毎月昆虫に出会える!「月刊ムシミル」

ツツジコブハムシ

ツツジコブハムシアイキャッチ画像

写真ギャラリー

ゴツゴツしてかっこよい

黒い粒が落ちている。まるで虫のフンみたい(奈良)

動くと虫とわかる(奈良)

ムシクソハムシより少し幅広な体型

孵化(ふか)の様子

活動を始めた若齢幼虫

フンで作られた家は少しずつ大きくしていく

成長した幼虫。ミノも大きくなり模様も入って面白い

赤褐色のまだら模様

顔はハムシっぽい

良いポーズを撮っているかと思ったら糞をしている。産卵かもしれない

油断していると見逃しそうだ(奈良)

ツツジコブハムシ

ハムシ科まとめ 葉虫図鑑

ツツジコブハムシってどんな虫?

成虫が虫の糞(ふん)に擬態していると言われ、幼虫もフンで作ったミノを背負って生活する面白いハムシの仲間です。

ツツジのある場所を見かけてはツツジコブハムシがいないかと探していたのですが、なぜか数年も見つからない・・・
なぜこんなに出会えないのかと思っていたのに、写真の指導に行っている大学の植え込みでたくさん見つかるという。
めっちゃ身近にいたというオチですね。

フンと共に生きている生態がとても興味深かったので、じっくり観察することができて良かったです。

ハムシ科

コウチュウ目に含まれるグループで、日本では800種類ほどが知られています。植物食で日中に活動するものが多く、漢字では「葉虫」と書きます。農作物に被害を与える害虫も少なくないのですが、色んな模様や形態的特徴を持ったハムシがいるので人気も高いです。

ツツジコブハムシの特徴

全体にゴツゴツした印象の体系で、遠目に見るとシャクトリムシなどのイモムシのフンにそっくりです。
近似種のムシクソハムシよりも体の幅が広い印象です。

幼虫はフンで作った殻に入って生活をしています。

成虫

ツツジコブハムシの写真
ゴツゴツした体
ツツジコブハムシの写真
死んだふり。脚もぴたっとくっついている。
ツツジコブハムシの写真
腹面から。
ツツジコブハムシの写真
起き上がろうとして羽を出しました。ゴツゴツした印象で羽が開くのかな?と思っていたのですが、飛べるようです。

幼虫

ツツジコブハムシの写真
大:フンの殻が大きくなった幼虫。
ツツジコブハムシの写真
小:孵化(ふか)したばかりの幼虫。
ツツジコブハムシの写真
中:フンを使って家を大きくしていきます。

生態(食べ物やエサ)

食べ物や餌(エサ)

ツツジ類の葉っぱや枝についているのをよく見かける昆虫です。
サツキなどの葉っぱも食べます。

糞(フン)で身を守る

卵はフンで覆って守られています。

孵化(ふか)すると、そのフンを使って家を作って、ヤドカリのように背負って身を守っています。
体の成長に合わせて、お家のサイズも少しずつ大きく増築していきます。

サナギになるときも、このフンの殻に入ったまま蛹化(ようか)することで外敵から身を守ります。

成虫はフンを身につけることはないですが、その姿自体がまるでイモムシのフンのようです。

卵の時から成虫になっても、フンを使って身を守る昆虫です。

ツツジコブハムシの写真
ちょうど並びました。
左から小さいミノ、中くらいのミノ、大きなミノです。

中にはどんな幼虫が入っているのでしょう?

ツツジコブハムシの写真
枯れた葉っぱについていたので移動させようとしたら、ミノだけ引っこ抜いてしまいました・・・。中にはこんな幼虫が入っているんですね。
ツツジコブハムシの写真
ミノがなくても10日ほどはツツジの葉っぱの上で活動していました。

成長の様子

ツツジコブハムシは「コブハムシ亜科」に含まれるハムシで、この仲間は卵をフンで包む習性を持っています。
生まれた幼虫は、卵が入っていたフンでミノのような家を作り、その中に入ったまま成長していきます。
サナギになる時は、フンの家を枝に固着させてその中で蛹化(ようか)します。

産卵、糞に包まれた卵

卵の周りをフンで包んで守ります。
お尻で作っているとは思えないような見事な構造物に仕上げます。

しかし、最初はただのゴミのようにしか見えないのです。
写真も撮って確認すると、独特な形状をしているので卵だとわかってきます。

ツツジコブハムシの写真
フンで包まれた卵。
ツツジコブハムシの写真
おしりを上げているポーズを見かけたら産卵中かもしれません。
ツツジコブハムシの写真
卵の周りをフンで包んでいるところです。
ツツジコブハムシの写真
固まったフンは意外に硬いです。
しかし、少し割れてしまったものを見ると、中から卵が出てきました。
黄色い楕円形の形状をしています。

孵化(ふか)

とても小さいので、いつも目を凝らして観察していたのですが、少し違和感のある卵を見つけたので撮ってみました。
なんと、フンの殻に穴を開けて顔をのぞかせている幼虫の姿を捉えることに成功しました!

ツツジコブハムシの写真
孵化した幼虫が、硬い殻を破って頭を出してきました。

幼虫

卵の時から周りを固めて守ってくれていたフンをそのまま使い、ミノ型の殻のお家を作って生活します。
成長に合わせて増築していき、枝にじっとしていると見つけにくいです。

ツツジコブハムシの写真
孵化(ふか)してしばらくした幼虫。
ツツジコブハムシの写真
ミノが少しずつ大きくなっていきます。
ツツジコブハムシの写真
新しく増築した部分は横縞になっているので、どんなふうにミノを大きくしてきたかが想像できるのが面白いですね。
ツツジコブハムシの写真
殻をピタッとくっつけてお休み中。
ツツジコブハムシの写真
大きく成長し、増築したミノの模様も面白い。
ツツジコブハムシの写真
中の幼虫も大きくなっています。
ツツジコブハムシの写真
何かのフンのようにも、木の芽にも見えたりします。

蛹(サナギ)と羽化(ウカ)

殻を枝などにピタッとくっつけて、その中でサナギになります。

ある時から、いつも同じ場所にいるなと感じたら、その中で蛹になっているかもしれません。

ツツジコブハムシの写真
枝にくっついて、この中で蛹化(ようか)します。
ツツジコブハムシの写真
しばらく経ってから、中を観察してみることに。
想像以上に殻が硬い!!
頑張って開けると、黄色いサナギを観察することができました。
ツツジコブハムシの写真
殻は戻せないので、そのままそっと置いていたら羽化(うか)して成虫になったところも確認できました。
ツツジコブハムシの写真
これは他の個体が出てきた殻です。
本来は、殻の中で羽化した成虫は、先っちょを切り取るような形で外に出てくるようです。

成虫

羽化したての状態は薄い褐色のイメージでしたが、時間が立つと赤褐色のマダラでゴツゴツした感じの成虫になります。

ツツジコブハムシの写真
ツツジコブハムシの成虫

分布や生息環境

日本では本州や九州で見ることができ、ツツジ類が咲いているような場所で見ることができます。

ハムシの仲間をもっと見る!

ハムシ科まとめ 葉虫図鑑

ハムシ特集バナー画像

関連記事(一部広告含む)

この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

昆虫の面白い!魅力たっぷり!
たくさんの人にそれを知ってもらうことで、人も昆虫もよりよい未来を築いていけたらと思ってこのサイト「ムシミル」を運営しています。

カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
詳細なプロフィールはこちらのページで御覧ください。
TwitterInstagramもやっているのでフォローや応援してもらえたら嬉しいです(^^)