが一般的ですが、意味としては「鎌切」がもとになります。これはカマキリの前脚が鎌のようになっていることから「鎌で切る」の意味からつけられたという説や「鎌を持つキリギリスの仲間」という意味合いからつけられたとされています。(昔はカマキリはキリギリスに近い仲間とされていました。)

別名:拝み虫

カマキリは色んなポーズを取りますが、その中のポーズで手を合わせているようなポーズをとります。そのポーズが神様に祈りを捧げているように見えたりしたんですね。更にはカマを振り上げて威嚇している姿も、神様に祈りを届けようとしているようにも見えます。そんなところから「拝み虫」という別名を持っているのです。

英語でも「praying mantis(プレイング マンティス)」と呼ばれることがありますが「祈るカマキリ」の意味がります。

他にも「斧虫」などの呼び名もあります。

チョウセンカマキリの特徴

チョウセンカマキリの色の変化

チョウセンカマキリは、同じカマキリでも色彩に変化があります。

緑色の型

チョウセンカマキリの写真
チョウセンカマキリ

茶色の型

チョウセンカマキリ
全体に茶色の印象が強いカマキリ。
チョウセンカマキリの写真
茶色のチョウセンカマキリ。緑の上にいると目立ちますが、秋には枯れた草むらも増えてくるので、この体が目立ちにくい場所もたくさんあります。

カマキリの見分け方 – オオカマキリとチョウセンカマキリ

色んなカマキリの種類の中でも「オオカマキリ」とはとても似ていて一回り大きさが違うくらいです。しかし、羽を広げてみるとオオカマキリの後ろ羽が濃い色をしているのに対してカマキリ(チョウセンカマキリ)の後ろ羽は薄い色をしています。羽を広げないとわからないですが、一番確実な見分け方です。

もしくは、カマの付け根の色を見る方法もあります。オオカマキリではくすんだ「薄黄色」をしていますが、カマキリ(チョウセンカマキリ)では「オレンジ色」をしています。

チョウセンカマキリ

チョウセンカマキリの写真
チョウセンカマキリ

見分けるポイントその1「羽」

羽といっても、普段は隠れている後ろの羽です。
後翅(こうし)と言いますが、飛ぶときや威嚇するときなどに羽を広げると見える部分です。
普通に見ていてもわからないので、ちょっと怒らせて威嚇させるか捕まえて確認するしかないですね。

チョウセンカマキリの後翅(こうし)

チョウセンカマキリの写真
チョウセンカマキリの後翅は透明な印象です。

オオカマキリの後翅(こうし)

オオカマキリの写真
オオカマキリの後翅は広げると黒っぽい色をしています。

見分けるポイントその2「カマの付け根」

確認しやすいのはこちらのポイントになります。
鎌(カマ)の付け根の部分の色が違います。
オオカマキリでは黄色っぽいのですが、チョウセンカマキリはオレンジ色をしています。

チョウセンカマキリの胸はオレンジ色

チョウセンカマキリの写真
チョウセンカマキリのカマの付け根はオレンジ色。

オオカマキリの胸の色は黄色

オオカマキリの写真
オオカマキリのカマの付け根は黄色。

チョウセンカマキリの生態

チョウセンカマキリの威嚇

羽を広げて手を上げることで体を大きく見せ相手を威嚇します。

カマキリ(チョウセンカマキリ)の写真
カマキリ(チョウセンカマキリ)の威嚇のポーズ。

肉食の昆虫

カマキリは肉食の昆虫です。その能力はとても高く、鎌のような前脚で獲物を捕まえるとすぐにかぶりついて獲物を食べてしまいます。生まれたての小さなカマキリではアブラムシなどの小さな昆虫しか捕らえることはできませんが、成長してくると大きな昆虫や、時にはカエルなども捕まえます。

その狩りの様子は獲物を待ち伏せするスタイルです。花の近くなどに潜んで、やってきたチョウなどの昆虫を捕らえます。それは本当に一瞬の出来事です。

花に紛れるチョウセンカマキリ

チョウセンカマキリの写真
花や草の中に見を潜ませて獲物がやってくるのをじっと待っている。

共食い

カマキリの仲間は餌(エサ)が足りなくなると共食いもしてしまいます。飼育下では一匹ずつ飼わないといけません。それと、オスはメスに食べられてしまうという話もよく聞きます。実際にオスがメスに近づく時にはかなりの慎重さが求められます。動いているものを獲物と認識するので、そっと近づかないとメスに襲われてしまうのです。しかし、実際にメスに襲われてしまうものはほんの一部です。みんな食べられてしまうわけではないのです。

寄生虫

ハリガネムシ

カマキリにつく有名な寄生虫でハリガネムシというのがいます。こいつはカマキリに取り付いて、時期が来たら水辺へ連れて行きます。そこでカマキリのお腹から出てきて水に入っていくのですが、カマキリを水辺に行くように操っていると考えられています。

寄生蜂

カマキリの卵鞘に卵を産み付けるハチがいます。オナガアシブトコバチなどの仲間がそうで、長い産卵管を深く突き刺して産卵し、中の卵を食べて育ちます。

参考:オナガアシブトコバチ

卵鞘(らんしょう)

カマキリの卵は「卵鞘」と呼ばれるスポンジのようなものに包まれています。その中にたくさんの卵が入っています。スポンジ状の卵鞘は中の卵を守る役割があり、冬の寒さや雪にも耐えて暖かくなった時に孵化(ふか)します。

カマキリ(チョウセンカマキリ)の卵鞘は細長い枕型をしています。

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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