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トノサマバッタってどんな虫?
バッタ目バッタ科の昆虫で、イナゴを大きくしたような印象です。
よく見れば色彩も豊かで、羽のまだら模様も美しいバッタです。
トノサマバッタの大きさ(cm)は?
トノサマバッタはメスの方が大きくなります。
オスで3.5cm~5.1cm
メスで4.5cm~6.8cm
ほどになり、メスは日本ではかなり大きなサイズのバッタなのです!
おまけ:日本で最大のバッタはショウリョウバッタのメス
名前の由来や考察
トノサマバッタの「トノサマ」は「殿様」です。なぜ殿様なのでしょう?諸説あって、実際にはよくわからないようですが、少し考察してみると面白いです。
ひとつ考えられるのは、日本のバッタの中でもかなり大きな種類であるために、その大きさから「王様」の意味を込めてトノサマとつけられたのではないか?といったものです。しかし、それだと素直に大きいの意味を込めて「オオ~」とかつけてオオトビバッタとか名づけたらよいような気もしますね。
では、畏敬の念を込めて殿様とつけたというのはどうでしょう?イナゴなどと共に、トノサマバッタはたびたび大発生をして農地を食い荒らし、災害レベルの被害をもたらせます。大発生までいかなくても被害は出たはずでですね。その中で一番大きかったバッタに畏敬の念を込めてトノサマバッタと名づけ、トノサマの機嫌を損ねないようにしていたという想像はありそうな話だとも思います。
ちなみにトノサマバッタには別名で「ダイミョウバッタ(大名飛蝗)」の呼び方もあります。
英語では「Locust(ローカスト)」か「grasshopper(グラスホッパー)」
トノサマバッタをそのまま英語で表す言葉はなさそうですが、バッタのことを「Locust(ローカスト)」もしくは「grasshopper(グラスホッパー)」と呼びます。どちらにもバッタの意味は入っているのですが「Locust」には、集団で農作物を食い荒らすバッタの意味が込められています。なので、たびたび大発生をすることが知られるトノサマバッタには「Locust」が使われるのですね。
トノサマバッタの特徴
トノサマバッタはどんなバッタなのか?
形態的特徴から見ていきましょう!
白バック写真
色の種類が3パターン
トノサマバッタには「緑色型」「褐色型」「黒色型」の3種類がいます。
保護色の体
トノサマバッタの色と模様は3パターンあると紹介しましたが「保護色」になっています。
緑色だと草むらで見つけにくく、荒れ地などでは茶色っぽいと見つけにくいですね。
後翅(こうし)の模様
バッタの種類を調べるときには後翅(こうし)と呼ばれる、内側の羽を確認してみるのも良いですね。トノサマバッタの羽は黄色みを帯びた半透明です。
トノサマバッタに似ている昆虫
クルマバッタやクルマバッタモドキと似ていますが、トノサマバッタは後ろの羽に模様が入っていないことで識別できます。他にも胸部の上側がV字状にちょっと凹むことでも識別できます。
イナゴとは違うのか?
イナゴは同じバッタの仲間ですが、トノサマバッタとは種類が違います。
しかし、イナゴの仲間もバッタ科の同じ仲間ですし、見た目も少し似ていますね!
生態(食べ物・災害・バッタ釣りなど)
食べ物や餌(エサ)は?
イネ科の植物を好んで食べますが、雑食性で他の昆虫の死骸なども食べることがあります。
昆虫園などで飼育する場合は、ススキやコムギ、トウモロコシなどをエサ用に大量に保管しているみたいです。
タンパク質の摂取もするので、広くいろんなものを食べることができますね!
孤独相と群生相
生息密度の低い環境で育ったトノサマバッタは「孤独相」と呼ばれる状態になり、生息密度の高い環境で育つと「群生相」と呼ばれる状態になることがわかっています。
群生相になるは仲間のフンのにおいなどが刺激となって現れるようです。たくさん密集しているとフンも多いですよね。
群生相の特徴として
- 羽が長くなる
- 後ろ脚が短くなる
- 集まって生活する
- 性格が凶暴になる
- なんでもよく食べる
凶暴になるとか、嫌な雰囲気が漂ってきますが、実際に災害レベルの惨事を引き起こすことがあります。
飛蝗(ひこう)とよばれる災害
群生相のトノサマバッタへと変貌すると、農作物を被害をもたらす「飛蝗(ひこう)」と呼ばれる現象を引き起こすことがあります。「蝗害(こうがい)」とも言われ、大群のトノサマバッタが押し寄せて一帯の植物を全て食べつくしてしまいます。
近年では明治の頃に北海道で飛蝗が確認されたようですが、日本では農薬などの普及により過去の災害となっています。
トノサマバッタの習性を利用した「バッタ釣り」
バッタって実は釣れるんです!
「バッタ釣り」と呼ばれ、糸の先に黒い棒状のものをくくりつけて竿のようにすれば準備はオッケー!
トノサマバッタ(オス♂)を見つけたら近くに放り投げてみましょう。
メスと勘違いしたオス♂のトノサマバッタが飛び乗ってきます。
オスの習性を利用した遊びなのでメスには使えませんが面白いですね!
コツとしては日中で、メス程度(5~6cm程度)のサイズのものを準備し、さもメスが歩いているように見せかけるとオスが飛び乗ってきますよ!
成長
スポンジに包まれた卵
成熟してオスと出会ったメスは土中に腹部を差し込んで卵を産みます。土に腹部を差し込むって凄いですね・・・。
そこに、卵を多数含んだスポンジ状の卵塊を産み付けます。
孵化(ふか)のタイミングの違い
夏に産卵された卵は1か月程度で孵化して成長します。
その個体が大きくなって秋に産卵された卵は冬を越して、春になったら出てきます。
幼虫時代
不完全変態をする昆虫で、卵から孵化した時から成虫と同じような形をしています。
卵から孵った幼虫は、1齢幼虫~5齢幼虫まで脱皮をしながら大きくなって成虫になります。
天敵は?
トノサマバッタは大きいと言ってもやはり天敵は存在します。スズメバチやカマキリなどには捕食されてしまいますし、クモの網にかかることもあります。
トノサマガエル、ヘビ、トカゲ、鳥類などにも狙われますね。敵が多い・・・。
トノサマバッタの思い出
トノサマバッタは殿様だ!イナゴやショウリョウバッタは簡単に捕まえられるのにトノサマバッタは難しかった。ジャンプしたってまた地面に降りるはずなのに、時には鳥のように飛んで行ってしまうんですよね。捕まえるとすごい達成感があったものですが、トノサマバッタって大きいんですよね。力も強い。網に入ったはいいけど、脚も引っかかって取り出せなくて困った覚えがあります(笑)
分布や生息地
全国に分布しています。平地から丘陵の、イネ科の植物が見られるような荒れ地や草原に多く生息しています。
環境が整っていれば都市の大きめな公園でも見られますよ。海岸の浜辺に草の生えたようなところにもいました。