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トビモンオオエダシャクってどんな虫?
早春に現れる蛾の仲間で、2月の下旬頃から5月頃まで年に一回(年一化)だけ見ることのできるガの仲間です。
幼虫の体が、長くボリュームのある大型シャクトリムシで、頭部にある突起が目立つことで人気もあります。
シャクガ科
昆虫の分類でチョウ目に含まれる、一般的に「蛾(ガ)」と呼ばれるもののなかの一群にシャクガ科はあります。トビモンオオエダシャクはその中の一種です。シャクガの幼虫はまるで尺(しゃく)を取るように移動することが知られており、尺取虫(しゃくとりむし)の愛称で親しまれています。
トビモンオオエダシャクの特徴
成虫の羽は、灰褐色から茶褐色で変化がありますが、特にオスでは黒く入った横線の模様は安定しています。
メスは少し淡い印象で斑紋が不明瞭になるものが多いです。
生態
幼虫の食べ物や餌(エサ)
幼虫はサクラの葉っぱやツツジ、クヌギ、ケヤキなどいろいろな葉っぱを食べることができる広食性のシャクトリムシです。
様々な場所で見ることができます。
脚(腹脚/ふくきゃく)
大きな体を支えるのに、木につかまる部分の腹脚がしっかりしています。
指に乗せてみたら、その力強さにびっくりしました。
天敵
天敵は他の肉食の昆虫や生き物たちです。
特に体が小さい頃はやられたい放題になってしまうので、枝のふりをすることで身を守っているのだと思います。
しかし、何匹か見つけた2齢と思われる小さな幼虫を観察していたら、4匹中3匹が寄生蜂にやられていました。
自然はなかなか厳しいですね。
ある時、幼虫が動かなくなってきて、脱皮かな?と思っていたら白い繭を発見します。
しばらくそのままにしておくと、幼虫は力尽きて死んでしまい、白い繭からは寄生蜂の一種が出てきました。
成長(幼虫・サナギ)
幼虫(見つけた小さな幼虫)
ツツジの葉っぱについていた小さなシャクトリムシを発見しました。
頭部に突起があったので、成長するとどんな表情を見せてくれるのか気になったので観察することに。
成長するとトビモンオオエダシャクとわかりましたが、成長がかなりゆっくりなイモムシです。
参考に撮影した日付も入れています。
幼虫(一回脱皮)
一回脱皮をすると、頭部の突起がかなりはっきりしてきました。
幼虫(二回脱皮)
頭部の突起がかなり大きくなりました。
どのくらい伸びていくのか楽しみです。
幼虫(三回目の脱皮直前)
頭部に突起があるので、脱皮の直前になると胸部のあたりが、次の頭のために大きく膨らんできます。
観察していて驚いたポイントですね。
幼虫(三回脱皮)
突起も長いですが、前回からは大きく伸びませんでした。
猫っぽい顔などと言われますが、この段階ではウサ耳っぽいですね。
幼虫(四回脱皮)
なんと、突起は縮んでしまいました。
どこまで伸びるのかと思っていましたが、最後にはこのくらいに落ち着くようです。
サクラの新芽などに頭部の突起が似ているという話をよく聞きます。
植物の成長に合わせた変化なのかもしれません。
幼虫(終齢)
飼育環境では終齢の期間が1ヶ月以上ありました。
その間にもエサを食べて大きく育っていきます。
幼虫(前蛹/ぜんよう)
元気だった幼虫が、地面におちて動きが悪くなってきます。
とうとう蛹になる準備を始めたんですね。
長かった体も、丸っこいサナギに変化させるのでかなり縮んでいきます。
幼虫(蛹/さなぎ)
前蛹(ぜんよう)らしくなってから1周間くらいでサナギになったようです。
8/2に確認をしたのですが、もう少し早い段階でサナギになっていたと思います。
成虫
うまくいけば、秋から冬の時期をサナギで過ごし、2月頃には成虫が見られるはずです。
分布や生息環境
北海道から南西諸島まで全国的に見ることができます。
幼虫の食草の幅が広いので、都市部の公園などでも見ることができたりします。