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アブラゼミ

アブラゼミ 成虫の写真

写真ギャラリー

アブラゼミの羽化(大阪)

アブラゼミの幼虫は全体に茶色い

羽化したばかりと思われるアブラゼミの成虫。アジサイの葉っぱで雨の中じっとしていました(大阪)

ストロー状の口で汁を吸います

アブラゼミ

アブラゼミ

アブラゼミ

目が赤いアブラゼミ

目の赤い個体がたまに発見される。

力尽きたアブラゼミ

セミ科まとめ 蝉図鑑

アブラゼミってどんな虫?

夏になるとよく見かけるセミの仲間で、茶色い羽とジリジリと聞こえる鳴き声が特徴的です。
子供の頃に捕まえた経験がある人も多いのではないでしょうか?

急に飛び立ったりするのですが、大きいのでびっくりする人も多いです。

名前の由来は鳴き声から

ジリジリと聞こえる鳴き方が油で揚げる音に似ていたから「アブラゼミ」と名付けられました。
触ってもギットリしてるわけじゃないので掴んでも大丈夫です。

アブラゼミの写真
木に止まるアブラゼミ。

セミ科

カメムシ目に含まれる昆虫で、ストロー状の口で幼虫から成虫まで木の汁などを吸っています。日本には30種類ほどが生息しています。鳴くのはオスだけです。

有名なセミの仲間では、ツクツクボウシ、ミンミンゼミ、クマゼミなどがいます。

アブラゼミの鳴き声

カタカナで書くと、「ジージー」とか「ジリジリジリジリ」と聞こえる鳴き声です。

鳴くのはオスだけ(オスとメスの見分け)

アブラゼミに限らずですが、セミの仲間はオスしか鳴きません。
メスにアピールするために鳴いているからです。
ですから腹部を確認するとオスにしか発音器官がないので、簡単にオスとメスを区別することができます。

アブラゼミの写真
オス♂:発音のための腹弁が発達しています。
アブラゼミの写真
メス♀:腹弁は小さく、腹部は産卵のための器官が詰まっています。

アブラゼミの「夜泣き」

アブラゼミは夕刻くらいから鳴くのですが、その延長で夜にも鳴くことが多くなっているようです。その要因としてあげられるのが、気温や湿度の高さと街灯などの明るさ。
そして、個体密度(アブラゼミの数の多さ)が関係しているのではないかと言われています。
正確にはわかっていませんが、日が暮れていないと勘違いして夜に鳴いているのかもしれません。
そのことを「アブラゼミの夜泣き」と表現しています。

特徴や見分け方

木に止まると見つかりにくい、木目調のデザイン

木目調と言ってみましたが、実際には茶色のまだら模様と言ったほうが良いかもしれません。
木に止まったときに見つかりにくくなるように、木の幹に馴染む羽の色になったんだと思います。
そして、木に馴染むとオスとメスも出会いにくくなるので、鳴き声でコミュニケーションをとるようになったのでしょうね。

アブラゼミの写真
不透明な茶色い羽。
アブラゼミの写真
木と同じ様な色の羽が特徴的。

羽をよく見てみると、茶色のまだら模様の中に緑色の筋が通っています。特に付け根の方ですね。
ブラウンカラーの中にグリーンのラインが通っていて、近くで見るとなんとも近未来的な配色になっています。
身近な昆虫ですが、なかなかアバンギャルドで観察していると面白いセミです!

他のセミを思い出してみてください、クマゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシなどなど、たくさんの種類のセミがいます。
それらのセミの羽はみんな透明なんですね!実は不透明な羽を持つセミは珍しいのです。
羽化した時の真っ白な羽も半透明の透き通ったきれいな色をしています。

アブラゼミの写真
雨の中紫陽花の葉っぱに止まっていたアブラゼミ。
茶色に緑色の翅脈を持っています。
時間が経つと黄色っぽくなっていきます。

幼虫の見分け方「アブラゼミとクマゼミ」

セミの幼虫の見分けは難しいですが、メジャーな幼虫くらいならポイントを抑えておけば見分けることは簡単です。
羽化するのに地面から出てきた幼虫ですが、アブラゼミは全体に茶色
クマゼミは背中がに黒い模様が入ります。

ちなみに写真がありませんが、ミンミンゼミは全体に緑色のまだら模様っぽくなるのでアブラゼミクマゼミと見分けられます。

アブラゼミとクマゼミの幼虫の写真
左:アブラゼミの幼虫
右:クマゼミの幼虫
アブラゼミの写真
アブラゼミの幼虫は東武がほっそりした印象です。
アブラゼミの写真
全体に茶色で、羽になる部分には少し緑色が見えます。

背中の赤い「セアカアブラゼミ」

目の赤い個体が見つかるように、背中の赤っぽい個体も見つかります。
セアカアブラゼミと呼ばれたりもしますが、アブラゼミと同じ種類です。
「セアカ型」と呼ばれたりもします。

アブラゼミの生態

食べ物や餌(エサ)

成虫は木に止まって、ストロー状の口を木に挿し込んでその汁を吸います。

アブラゼミの写真
長いストロー状の口を木にさし込んで汁を吸います。

土の中で数年過ごす幼虫

幼虫期間は土の中で過ごすのですが、その期間がとてもながく数年間は土の中にいます。
アブラゼミは2~5年程度と言われているようで、幼虫の時に食べた栄養などで成長に数年の差が出ると言われています。

セミファイナル?

飛ぶ力が弱くなってくると道路などにも落ちてひっくり返っているのをよく見かけます。
飛び立つのは難しいですが、人が近づいたりすると急に泣き出したり羽ばたいたりして驚かされます。
その様子を「セミファイナル(蝉ファイナル)」と呼んでいる人を見かけます。
(日本でどのくらい浸透しているのかは謎です。)

一生と成長

昆虫の成長には、サナギの段階を経て大きく姿を変える「完全変態」と、幼虫の時期から成虫と同じような姿で成長していく「不完全変態」があります。
アブラゼミは大きく姿を変える印象がありますが、サナギのにはならずに成長していくので「不完全変態」です。

アブラゼミの産卵と卵

アブラゼミは枯れ枝や樹皮などに産卵管を突き刺して一個ずつ卵を産みます。
そして、卵はそのまま冬を越して、次の年に暖かくなると孵化(ふか)して幼虫が出てきます。

前幼虫(ぜんようちゅう)

木の中の卵からかえったばかりの幼虫は「前幼虫(ぜんようちゅう)」と呼ばれ、イモムシのような姿をしています。
その方が木の中から這い出てきやすいからです。
出てくるとすぐに一回目の脱皮をして「一齢幼虫」へと姿を変えます。

幼虫の時期

孵化した幼虫は地上へ降りると土の中に潜ります。そして、アブラゼミは大半の期間を土の中で生活します。アブラゼミの幼虫期間は2~5年位と言われています。(誰が調べたのだろう?)夕方くらいに地面に空いた穴を覗いていると、そこから顔をのぞかせている幼虫を見かけることができます。夜にかけて木に登っていくタイミングを見計らっているんですね。

アブラゼミの写真
夜に木に登っているのを見かけて観察のために自宅に持ち帰ったアブラゼミの幼虫。

アブラゼミの羽化(うか)

足場を確認しながら、成虫になるのにしっかりとした足場を探します。気に入った場所を見つけると成虫になるための最後の脱皮である「羽化」を始めます。

アブラゼミの羽化の写真
アブラゼミの羽化

羽化の様子を順番に見てみましょう!

アブラゼミの写真
01.頭の方から力いっぱいに殻を脱いでいく。
アブラゼミの写真
02.体をうねらせながらゆっくりと出てきます。
アブラゼミの写真
03.力強くのけぞっています。
アブラゼミの写真
04.全体が抜けると羽を伸ばしていきます。殻から出たばかりの時は体も柔らかいので注意が必要です。とても無防備な状態になるので、夜などの天敵に襲われにくい時間に羽化するんですね。
アブラゼミの写真
05.アブラゼミは不透明な羽を持ち、ちょっとずつ色がついてきます。この半分色がついてきたときの神秘的な美しさは形容しがたいものがありますね。

成虫

土の中で過ごした幼虫時代には無かった羽を、羽化することで手に入れることが来ます。
この世界を自由に飛び回ることができるようになって行動範囲が広がるんですね!
そして、パートナーを見つけるためにジージーと鳴いてメスを探します。

アブラゼミの写真
羽化して時間が経つと茶色の羽に変わりました。
アブラゼミ 成虫
オスはジージーと鳴いてメスを誘います。

アブラゼミの寿命
成虫は意外に長生き!?

セミの寿命は一週間とか言われたりしますが、2~3週間位は普通に生きます。飼育は難しかったりするので、捕まえたらすぐに死んでしまったり、道路などにもよく落ちているので短命なイメージが付いたのでしょうね。
幼虫期間と比べたら短いですけどね!

アブラゼミの写真
力尽きたアブラゼミ。

目の赤いアブラゼミが見つかる?

たまに赤い目のアブラゼミが見つかったと話題に上ります。
羽化してから時間の経ったアブラゼミにはたまに見られる現象のようです。

成虫 赤い目をしたアブラゼミの写真
目の赤い個体がたまに発見されます。
アブラゼミの写真
歳をとった個体に現れる変化だとする話をよく聞きますがはっきりしません。(人間で言う白内障のようなものとする話)

分布や生息地

北海道から九州まで広い範囲で見ることができ、都会の街中や公園などでも鳴いています。
沖縄や南西諸島で見られるアブラゼミは「リュウキュウアブラゼミ」と言って別種の扱いです。

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セミ科まとめ 蝉図鑑

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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