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クロオオアリってどんな蟻?
クロオオアリは都市部の公園でも見られる身近な昆虫でありながら、日本で見られるアリの仲間の中では最大級のサイズを誇ります。
飼育も比較的簡単で、社会性を持つ昆虫の観察をするのに向いている生き物でもあります。
クロオオアリの一生と役割
5~6月頃の雨上がりのタイミングで結婚飛行が開始されます。
結婚飛行とは、成熟した巣から羽を持った新たな女王アリと雄アリが飛び立って行くことです。
出会った女王アリと雄アリは交尾をすると、羽を自分で切り落として一匹で巣作りを始めます。
最初の頃は、基本的には何も食べずに体内に蓄えた栄養だけで幼虫の世話をし、少しずつコロニーを大きくしていきます。
最初は小さな働きアリが育つだけですが、次第に大型の働きアリなども育てて巣を発展させ、大きなコロニーに育っていくと、次世代の女王アリや雄アリが巣立っていきます。
クロオオアリの女王は寿命が10年~20年とも言われ、その間に女王が死ぬと巣は自然に崩壊してしまいます。
女王アリ
働きアリは7mm~12mm程ですが、女王アリは20mm程ある大きな体型です。
単女王性で、一匹の女王アリで巣を大きくしていきます。
女王アリの寿命
女王アリの寿命は10年から20年とも言われています。かなり長生きです。
新たな女王を産むようになるのに6~7年ほどかかると言われています。
新女王と雄アリ
新女王アリと雄アリは8月頃に羽化しますが、その年には結婚飛行をせずに次の年の5~6月頃に行います。
働きアリと兵アリ
女王アリは働きアリを産んでコロニーを大きくしていきます。
働きアリが巣を大きくしたり、餌を運んだり、卵や幼虫の世話をすることで社会性が成り立っています。
働きアリにも大きな働きアリと小さな働きアリがいます。
小さな働きアリが一番数も多く、単に「ワーカー」や「マイナーワーカー」と呼ばれます。
大きな働きアリは「兵アリ」とも呼ばれるのですが、「メジャーワーカー」とも呼ばれています。
クロオオアリの生態
巣を作る場所
巣の場所は裸地や畑、木の根元などに巣を作ります。
入り口は地表に直接開けて、土を盛り上げた噴火口のような小さな塚を作ります。
食べ物や餌(エサ)
働きアリたちは、蛾の幼虫などを狩ったり、死骸を集めたりしています。
アブラムシの出す甘露(かんろ)や花のミツなども好んで食べています。
アブラムシとの共生
アリの仲間の多くはアブラムシの出す甘露を好んで食べることが知られますが、アブラムシは甘露をアリに渡すことで、かわりに天敵から守ってもらうという共生関係がよく知られています。
クロオオアリも甘露を好むので、アブラムシの周りにもよくやってきます。
クロオオアリの結婚飛行
次代を担う女王アリや雄アリは、巣の中で羽化すると次の年がやってくるのを巣の中で待っています。
時期が来ると巣から飛び立つのですが、5~6月の雨上がりなどで湿度の高い午後の時間帯を狙って、一斉に飛んで行きます。
そうやって各巣から出てきた女王アリと雄アリは空中で交尾をするようです。
女王アリは地面に降りると、巣を作る場所を探して歩き回り、もう使わない羽は自分で切り落としてしまいます。
気に入った場所を見つけると巣を掘り始め、最初は数匹のワーカーを産卵し、自分が持っている栄養だけで育てていきます。
雄アリは交尾を終えて地面に降り立つと、役目は果たしたので、そのまま死んでいきます。
結婚飛行の様子
午前中に雨が降っていた6月上旬の夕方です。
18~19時くらいのタイミングで、巣から出てくる雄アリを確認しました。
道路脇の街路樹の根本付近です。
働きアリたちが巣の周りに集まってウロウロしているのを見かけたのです。
何をしているのだろうと、しゃがみ込んでしばらく見ていたら羽アリ(雄アリ)が出てきました。
巣の周りをウロウロしていた働きアリたちは、羽アリが飛んでいくのに適しているか、周りの偵察をしていたようです。
この時は雄アリしか出てきませんでしたが(女王はもう少し早い時間に出てきてたかも)、かなり慎重に巣から出てきます。
少しでも刺激を受けたり、違和感を感じるとすぐに巣に戻っていきます。
覚悟を決めた羽アリは、巣から離れて高いところを目指します。
葉っぱを登ったり、木に登ったりしてそこから飛んでいきます。
別の結婚飛行をしている巣の様子です。
この時は雄アリも女王アリも一緒に出てきていました。
トゲアリの寄生
トゲアリは胸が赤くて棘のある大型のアリです。
クロオオアリやムネアカオオアリの巣を乗っ取ることが知られています。
生息地や分布
クロオオアリは、北海道から九州まで広い範囲で見られる昆虫で、平地から山地まで色んな場所で見ることが出来ます。
近所の公園などでもよく探せばきっと見ることが出来ますよ。
クロオオアリは飼育できる?
クロオオアリは飼育が可能で、どちらかといえば飼育観察がしやすい仲間です。
大きいアリなので、その生活の様子も見やすいので飼育するならおすすめのアリになります。