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ノコギリクワガタってどんな虫?
オスの特徴である大アゴがノコギリのようにギザギザしているのが名前の由来になった格好良いクワガタムシです!
少し赤みのかかった個体が多く、黒色が多いクワガタムシの中では華やかさもあると思います。
身近に見られる普通種
大きなクワガタムシとして人気がありますが、比較的よく見ることのできる昆虫です。
基本的には夜行性なのですが、昼間は木の上の方で休んでいることが多いようです。
昼間はまったく動かないわけでもなく、割と活動していて、樹液などに集まっているのを見かけるのも、身近に感じられる理由の一つでしょう。
クワガタムシ科
昆虫の分類の中で硬い羽を持つのが特徴の「甲虫目」があります。その中に「クワガタムシ科」は含まれており、ノコギリクワガタはその中の一種になります。日本では40種ほどが知られており、オスは大きなアゴを持つことで子供から大人まで人気の高い昆虫です。飼育も盛んに行われています。
この仲間には、オオクワガタやミヤマクワガタ、ヒラタクワガタなど人気の昆虫がたくさん属しています。
ノコギリクワガタの特徴
大アゴの形
オスの大アゴは、体長によって変化も大きいです。
大型のものが一般的に知られていて、大きく湾曲したアゴがまるで「水牛」のようだと例えられます。
小型のものになると、アゴの形は直線的で短くなります。
大型のノコギリクワガタ
学名の「Prosopocoilus inclinatus」ですが「inclinatus」には「傾斜の」という意味があり、大型個体の大きく湾曲したアゴの形にちなんでいます。
小型のノコギリクワガタ(色んなアゴの形)
ピンノコ
余談ですが、クワガタムシの特徴として触角の第1節が長いことや、触角の先が分かれているところが同じコウチュウの仲間のコガネムシなどと違うところです。
ノコギリクワガタのメス
赤みがあって、背面はマットな印象なのが特徴的です。
他のクワガタメスとの違い
- ヒラタクワガタのメスは黒っぽく、背面部中央全体に光沢があります。
- ミヤマクワガタのメスの羽には全体に強い光沢があります。
- コクワガタのメスは、赤みのある個体もいますが、背面の羽の中心線の両側だけ光沢があります。
亜種や近似種
亜種とは同じ種類でも形態的な特徴が異なる場合などにつけられるものです。
ノコギリクワガタは住んでいる場所によって、特徴の異なるものをいくつかの亜種に分類しています。
亜種名 | 生息地 |
---|---|
ノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus inclinatus | 北海道~九州 |
クロシマノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus kuroshimaensis | 黒島 |
ミシマイオウノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus mishimaiouensis | 硫黄島 |
クチノエラブノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus kuchinoerabuensis | 口永良部島 |
ミヤケノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus miyakejimaensis | 新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島 |
さらに、ノコギリクワガタの名前をつけながら、亜種ではなく別種とされているものも何種類かいます。(近縁種)
種名 | 生息地 |
---|---|
ハチジョウノコギリクワガタ Prosopocoilus hachijoensis | 伊豆諸島八丈島 |
アマミノコギリクワガタ Prosopocoilus dissimilis | 吐噶喇列島、奄美群島、沖縄諸島、宮古諸島 (さらにいくつかの亜種にわけられています。) |
ヤエヤマノコギリクワガタ Prosopocoilus pseudodissimilis | 八重山諸島 |
生態や成長
木を蹴ると落ちてくるのは何故か?
子供の頃はクワガタムシを取りに行くと木を蹴って落ちてきたクワガタムシを採集していました。木を蹴るのは、木がかわいそうなのであまりやってほしくはないのですが、よく知られたクワガタムシの採集方法です。
ノコギリクワガタも木の上の方で休んでいることが多いので、この方法で落ちてきます。
擬死(ぎし)
これはクワガタムシの擬死行動が関係していて、ようはびっくりすると死んだふりをして地面に落っこちる習性があるんですね。振動に耐えられなくて落ちてしまうわけではないのです。
光に集まってくる習性
ノコギリクワガタは基本的に夜行性で、光に集まってくる習性があります。
光にやってくる習性のことを走光性と言い、灯火にやってきたりライトトラップにやってきたりします。
灯火にやってきたノコギリクワガタ
ノコギリクワガタの寿命
卵から1~3年かけて成虫になります。成虫は初夏に出てくると数ヶ月活動しますが、冬をこすことはありません。秋に羽化した成虫はそのまま蛹室(ようしつ)から出ることはなく、冬を越して次の年に暖かくなると活動をしますが、やはり冬を越さずに寿命を迎えます。
分布や生息地
亜種をのぞけば、北海道から九州まで見ることのできるクワガタムシです。
しかし、亜種や近縁種を含めれば全国的に見られます。
雑木林などで、昼夜問わずに樹液などに集まります。