チョウの仲間でタテハチョウ科の仲間である「ヒメアカタテハ」を飼育観察したブログです。
幼虫の状態から、綺麗な蛹になって、成虫になるまでを観察しました!
著者紹介
はじめまして。昆虫写真家でWebサイト「ムシミル」の管理人の村松です。
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公園には色んな植物が雑草として生えています。
ヨモギなんかは食用としても利用されるのに、公園で生えていたら雑草になるので不思議なものです(笑)
そんなヨモギを見ていると、葉っぱがくるくると巻かれているところを見つけました。
葉っぱが広がっているはずの部分だったのですが、糸で中央に寄せられていました。
これは中にイモムシでもいるんじゃないかとのぞいてみたんですね。
そしたらトゲトゲのイモムシ(後で紹介)が出てきました。
何になるのかと調べてみたら「ヒメアカタテハ」に成長します。
どんな成虫をするのか気になったので観察することに!
それに、都市公園の中なので草刈りの運命が待っています。
実際にこのヨモギを持って帰った数日後に綺麗サッパリ刈られていました。
ムシミルで紹介するこのブログでは、その飼育の様子や、経過を観察したものをお見せします!
生き物の飼育は自由研究などにも最適なので、良かったら昆虫観察の参考にしてください。
ヒメアカタテハの一生
ヒメアカタテハの生態について簡単に紹介しておきます。
ヒメアカタテハはチョウ目(鱗翅目)の「タテハチョウ科」というグループの中の一種です。
チョウ目には一般に「チョウ」と呼ばれるものや「ガ」と呼ばれるものが含まれています。
実は明確に分けられているわけではないのですね。
ヒメアカタテハとは?
チョウ目の中でも、一般に蝶と呼ばれるものの中で「タテハチョウの仲間」として知られている一種です。
南方に多いマダラチョウの仲間や、目玉模様が特徴的なジャノメチョウの仲間、ヒョウ柄のカッコ良いヒョウモンチョウの仲間など色んな種類が居るのですが、それらと近い種類になります。
完全変態
ヒメアカタテハを含むチョウの仲間は「完全変態」と呼ばれる成長の仕方をします。
「卵」「幼虫」「蛹(サナギ)」「成虫」と成長していく変化のことです。
蛹の期間が入ることで、その姿はイモムシの状態から羽を持った成虫へと大きく姿を変えることが特徴的です。
見られる時期と成長速度
よく見られるのは秋頃ですが、春先からも見ることができます。
年に数回発生することが知られているので、成長速度は早い方なので観察はしやすい昆虫だと思います。
幼虫(トゲイモムシ)
幼虫はトゲトゲのイモムシで、造巣性を持っています。葉っぱをつづって、その中で生活をしているんですね。
おうちがそのまま、ご飯になります!
身を守る効果もありますが、観察するのに中が見にくいのはちょっと難点かもしれません。
食草や餌(エサ)としてはヨモギやハハコグサなどのキク科植物をはじめ、カラムシなどのイラクサ科の植物も食べます。
光るサナギ
タテハチョウの仲間は垂蛹型(すいようがた)と言って、ぶら下がった状態で蛹になります。
そして、このヒメアカタテハの蛹は部分的に金色に光ってとても美しいです。
もっと金々な蛹だとオオゴマダラなども知られていますが、沖縄の方にしか生息していません。
羽を持った成虫
成虫は日中から活発に活動するタイプで、タンポポ類やアザミ類など各種の花を訪れます。
ヒメアカタテハの育て方
飼育ケース
今回はヨモギですが、葉っぱをつづって巣を作るので、狭い容器だとうまく観察できないと思ってので、中くらいのサイズの飼育ケースを利用することにしました。
他の幼虫だったら、小さな容器でも十分と思うのですが、巣がうまく作れないと面白くないですもんね。
写真のように、ヨモギは巣を作っているところをまるごと持って帰ってきました。
園芸用の吸水スポンジを抵当なサイズのカップにサイズを合わせて、そこにヨモギを挿すことで日持ちをさせようと思っています。
飼育ケースのフタは合ったほうが良いです。
蛹になるときにはぶら下がれる場所を探すので、飼育ケースの天井にぶら下がってサナギになるからです。
フタがない場合はブサさがれる場所を作るのに木の枝などを入れておくと良いと思いますが、気に入らないと脱走することになると思います。
食べ物や餌(エサ)の探し方
キク科やイラクサ科の植物を食べますが、ヨモギが一番手頃に見つけやすい植物ではないでしょうか?
道路脇や公園のなどでも普通に生えているので、ちょっと探してみましょう!
香りも独特なので、匂いを嗅げばわかりやすいのもよいですね。
飼育と観察記録
ではここから飼育と観察の記録です!
5/8 ヒメアカタテハのトゲトゲイモムシを発見!
ヨモギを見ていたら、葉っぱが固まっている部分を発見しました。
そこだけまとめられたようになっているので、中に何かいるのではないとのぞいてみたんですね。
そしたら、そこにいたのは毛虫のような雰囲気を持ったトゲトゲイモムシ。
蛾の仲間かな?と思ったのですが、タテハチョウの仲間にはトゲトゲイモムシも多く、ちょっと気になったので調べてみたらヒメアカタテハの幼虫だとすぐにわかりました。
近くには、スケスケになった巣も合ったのですが、食べるところがなくなったら引っ越しをするようです。
5/13 ヒメアカタテハの幼虫の様子
ヨモギがしおれてきたので、新しいヨモギを入れてあげました。
巣を作っているので、そのまま触らずに新しいヨモギを足しただけです。
自然と新しいヨモギを食べに出てきて引っ越ししてくれると思います。
5/16 ヨモギの隙間から幼虫が見える
二匹の幼虫がイますが、一匹はお家がスケスケになっていたのでちょっと様子を見ることができました。
ヨモギの色が変わってきているのでまた取りに行かないといけません。
5/17 蛹(サナギ)になる準備、前蛹(ぜんよう)
餌を変えてあげるのにヨモギを取りに行こうと思ったのですが、どーやら蛹になるようです。
天井に二匹ともくっついていて、一匹は前蛹(ぜんよう)の状態でぶらさがっているではありませんか。
ヒメアカタテハはタテハチョウの仲間で、蛹(サナギ)の状態にも特徴があります。
「垂蛹(すいよう)」と呼ばれる、ぶら下がりタイプのサナギになるので、ヨモギから離れて天井にぶら下がっているのは蛹(サナギ)になる準備を始めたってことです。
餌(エサ)はもういらないみたいです。
サナギになるのが楽しみです。
5/18 蛹(サナギ)になりました!
一日経ってみると、一匹は蛹(サナギ)になっていました!
もう一匹も天井からぶら下がって蛹(サナギ)になる準備を始めていました。
びっくりしたのはキラキラしたとても綺麗な蛹になったこと。金色に輝くサナギです!
午前中に蛹になっているのを確認したのですが、夕方になるとキラキラした金色に変わっていました!
5/26 ヒメアカタテハが羽化しました!
蛹になってから8日が経ちました。
サナギの色が変わっています。羽化が近いようです。
その変化が面白く、中に羽の模様が見えるようになっていきます。
次は出来上がった体が殻から浮いてくるので、更に色が変わって見えます。
モンシロチョウやアゲハチョウは白っぽく見えてくるのですが、ヒメアカタテハは全体的に黄色っぽくなってきます。
蛹の状態でも、なんとも美しいものです。
サナギの変化
サナギの抜け殻
ヒメアカタテハの成虫
羽化直後の排泄物
白バック写真
もう一匹の羽化も見逃してしまったので、これで観察は終了です!
まとめと感想(飼育が終わったら追記します)
はじめは、ヨモギを綴って巣を作っている幼虫にびっくりしましたが、ヨモギが近所に生えていれば飼育は難しくないと思います。
スに隠れているだけで意外に近くにいるかも知れません。
ヒメアカタテハは、チョウの仲間の中でも巣を作ったり、ぶら下がってサナギになる様子などは独特です。
モンシロチョウやアゲハチョウの飼育を通して観察をしたことのある人はヒメアカタテハを飼育すると、同じ蝶でもいろんな生態を持っているという比較もできるので自由研究でも面白そうです。
なにより、サナギの美しさには感動しました!
とてもよい観察ができました!
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