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アシダカグモ

アシダカグモの写真

写真ギャラリー

アシを広げた姿はとても大きく見える。屋内でよく見られるが、外で見ることもある。

顔の前に白い帯が入っているのは一つの特徴。

アシダカグモの幼体。

顔に白帯がはっきりと入っている。

ゴキブリを捕まえました

脚の欠けていたアシダカグモの脱皮殻

脱皮で脚が復活したアシダカグモの幼体

家の中で見つけたアシダカグモの幼体

アシダカグモのメス

アシダカグモ科まとめ 蜘蛛図鑑

アシダカグモってどんな蜘蛛?

家の中で見かけてびっくりするクモの代表種です。
しかし、このクモの生態を知ると、家に住みついてゴキブリを捕まえてくれていることに感謝をすることになるかもしれませんね。
大きなクモですが、人に向かってくることはないので、むやみに怖がる必要はありませんよ!

わが家では、アシダカグモは見かけても放置していますが、気分は放し飼いにしているようなものです。
クモの方からこっちにやって来ることはありません。むしろ近づくと逃げて隠れます。

家の中に現れたアシダカグモの幼体。気がついたら壁にいたのでびっくりしました。

アシダカグモ科

クモ目の分類の一つにアシダカグモ科があります。アシダカグモは「科」の名前がそのままついている代表的な種類になります。日本では他にも「コアシダカグモ」など数種類が知られています。

屋内で見かける蜘蛛の代表種

屋内で見かけることが多いクモです。ゴキブリなどを狙って家屋に入ってくるからなんですね!
だからといって室内にしか生息していないわけではなく、野外でもたまに観察されます。

「アシダカ軍曹」の愛称!

ゴキブリを退治してくれることに感謝している人達の間では敬意を込めて「アシダカ軍曹」と呼ばれていたりします。

アシダカグモの特徴や見分け方

脚(アシ)が長く、最大130mmにもなります

脚まで入れた全長は100mmを超え、大きいものでは130mm程にもなります。
日本に生息するクモではトップクラスのサイズ感で、徘徊性のクモでは最大の大型種です。

コアシダカグモとの見分け方や違い

どちらも夜行性です。

アシダカグモ

  • 褐色で一回り大きい
  • 室内でよく見つかる
  • 顔には白い帯
  • オスの頭には黒く大きい紋

アシダカグモ

  • 濃い褐色で一回り小さい
  • 野外でよく見つかる
  • お尻の先には三角紋
  • 顔に白い帯がない

などの特徴があります。

アシダカグモの写真

アシダカグモの写真
アシダカグモのオス。
路上で亡くなっていた個体だが顔がしっかりと分かる。

コアシダカグモの写真

コアシダカグモの写真
コアシダカグモ。
おしりに黄色い紋が見えるのと、顔の前に白い帯がありません。

参考:コアシダカグモのページはこちら

アシダカグモの生態や成長

ゴキブリを走って捕まえる!?
食べ物や餌(エサ)は?

アシダカグモの瞬発力は凄まじいもので、ゴキブリを見つけてから走って捕まえることができる素早さを持っています。
持久力はありませんが、瞬発力の凄いクモです!

他にも、待ち伏せ方式で近くを通りかかったハエ、ガ、カ、ハサミムシ等を捕えて食べます。

アシダカグモは「卵」を持ち歩く

大人になったメスは6~8月頃に産卵をし、糸で円盤型にくるんだ状態で口に咥えて持ち運んでいます。
その間は餌も食べずに見守ります。
孵化(ふか)直前になると、卵を壁などに貼り付けて、赤ちゃんが生まれてくるのを待っています。

アシダカグモの写真
アシダカグモのメス。腹部がとても大きいです。

子供から大人になるまで約一年(幼虫・幼体)

約一年の時間をかけて、オスは8回、メスは10回程度の脱皮をして子供から大人になります。

アシダカグモの写真
アシダカグモの幼虫。子供の頃から脱皮を10回ほど繰り返して大きくなっていきます。

驚き☆脱皮で脚が復活する

小さなときは敵も多く、脚を失ったアシダカグモの幼体をよく見かけます。
保護して観察しようと思って見ていたら驚くべき発見がありました。

脱皮したら脚が復活していたのです!!

幼体の時期に失った脚は再生するんですね。

アシダカグモの脱皮の写真
アシダカグモの脱皮殻。
右前の脚2本がかけていた個体が脱皮した殻です。
アシダカグモの写真
脚が再生したアシダカグモ。
前の脱皮殻の画像ではなかった脚が2本ともあります。
よく見ると、再生した脚は色も薄く、少し細くなっています。
それでも、無かった脚が再生するのだから凄いです!

「冬」の過ごし方(越冬)

アシダカグモは冬の間は寒さをしのげる場所でじっとしています。
越冬する状態では代謝を低くしてエネルギーを使わないようにしているので、その間は餌も食べずに春が来るのを待っています。

アシダカグモの寿命

オスは3~5年程度、メスが5~7年程度と言われています。
とても長生きですね!

アシダカグモの豆知識

慣用句「蜘蛛の子を散らす」の語源

孵化すると幼虫たちは塊になってじっとしています。その状態のことを「まどい(団居)」と呼びます。

まどいに刺激を与えると、そこに集まっていた子グモ達は一斉に走り出してバラバラに散らばります。その状態のことを指して「蜘蛛の子を散らす」という慣用句が使われるようになりました。

バルーニング

孵化して暫く経つと、糸を伸ばして風に乗って飛んでいきます。

なんと、クモは空を飛ぶのです!

その移動能力はかなり高く、長距離の移動が確認されたり、生き物のいない土地に最初にやってくるのもバルーニングでやってきたクモ類だと言われています。

アシダカグモの飼育方法(飼い方)

クモを飼育する愛好家の方は実は多いです。
外国産のタランチュラなどが人気ですが、日本に住むアシダカグモのほうが飼育の難易度は低いと思います。
準備するものは、

  • 床材(土)を敷いたプラケース
  • 餌皿や水皿
  • 餌となる昆虫

プラケースには土を敷いてあげると湿度の維持などにも役立ちます。
餌皿はミルワームなどを入れる時には良いですが、別になくても構いません。
水皿は入れておいてあげると親切ですが、霧吹きでもいけるかも。

問題は、アシダカグモは肉食なので餌となる昆虫の確保が必要なことです。
アシダカグモはゴキブリを捕獲してくれることで有り難がられていますが、必ずしもゴキブリが必要ではありません。
ペットの餌として販売されている、コオロギやミルワームなどでも飼育できます。
もちろん、ペットの餌用のローチと呼ばれるゴキブリをあげるのも喜ぶと思いますので、自分に合ったものを選んで準備してあげると良いでしょう。

アシダカグモは結構長生きしますので、長く飼育できる反面しっかりと世話をしてあげないといけないので注意しましょうね!

アシダカグモの写真
アシダカグモの小さな幼虫が部屋にいたので観察してみることにしました。
撮影に出た時にゴキちゃんの幼虫を捕まえてきてあげてみたら、さっそくガブリと噛みつきました!

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アシダカグモ科まとめ 蜘蛛図鑑

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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たくさんの人にそれを知ってもらうことで、人も昆虫もよりよい未来を築いていけたらと思ってこのサイト「ムシミル」を運営しています。

カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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