ヤママユ(ヤママユガ)

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ふさふさの触角はオスの特徴。かわいい(大阪)

光に集まってきたヤママユ(大阪)

4つの眼状紋と直線的な細いラインが模様の特徴(大阪)

黄色い鮮やかなタイプ(滋賀)

地味な灰褐色タイプ(滋賀)

夜中、葉っぱにぶらさがっていたヤママユ(滋賀)

ヤママユガ科まとめ 山繭蛾図鑑

ヤママユってどんな蛾?

日本で見られる蛾の仲間の中でもかなりの大きさです。
灯火などにはよく集る昆虫ですが、それでも見るたびに嬉しくなる昆虫ですね。
大きいし、ふわふわしているのでとても可愛いです。

一部地域では天蚕(てんさん)として、ヤママユを飼育することで天蚕糸(てんさんし)と呼ばれる高級繊維を利用していたりします。

天蚕(てんさん)

日本では養蚕業として一部地域でヤママユが古くから飼育されてきました。
カイコを飼育した養蚕はよく知られたものですが、ヤママユを飼育して糸を取るというのは知らない人も多いのではないでしょうか?

ちなみに、カイコを利用したものを「家蚕(かさん)」、ヤママユを利用したものを「天蚕(てんさん)」と呼びます。(ヤママユ自体のことをテンサンと呼ぶこともあります。)

余談ですが、カイコやヤママユ以外にも糸を吐いて繭を作る昆虫はたくさんいます。それらのことを「野蚕(やさん)」とも呼んだりします。ワイルドシルクの名称で利用が進んでいたりもしますし、ヤママユの天蚕もワイルドシルクに含められて利用されたりもしています。

生産していた地域としては長野県が一番有名なようですが、他にも滋賀県や福井県で飼育されてきました。
ヤママユから取られた糸は天蚕糸(てんさんし)と呼ばれ、光沢の美しさや、伸度の高さ、丈夫さから高級繊維として重宝されています。

服だけでなく、日傘などにも利用されている番組を見たことがあるのですが、その中では天蚕糸を使った日傘は紫外線の吸収効果も高いことが紹介されていました。
しかし、カイコの飼育と違って、大量生産の難しさや手間がかかることがあまり見かけない理由ですね。

ヤママユの特徴

模様の特徴

4つの眼状紋とその大きな羽が特徴的です。
クスサンなどの他の種類とも似ているのですが、この4つの眼状紋と細く入った線状の模様が特徴的なので、一度見慣れたらわかるようになると思います。

色彩には変化がある

ヤママユの成虫は、その羽の色に変化があります。
黄色や赤褐色、暗褐色など色んなタイプがいます。

ヤママユの写真
ヤママユのオス♂
地味めな褐色タイプ。
ヤママユの写真
ヤママユのオス♂
鮮やかな黄色とオレンジ色のタイプ。

オスとメスの違い

オスは羽の先が尖っていますが、メスは丸みを持っています。
一番大きな違いは触角で、オスは羽毛状のふさふさした触角ですが、メスはクシ状の触角でふさふさしていません。

ヤママユの写真
ヤママユのオス♂
触角がふさふさです。

ヤママユの生態

夜行性で光に集まる習性がある

ヤママユは暗くなってから活動する夜行性の昆虫です。
光に集まる習性を持っているのでライトトラップなどでもよく見られます。
光に集まる習性のことを「走光性」と呼んでいます。

成虫は餌(エサ)を食べない

成虫は口が退化し餌を食べることはありません。
幼虫の時に蓄えた栄養だけで活動をします。

ですから、羽化するとすぐに交尾をするためにメスを探さないといけません。

フェロモン

ヤママユはオスとメスが出会うためにフェロモンを利用します。
メスは腹端にフェロモン腺を持っていて、オスを誘います。

オスの触角がフサフサなのはこのフェロモンを感知する精度を高めるためと考えられています。

卵で越冬

ヤママユは卵の状態で冬を越します。

ヤママユの亜種(種類)

ヤママユは住む地域によっていくつかの亜種に分けられています。
日本では、本州を中心に見られる基本型のものと、奄美大島亜種、北海道亜種の3亜種が見られます。

学名生息地
ヤママユ(基亜種)
Antheraea yamamai yamamai
本州、四国、九州、対馬、屋久島
(ヨーロッパ)
奄美大島亜種
Antheraea yamamai yoshimotoi
奄美大島、沖縄島
北海道亜種
Antheraea yamamai ussuriensis
北海道、中国北部、極東ロシア
Antheraea yamamai superba台湾
Antheraea yamamai bergmani朝鮮半島

ヨーロッパで見られるものは、日本からの移入種のようです。

ヤママユの成長

ヤママユを含む蛾の仲間は「完全変態」をする昆虫です。
完全変態とはサナギの期間があることで、幼虫時代と成虫とでは大きく姿が変わることが特徴的です。

ヤママユの幼虫は4~6月頃に発生し、成長した幼虫は葉を巻いて繭を作ります。
7~9月に羽化した成虫は、交尾・産卵をして、卵の状態で冬を越します。
年に一回だけ発生する昆虫です。

灰色で、まだら模様の入った卵をある程度まとめて産卵します。

幼虫

緑色の透き通った印象の綺麗なイモムシですが、とても大きく肉感に溢れています。
オオミズアオの幼虫などと印象が似ていますが、尾部の褐色斑があることや、頭部近くの棘の生え方などで見分けは出来ます。

ブナ科の植物の葉などを食べてすくすくと育っていきます。

繭(まゆ)/蛹(サナギ)

葉を何枚か綴って繭を作ります。
黄緑から緑色の美しい繭を作り、冬の雑木林などでは空の繭がよく見つかります。

その中でサナギになるのですが、大きさは35mm~45mm程です。
メスのほうが大きいサナギになります。
一ヶ月ちょっとで大きな成虫が羽化してきます。

ヤママユの分布や生息地

日本では北海道から沖縄の方まで全国的に見ることのできる昆虫です。
平地から山にまで生息しますが、山地に入ったときや、雑木林に入っていった時に見られることが多いです。
海外では台湾、朝鮮半島、中国、ロシア、スリランカ、インド、ヨーロッパと世界的に見ることができ、住む地域で5亜種に分類されています。

ヤママユの仲間をもっと見る!

ヤママユガ科まとめ 山繭蛾図鑑

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この記事を書いた人

村松佳優

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

昆虫の面白い!魅力たっぷり!
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カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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