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ウラギンシジミ

ウラギンシジミの写真

写真ギャラリー

ぶら下がって休んでいます(大阪)

暗いところではよく目立ちますね(奈良)

オレンジ色はオス♂の特徴(大阪)

止まっているときに羽をゆっくりと広げたりします(奈良)

ウラギンシジミを正面から(大阪)

ツルの上でじっとしていた幼虫(大阪)

二匹の幼虫の出会い

地面に降りて吸水(大阪)

茎にぶらさがっている

太陽を背に浴びるウラギンシジミ

銀白色の渋く美しいチョウです(奈良)

シジミチョウ科まとめ 蝶の図鑑

ウラギンシジミってどんなチョウ?

銀白色の羽を開くと、濃い茶色の羽が見える特徴的な色彩を持っています。丸っこい羽を持った種類の多いシジミチョウ科の中で羽の先が尖っているのも変わっています。

シジミチョウの仲間の幼虫はワラジ形をしているものが多く、ウラギンシジミの幼虫もワラジ形です。
しかし、尾部に突起を持っているという特徴を持っており、驚くとそこからブラシ状に広がる突起を飛び出させるという習性を持っています。

ウラギンシジミの写真
ウラギンシジミの幼虫

シジミチョウ科

ウラギンシジミはシジミチョウ科の仲間で小型のものが多いです。シジミチョウというのは、貝の蜆(シジミ)のような形の羽をしているところからきています。羽を開いたときに光沢感のある美しい色彩を持った種類が多いので、ウラギンシジミは少し雰囲気の違うシジミチョウになります。

ウラギンシジミの特徴

羽を閉じたときの裏面が真っ白なチョウチョです。
銀白色の羽とも言われていて、模様もないのが特徴的です。
あまりにも真っ白なのでウラギン(裏銀)シジミとつけられたのでしょうね。

ウラギンシジミの写真
ウラギンシジミの写真
ななめから
ウラギンシジミの写真
ななめから
ウラギンシジミの写真
正面
ウラギンシジミの写真
横から

オスとメスの違い(羽の色)

濃いめの茶色にオスは朱色の紋、メスは白色っぽい紋(少し水色のものも)を持っています。
ハタハタハタと飛んでいる姿は、表と裏の羽が交互にチラチラして見えるので、飛んでいる姿はキラキラして見えて素敵です。

ウラギンシジミの写真
ウラギンシジミのオス♂の模様は橙色をしています。
この部分がメス♀では白か薄い水色になります。

生態

幼虫の色彩

幼虫は周りの環境に合わせて、緑色のタイプからピンク紫のタイプまで見られます。

生まれた幼虫を、葉っぱ(緑色)とフジの花(紫色)で育ててみたところ、周りの色に合わせた体色に成長していく様子が観察できました。

ウラギンシジミの写真
葉っぱの食事で、緑色の幼虫に成長。
花びらの食事で、赤っぽく成長。

幼虫の威嚇(いかく)

幼虫は危険を感じると、尾部(びぶ)にある筒状の突起からブラシ状の突起を出して威嚇します。

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毛のついたバルーンのような形状をしているみたいです。
膨らみかけの時は毛が揃っています。
ウラギンシジミの写真
花火みたいですね。
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膨らみ切ると、ブラシのように毛が広がります。
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よく見ると、糸もかかっているので前蛹(ぜんよう)の状態ですが、刺激に反応してブラシを出しています。
サナギになる準備で体を作り変えている最中だからか、ブラシに元気がないですね。

食べ物や餌(エサ)は?

幼虫時代

フジ、エンジュ、クズなどのマメ科植物の蕾(つぼみ)や花などを食べて育ちます。

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茎部分まで食べていました(フジ)
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ムチムチのお肉で食べているところを隠してるみたいです。

成虫時代

花のミツや樹液などにもやってきますが、腐った果実や湿った道路などで吸水したりと何にでも集まります。

ウラギンシジミの写真
地面で吸水するウラギンシジミ。

越冬

ウラギンシジミの冬の越し方は成虫越冬です。冬の間でも、木の枝などにぶら下がってじっとしているのを見つけることがあります。

南西諸島などの暖かい地域では越冬する必要がないので周年見ることができます。

成長(卵・幼虫・サナギ・成虫)

凸凹とした特徴的な卵を産みます。
フジの蔓(つる)に産み付けられた卵を見つけました。

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フジのツルに産み付けられた卵。
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まるでサンゴのようにも見えるデコボコとした形状。

孵化(ふか)

孵化(ふか)の準備ができると、卵の上部を食い破って出てきます。

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卵の上部に穴が開き始めました。
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幼虫が孵化した後は、穴の開いた卵の殻が残っていました。
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孵化した幼虫が近くを歩いていました。

幼虫

孵化したての幼虫は小さな毛虫といった印象で、特徴的な尾部の突起は持ちません。
2齢幼虫になると、尾部に突起を持つようになり、ウラギンシジミの幼虫らしく育っていきます。
4齢まで成長しますが、体色は緑色から赤紫色まで変異があります。

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一齢幼虫。小さな毛虫タイプ。
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二齢幼虫。ビブに突起が現れました。
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緑色の幼虫。
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緑にピンクが混じった幼虫。
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ピンクに少し緑を感じる幼虫。
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濃い赤紫色の幼虫。
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体の下に頭部を隠していることが多いけれど、移動するときなどは顔を見ることができます。

脱皮

四齢幼虫まで脱皮を繰り返して大きくなってきます。
突起が脱皮しにくいのではないかと思っていましたが、特に問題なく古い皮を脱ぐことができるようです。

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皮が脱げたところの色が薄くなっているのがわかりますか?
右側の方に、脱げた皮が白っぽくシワ状になっているのがわかりますね。
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突起部分も、後ろに倒れるように皮が脱げます。
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脱ぎきりました!

前蛹(ぜんよう)

幼虫からサナギになる準備をする段階を前蛹と呼びます。
体に糸をかけて動かなくなり、サナギに体を作り変えて脱皮します。

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動かなくなり、サナギになる準備をしているのだと気づきます。
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時間が経つと丸っこくなってきました。

蛹(さなぎ)

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幼虫の時からは想像のつかない、シンプルで丸っこいサナギになります。
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羽化の準備に入り、中に成虫の姿が見えてきます。
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羽化(うか)直前のサナギ。
オレンジ色の羽の模様が見えるのでオスだとわかりますね。

羽化(うか)

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羽化したては羽も柔らかいので、しっかり伸びて乾くまでがドキドキです。

羽化(うか)の様子を順番に並べてみました。

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サナギが割れて成虫の頭部が出ました。
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全体が出てきます。
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羽を伸ばせる場所を探します。
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良い場所を見つけました。
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羽根を伸ばし始めます。
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根元の方から先の方にかけて伸ばします。
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あと一息です。
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羽が伸びたら、しっかりと固くなるまでじっとしています。
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羽化したてのときは口も二股に分かれていますね。

成虫

オスメスともに銀白色ですが、羽裏はオスがオレンジ。メスが白色の模様になります。

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ウラギンシジミの成虫。

分布や生息環境

ウラギンシジミは暖地性のチョウで、本州より南に分布しています。

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白い羽は葉っぱの上などで目立つような気もするが、羽を閉じて地面に降りていると、意外に見つけにくい色彩なのかもしれない。

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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