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瓢箪(ひょうたん)のような、なめらかなデザインの昆虫との出会い
何で知ったのだったか、世界で一番硬い昆虫がいると聞いたのです。それがクロカタゾウムシで、クルマに踏まれても潰れないとの話だったので驚きました。本当に潰れないのかをいつか試したいと思っていたんですね。
そんなクロカタゾウムシを始めて見たのは、奈良県にある橿原市昆虫館で展示されていた時のことです。当時は奈良県の芸術短大に通う学生で、昆虫館へもたまに通っていたんです。小さなケースに入った、ツルンとした印象の流線型デザインが特徴的な黒い塊。それは、瓢箪(ひょうたん)のようにも見えるし、黒いおかげでダンベルのようだとも言われたりします。
硬いと聞いているので触ってみたい気持ちがあったが、ケースの中に入っているので触ることができません。いつか触ってみたいと思っていたら、10年以上経って石垣島へ行く機会ができたんです。見つけるのに少し苦労はしましたが、初めて自然の環境の中で見つけたクロカタゾウムシに興奮しました。しかし、どのくらい硬いのかなんて実際わからないし、うっかり潰れたらかわいそうなので指に乗せるだけで満足することにしたのを覚えています。
クロカタゾウムシってどんな虫?
硬く進化しすぎて羽も開かない
ゾウムシは全体的に体の硬い昆虫として知られていますが、このクロカタゾウムシも硬い昆虫として有名です!世界一とも言われています。硬さという防御に全力を注いだ結果、自分でも硬くなりすぎて羽も開かないようです。
細菌との不思議な共存
その黒く硬い外骨格を形成するのに、実は「ナルドネラ」という共生細菌の影響が確認されているそうです。難しい話ですが、この共生細菌が「チロシン」というアミノ酸を生成し、そのチロシンがクロカタゾウムシの体を黒く硬くするのに使われているのです。実験でこの共生細菌の数を減らして飼育したところ、赤っぽい羽で柔らかいクロカタゾウムシが生まれたそうです。
昆虫と共生細菌の不思議な関係ですね!
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ゾウムシ科
昆虫の分類に硬い羽を持つことが特徴の甲虫(コウチュウ)目があります。クロカタゾウムシはその中のゾウムシ科の一種です。この仲間にはシギゾウムシの仲間やオジロアシナガゾウムシなどの昆虫が含まれていて、意外に種類の多いグループです。
クロカタゾウムシは何を食べるの?
カンコノキやリュウキュウエノキなどの葉を食べると言われていますが、飼育下では人参やカボチャやサツマイモなど色々食べます。幼虫は木の根などに潜り込んで中を食べていくので根菜系との相性もよいのかもしれません。
生息地はどこ?
八重山諸島に生息し、石垣島や西表島で見ることができます!カンコノキの仲間を探すと見つけることができるかもしれません。
クロカタゾウムシの寿命
クロカタゾウムシは成虫になってから一年以上生きます。暖かい地域の昆虫だからかもしれませんが、ゾウムシの仲間は長寿のものも多いですね!ですから年中見られる昆虫です。