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ミヤマクワガタってどんな虫?
標高が高く涼しい環境を好むために、深い山で「深山(ミヤマ)」と名付けられたクワガタムシです。
ですから、ちょっと山の中に入らないと見つけられないことから、子供の頃には見つけるハードルの高い昆虫でした。
ですから、ミヤマクワガタは憧れのクワガタムシだったんですね。
クワガタムシ科
昆虫の分類の中で硬い羽を持つのが特徴の「甲虫目」があります。その中に「クワガタムシ科」は含まれており、ミヤマクワガタはその中の一種になります。日本では40種ほどが知られており、オスは大きなアゴを持つことで子供から大人まで人気の高い昆虫です。飼育も盛んに行われています。
この仲間には、オオクワガタやヒラタクワガタ、ノコギリクワガタなど人気の昆虫がたくさん属しています。
ミヤマクワガタの特徴
オスの頭部には強く張り出した耳状突起と呼ばれる特徴があり、小型になるとこの部分が弱くなります。
この部分の印象が強いので、ミヤマクワガタは他のクワガタと大きく見た目が異なります。
産地によって違うアゴの形の特徴や、他のクワガタのメスとの見分け方などを紹介します。
耳状突起(じじょうとっき)
頭部の後ろの張り出した部分のことを「耳状突起(じじょうとっき)」と言います。
図鑑とかでも読み方ふってなかったりするのですが、ミヤマクワガタの大きな特徴ですから覚えておきたいですね。
小型の個体になってくると、この張り出しは小さくなります。
オスの大アゴの形
オスの大アゴはその形態から大きく三種類に分けられています。
- フジ型:先端の開きが小さく、第一内歯が大きい。
- 基本型:フジとエゾの中間で、先端の開きから全体的な内歯のバランスが大きくかわらない
- エゾ型:先端の開きが大きく、第一内歯が小さい。
小型のオスの特徴
金色の微毛
オスは体全体的に、メスは体の腹側に金色の毛が生えています。
この特徴で全体的に艷やかな印象を持っています。
メスの特徴
オスは全体的に微毛が生えていることでフワっとした印象なのですが、メスは金色の毛は腹側にしか生えていません。
背中の方は、上から見ると黒くツヤっとした羽をしています。
脚(アシ)の太もも部分に黄色い紋が入っているのも特徴です。
亜種や近似種(種類)
ミヤマクワガタには近い種類や、亜種として分けられるものがいます。
名前 | 生息場所 |
---|---|
ミヤマクワガタ Lucanus maculifemoratus maculifemoratus | 北海道、本州、四国、九州 |
イズミヤマクワガタ(亜種) Lucanus maculifemoratus adachii | 伊豆諸島亜種 |
アマミミヤマクワガタ Lucanus ferriei | 奄美大島 |
ミクラミヤマクワガタ Lucanus gamunus | 伊豆諸島(御蔵島、神津島) |
生態(行動や寿命など)
木を蹴ると落ちてくる
ノコギリクワガタなどと同じように、木を蹴ると落ちてきたりします。これは振動によって死んだふりをするので落ちてくるんですね。
しかし、すぐに動きだしたり脚(アシ)をのばしたまま硬直していることが多いようです。
死んだふりなら、脚を縮めて硬直したほうが死んだフリっぽいので不思議です。
暑いのは苦手
酷暑と乾燥に弱い昆虫です。ですから標高の高いところを好んでいるのもあります。
温暖化などによる環境の変化にも弱いので環境調査の指標昆虫にもなっています。都道府県によっては絶滅の可能性があるとして何らかの指定を受けたりもしています。
ライトトラップにやってくる
ミヤマクワガタには光に集まってくる走光性と呼ばれる習性があります。
なので、灯火の下にやってきたりとか、ライトトラップに飛んでやってくることもあります。
ミヤマクワガタの寿命
孵化(ふか)から成虫になるまで1~2年くらいかかります。秋に成虫になると、そのまま蛹室の中で過ごして次の年に暖かくなると出てきます。
しかし、外に出てからの寿命はそんなに長くないので、一度外に出ると越冬することなく寿命を迎えます。
トリビア:同じ名前の植物がある
なんと同じ和名の植物があります。「ミヤマクワガタ」というオオバコ科の高山植物で、深山に生息している点で昆虫の「ミヤマクワガタ」と同じ由来です。きれいな可愛い花を咲かせます。
分布や生息環境
北海道から九州まで生息し、標高の高い山間部に生息しています。
涼しくて湿度の高い環境を好みます。
普段生活しているとなかなか見かけることのない本種ですが、生息地まで行くと明かりに向かってやってきたり、トラップにも集まりやすいようです。