ダイミョウセセリってどんな蝶?
セセリチョウ科
チョウの分類にセセリチョウ科があります。尖ったものでつつき回すことを「せせる」と言います。セセリチョウの仲間の口吻は長いものが多く、花をあちこち「せせり」ながらミツを吸うところから名付けられました。
名前の由来
ダイミョウセセリの「ダイミョウ」とは何を表しているのでしょう?漢字では「大名」と書くのですが、これは昔の大名が着ていた羽織袴(はおりばかま)の模様から連想されて名付けられたという一説があります。
羽を開いてとまる
セセリチョウの仲間は羽を閉じて止まることが多いのですが、このダイミョウセセリは羽を開いて止まることが多いです。パタパタとせわしなく飛んできたかと思うと、大きな葉っぱの上などに羽を広げて止まります。蛾の仲間にも似たような動きをして羽を広げて止まるものはたくさんいるので、少し慣れておかないとセセリチョウと気づかないかもしれません。
関東と関西で模様が違う
ダイミョウセセリの羽の色は黒に近い褐色で、前の羽には大小の白い紋が入っています。オストメスではそんなに違いはないのですが、実は地域変異の見られる昆虫です。どこが違うかというと、羽を広げたときの後ろ羽です。
中部地方以東(関東方面)では後ろの羽に模様はなく無紋になっています。しかし、近畿地方以西(関西方面)では後ろの羽に白い帯の模様がはっきり入っています。
分布や生息環境など
北海道ではほんの一部ですが、本州、四国、九州と広く見られる昆虫です。樹林やその周辺の草地でよく見られます。日中は各種の花を訪れ、吸水活動も行います。
日本以外でも東アジアや東南アジアに広く分布しています。
幼虫(イモムシ)の食べ物や餌(エサ)
セセリチョウの仲間ではイネ科の植物を食べるものが多いですが、ダイミョウセセリの幼虫はヤマノイモ科のヤマノイモやナガイモなどを食べます。樹林や園周辺でよく見られるのはこの食草の関係もありますね。
葉っぱを切り取って、器用に折りたたんで巣を作る習性もあります。
幼虫で越冬
越冬は、終齢幼虫になると落ち葉の中に潜ります。そして、春になって暖かくなってから蛹化して羽化します。