クワガタムシ科とは?
コウチュウ目に含まれるグループで、日本では40種類ほどが知られています。オスは目立った大アゴを持っていることで、子供から大人まで人気の高い昆虫です。アゴをのぞけばコガネムシと似た雰囲気もありますが、触角の第一節が長いことや、触角の先が広がっていることなどは大きく異なる点です。
クワガタムシ科の種類 写真ギャラリー
Lucanidae
※クリックすると各ページに飛べます。写真と詳しい説明があります。
クワガタムシの名前(和名・漢字・英語)
クワガタムシの名前はどのように名付けられたのでしょう?
実は、昔作られていた兜(かぶと)がその由来になっています。
兜につけられていた「鍬形(くわがた)」と呼ばれる装飾品が、クワガタのアゴのようだったので名付けられました。
クワガタムシを英語で「Stag beetle(スタッグビートル)」
クワガタムシは英語で「Stag beetle」と書いて「スタッグビートル」と発音します。
Stagとはオスのシカのことで、シカが持つツノから連想されて呼ばれています。
カブトムシとクワガタムシの違い
一番の大きな違いは特徴的でかっこ良いアゴです。二本の「アゴ」です!
クワガタムシはアゴが大きく発達した昆虫の種類で「クワガタムシ科」ですが、カブトムシに生えているのはツノなんです。
そして、カブトムシは「コガネムシ科」の昆虫に含まれます。
そして、クワガタムシの特徴の1つに触角の形があげられます。
触角の第一節(根元の部分)が長くて第二節からカクっと曲がったような触角をしているのはクワガタムシの仲間の特徴です。
オスのクワガタムシの見分け方
クワガタムシはオスは大アゴの形で見分けることも可能ですが、メスは種類が違っても姿が似ていることが多く見分けるのが難しいです。
しかし、よく観察するとそれぞれ特徴があることがわかります。
代表的な種類を紹介します。
オオクワガタ
ヒラタクワガタ
コクワガタ
ノコギリクワガタ
ミヤマクワガタ
スジクワガタ
メスのクワガタムシの見分け方
オオクワガタのメス
ヒラタクワガタのメス
コクワガタのメス
ノコギリクワガタのメス
ミヤマクワガタのメス
スジクワガタのメス
クワガタムシの種類
日本のクワガタムシは40種類ほどが知られています。
大きなアゴが特徴のクワガタムシですが、実はマダラクワガタやマグソクワガタといったアゴが発達していない種類も含まれています。それらの種はクワガタムシの種類でも祖先に近い種類なのだと言われています。
クワガタムシの亜種
クワガタムシの特徴はアゴですが、同じ種類でもアゴの形や他の特徴の異なるものが見られることがあります。そういったものを「亜種」として分けることがあるのですがクワガタムシは愛好家も多く研究調査が進み、細かく亜種が分けられていたりもします。
例えば本州から九州の間で見られる一般的なヒラタクワガタには、対馬で見られる「ツシマヒラタクワガタ」、奄美群島で見られる「アマミヒラタクワガタ」、八重山諸島に生息する「サキシマヒラタクワガタ」など多くの亜種が存在しています。
赤いクワガタムシ見つけた?
毎年夏前に話題に出てくるのが「赤いクワガタ発見!」というものです。
赤みのあるクワガタムシは存在します。しかし、それは赤みが強いだけで褐色に近いものです。
赤いクワガタが見つかったと言われたときのそれは「ヒラズゲンセイ」という昆虫です。
真っ赤な体に大きなアゴを持っており、一見するとクワガタムシに見えるのかもしれませんが、ツチハンミョウという甲虫の仲間になります。
この昆虫は体液に毒を持っていて、触るとかぶれたりもするので話題に登りやすいのです。
日本で見られるクワガタムシのレア度
クワガタムシで珍しいものと言えば「オオクワガタ」が思い浮かぶのではないでしょうか?
昔は黒いダイヤともいわれ高額で取引もされていましたが、現在では繁殖方法も確立されていますし、生息地も北海道から九州まで生息していて見られる範囲も広いのでレア度が高いとは言えません。
地域のイベントなどで、子どもたちに配ったりもしているくらいです。
かと言って、野生で捕まえるのはとても難しく、以下では紹介していませんが天然のオオクワガタだとレア度は跳ね上がります。
ただ、ここで紹介する分では、レア度が高いかどうかで言えば、やはり地域限定の種類などは日本の中ではレア度が高くなると思います。
更には個体数が減少し、絶滅危惧種として指定されているものはもっとレア度が高いですね。
その二点で考えてみると何種類か出てきます。
ヨナグニマルバネクワガタ 絶滅危惧ⅠA類(CR) 与那国島限定
与那国島にしか生息しておらず、クワガタムシの仲間では一番絶滅の危険度が高い「絶滅危惧ⅠA類(CR) (レッドデータブック2014)」に指定されています。
さらに、絶滅危惧種に指定されているだけではなく、2011年には「種の保存法」に基づいて「国内希少野生動植物種」に指定されることで、原則的に採集や譲渡は禁止されました。
オキナワマルバネクワガタ 絶滅危惧Ⅱ類(VU) 沖縄本島・久米島限定
沖縄本島と久米島にだけ生息しており、絶滅危惧Ⅱ類(VU) (レッドデータブック2014)に指定されています。
オキナワマルバネクワガタも、ヨナグニマルバネクワガタと同じように2016年に「国内希少野生動植物種」に指定され、原則的に採集や譲渡は禁止されました。
アマミマルバネクワガタ 絶滅危惧Ⅱ類(VU) 奄美大島限定
奄美大島にだけ生息していて、絶滅危惧Ⅱ類(VU) (レッドデータブック2014)に指定されています。
マルバネクワガタの仲間が多いですね。
他にも「ウケジママルバネクワガタ」も、九州の請島(うけじま)にしか生息せず、九州の条例でも採集が禁止され、さらには2016年には国内希少野生動植物種にも指定されています。
ダイトウヒラタクワガタ 絶滅危惧Ⅱ類(VU) 大東諸島限定
大東諸島にだけ生息していて、絶滅危惧Ⅱ類(VU) (レッドデータブック2014)に指定されています。
紹介した種類はとてもレア度の高いものばかりですが、他にもレッドデータブックに記載のあるクワガタムシの種類もいますし、生息地が限定的で身近じゃない種類は普段見かける機会がないのでレア度が高いとも言えます。
なんにしても、レア度が高いというのは数が少ないということなので、なんとか守っていきたいものです。
クワガタムシの寿命
カブトムシと比較しても長生きするものが多いです。
成虫の寿命で計算すると、
- オオクワガタ(飼育下で5~6年)
- コクワガタ(飼育下で2~3年)
- ヒラタクワガタ(飼育下で1~3年)
- カブトムシ(飼育でも野外でも数ヶ月)
などが知られており、海外のクワガタムシでも長生きするものも多いです。丁寧に飼育すれば、長く観察が楽しめることも飼育ブームの後押しになったと思います。
かと言って、長生きしない種類のものもいて、そういったものは野外に出てくるとワンシーズンで寿命を迎えます。
ノコギリクワガタやミヤマクワガタなどがそうです。
世界のクワガタムシ
世界には、日本で見られるクワガタムシとは違った面白みのある種類がたくさんいます。
こちらのページでその一部を紹介していますのでご覧になってください。