アゲハチョウ科とは?
世界におよそ600種類ほどが生息しているチョウの仲間です。大型のチョウが多く含まれていて、日本のチョウではメジャーなナミアゲハやキアゲハなどが含まれています。幼虫は驚くとツノを出して身を守ったりします。そのツノは臭角(しゅうかく)と呼ばれ独特な臭いを出すので、驚いたことがある人も多いのではないでしょうか?
アゲハチョウの仲間の図鑑(写真ギャラリー)
Papilionidae
※クリックすると各ページに飛べます。写真と詳しい説明があります。
アゲハチョウの名前の由来(漢字・英語)
漢字で「揚羽蝶・鳳蝶」
アゲハチョウは漢字で揚羽蝶と書きますが、これは花を訪れてミツを吸う際に、羽をあげて(揚げて)羽ばたいているところからつけられました。大型の蝶になると花に止まると重たいのが原因になっていると思います。シジミチョウやセセリチョウなどはそんな風にとまりません。
漢字では「鳳蝶」とも書きますが、これは日本ではあまり一般的ではない書き方です。
台湾の蝶の図鑑などを見ると「鳳蝶」の記述になっているので、日本以外ではよく使われるのかもしれません。
英語で「swallowtail butterfly(スワローテイルバタフライ)」
チョウのことを全般的に「butterfly(バタフライ)」と呼びますが、アゲハチョウの仲間のことは「swallowtail butterfly」と呼びます。
スワローテイルとは燕(つばめ)の尻尾のことで、アゲハチョウの仲間の多くに尾状突起と呼ばれる尻尾のような部分が羽についているところからきています。
アゲハチョウ科の分類や種類
アゲハチョウにもたくさんの種類がいて、日本では20種類ほどが知られていて世界では600種類ほどもいます。
アゲハチョウの仲間もいくつかのグループに分けられていて「亜科」と呼びますが、大きく3つのグループがあります。
- ウスバシロチョウ亜科(ギフチョウ、ウスバシロチョウなど)
- アゲハチョウ亜科(キアゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハ、アオスジアゲハなど)
- ウラギンアゲハ亜科(日本にはいない)
上記の3つですが、私達が普段目にして知っているアゲハチョウは「アゲハチョウ亜科」に分類されているものが多いです。
ウラギンアゲハ亜科は中米特産なので日本では見られません。
アゲハチョウの幼虫(アゲハイモムシ)
アゲハチョウの幼虫であるイモムシにはどんな特徴があるのでしょう?
少し紹介します。
臭角(しゅうかく)
アゲハチョウの幼虫は刺激を受けると頭からにょきっとツノを出します。
ちょっと変わった臭いがするのですが、そのツノを臭角(しゅうかく)と呼びます。
これはアゲハチョウの仲間の幼虫の特徴のひとつでもあります。
この臭角で臭い匂いを出すことで身を守っています。
アゲハチョウの幼虫の脱皮
他のイモムシにもあてはまりますが、幼虫は脱皮を繰り返しながら大きくなっていきます。
蛹になる時の脱皮を「蛹化(ようか)」。成虫になる時の脱皮を「羽化(うか)」と言います。
生まれたての幼虫から脱皮を繰り返すごとに「1齢幼虫」「2齢幼虫」と大きくなっていき、その多くは生まれたての時から脱皮を繰り返すことで見た目にも変化が出てきます。
脱皮すると、その皮も食べてしまうのをよく見かけますね。
食べ物や餌(エサ)
どの昆虫でもそうですが、種類によって食べ物は違います。
アゲハチョウのイモムシは柑橘系の植物を食べるイメージがありますが、例えば「キアゲハ」などはセリ科の植物を食べますし、ジャコウアゲハなどは「ウマノスズクサ科」の植物を食べます。
アゲハチョウの蛹(サナギ)
アゲハチョウのサナギは「帯蛹型」と呼ばれる形です。
これは頭を上に向けて、体を一本の糸の帯で支える形の蛹だからです。
アゲハチョウの仲間は基本的にこの帯蛹型のサナギです。
アゲハチョウの羽化
アゲハチョウの羽化は神秘的です。どのチョウもですが。
羽化の前は少しずつ色づいていき、蛹の中にだんだんと頭や羽の模様が見えるようになります。
そうしたらもう最後の脱皮である羽化の直前です。
蛹の頭がパカッと割れて、そこからチョウが這い出てきますが、あっという間に出てきてしまうので観察する場合は見逃さないように気をつけましょう。
アゲハチョウの蛹が羽化しないのは?
アゲハチョウ(ナミアゲハ)は蛹(サナギ)になってから10日ほどで成虫に変身(変態)します。
なかなか羽化しないこともあるのですがどんな理由が考えられるでしょう?
- 死んでしまった
- 蜂などに寄生されてしまった
- 越冬モードに入ってしまった
などが考えられます。
温度などの関係で羽化まで日数がかかることもあると思うので少し様子を見てみましょう。
飼育の記事も参考になると思うので、寄生などは対策可能です。
アゲハチョウの飼育
アゲハチョウの飼育記録~あの可愛い「めだま模様」に会いたい~
アゲハチョウ科のナミアゲハの飼育をした記事です。園芸店で卵のついているミカンの鉢を見つけたので、鉢ごと買ってきて飼育してみました。
毒を持つアゲハチョウ
幼虫の時に毒のある植物を食べることで、体内に毒をためているチョウとして「ジャコウアゲハ」が知られています。
触ると危ないというような類ではありませんが、鳥などがジャコウアゲハを食べるのは嫌がります。
そのために、チョウやガの仲間にはジャコウアゲハに姿を似せて身を守ろうとする種類もいます。
クロアゲハ(アゲハチョウ科)、オナガアゲハ(アゲハチョウ科)、アゲハモドキ(アゲハモドキガ科)などが姿を似せていてこのような擬態を「ベイツ型擬態」と呼びます。
世界最大のアゲハチョウは?
羽の長さや大きさで最大と言われているのは「アレクサンドラトリバネアゲハ」という海外のアゲハチョウの仲間になります。かなり大きく、世界最大の触れ込みで人気もあるので密猟などにも苦しんでいるチョウだったりします。
羽の面積では「ゴライアストリバネアゲハ」という種類がいて、こちらも世界最大で人気のあるチョウです。