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カシワマイマイ

カシワマイマイの写真

写真ギャラリー

夕暮れ時に木に止まっていたカシワマイマイのメス♀(兵庫)

ブナ科で見つけた幼虫(大阪)

体色には変化があります(兵庫)

脱皮殻

前方に伸びた特徴的な毛

後方にも特徴的な毛が伸びる

幼虫のフン

サナギになる前の終齢幼虫

葉っぱの裏などでハンモックのような場所を作ってサナギになります(奈良)

お尻が糸で繋がっているのでかんたんに落下はしません(兵庫)

サナギには短い毛束が見られます

羽化した後のサナギの殻

カシワマイマイのオス♂の顔

カシワマイマイのオス♂触角もフサフサ

カシワマイマイのオス♂ウサギの毛並みのようだ

カシワマイマイのオス♂ふわふわで可愛い

地面に降りてもわかりにくい?オス♂(兵庫)

ホテルの明かりにやってきたオス♂(兵庫)

カシワマイマイのメス♀(兵庫)

メス♀はピンクの模様が入るのが可愛いです(兵庫)

カシワマイマイってどんな虫?

ブナ科の植物などで幼虫を見かけますが、長い毛が特徴的でサイズも大きくかなり目立ちます。
成虫になると、オスもメスも可愛い顔をした蛾の成虫に育ちます。

その様子を確認するのに、家で飼育してみてその変化を見た内容も含めて書いています。

カシワマイマイの写真
カシワマイマイの幼虫。
ブナ科の植物(おそらくアベマキ)についているのを見つけました。

ドクガ科

昆虫の分類でチョウ目があり、その中で一般に蛾(ガ)と呼ばれる仲間ですが、その中の分類で更に細かく「ドクガ科」に含まれる一種になります。漢字では毒蛾と書ますが、実際に毒を持っている種類は少数です。

蛹(サナギ)の動く様子を中心に、カシワマイマイの紹介をしています!

カシワマイマイの特徴

カシワマイマイのオス♂とメス♀の違い

カシワマイマイは成虫になるとオスとメスで模様が違います。

オスは細かい模様の入った姿をしていて、触角もフサフサです。
個体によってその模様や色の濃さなどに変化があります。

メスは白っぽい羽に波模様の入ったデザインで「マイマイガ」のメスの成虫に似ています。
後ろの羽は隠れていますが、羽根を広げるとピンク色になっているのがわかります。
そして、顔や脚などにもピンクの模様が入って化粧をしているように見えます。

カシワマイマイの写真
カシワマイマイのオス♂
細かい模様で個体によって変異があります。
カシワマイマイの写真
カシワマイマイのオス♂
触角が羽毛のようにフサフサなのはオスだけです。
カシワマイマイの写真
カシワマイマイのメス♀
オスとは模様が異なり個体によっても変化があります。
カシワマイマイの写真
カシワマイマイメス♀
触角が細いのとピンクの模様が散らばって綺麗です。

マイマイガとの違い

幼虫は全く違う姿をしています。
成虫のメス♀だけ模様が似ていますが、マイマイガのメスはピンクの模様がないので見分けられます。

オスの触角はふさふさ

オスの触角は羽毛のようにふさふさになっています。
ガの仲間ではよくある変化で、オスはメスが出すフェロモンを感知するために触角が発達しているものが多いです。
カシワマイマイもそうなのかはわかりませんが、メスの触角はオスのようにはなりません。

カシワマイマイの写真
カシワマイマイの触角。
オスの触角はふさふさしているだけではなく、よく見るとテントのように広がっていることがわかります。

カシワマイマイの幼虫の特徴

幼虫の一番の特徴は前方と後方に伸びた長いブラシ状の毛束です。
個体によって色に変化も見られますが、この毛が特徴的なのでわかりやすい幼虫です。

カシワマイマイの写真
カシワマイマイの幼虫の頭。
こうやってみると、長い毛がおさげのようです。
カシワマイマイの写真
カシワマイマイの幼虫のお尻。
しっかりとしたコシのある毛なのがわかります。

カシワマイマイの生態

ドクガの仲間だけど毒はない

ドクガ科の昆虫は名前はすごいですが、みんなが毒を持っているわけではありません。
毒を持っているドクガの仲間はほんの一部です。

カシワマイマイも毒は持っていないとされています。
まれに「かぶれることがある」という話もありますがどんな生き物にもある程度の話だと思います。

大発生と駆除

たまに大発生することがあるようです。
そんなときは家の壁など含めて、あちこちに卵を産み付けられてしまいます。

対処方法

毒はないと言っても、庭先で大量発生されたら植物などへの被害も考えられます。
大きく成長してよく食べますし。

対策としては卵のうちに除去するのが効果的なようです。
ヘラなど使って取ってしまいましょう。

卵を産み付けられないようにするには、家などにやってこないようにすることができれば一番です。
薬をまく方法などもありますが、光に寄ってくることがないように昆虫を誘引しない光源に変更するのも効果的です。
光源を変更した場合、他の光に集まってくる昆虫も集まりにくくなります。

灯火にやってくる走光性

光に向かって飛んでいく習性のことを走光性と呼びます。
カシワマイマイの成虫にも走光性があり、灯火などにもやってきます。

カシワマイマイの写真
カシワマイマイのオス♂。
ホテルの明かりにやってきて壁に止まっていました。

カシワマイマイの成長

黄色い体液で固められた卵塊(らんかい)を産み付けます。
最初は黄色いですが、だんだんと灰色になって、そのまま冬を越します。

幼虫

小さな頃から長い毛を持った毛虫ちゃんです。
成長すると、体も大きくなりますが、特徴的な前方と後方の毛が立派に育っていきます。

カシワマイマイの写真
カシワマイマイの終齢幼虫
毒はありませんが、毒を持っていそうな雰囲気なのはわかります。

幼虫のフン

いっぱい食べてフンもいっぱいします。

カシワマイマイの写真
カシワマイマイのフン

蛹(サナギ)

葉っぱの裏などに太い糸を使って、揺りかごのような、ハンモックのような場所を作ります。
スカスカなので繭というほどでもないですが、かなり頑丈な糸です。
お尻の先はその頑丈な糸につながっているので、何かあっても簡単には落ちません。

カシワマイマイの写真
カシワマイマイのサナギ。
見えにくいですが、太い糸で作られたハンモックに寝ているような状態で体を支えています。
カシワマイマイの写真
カシワマイマイのサナギ。
暴れて隙間から落ちたようですが、落下することありません。
お尻の先がネットにつながっているからです。

脱皮

カシワマイマイの写真
カシワマイマイの脱皮殻。
脱皮した皮にも特徴的な毛が残っていますね!
カシワマイマイの写真
カシワマイマイのサナギの脱皮殻。
蛹の状態から最後の脱皮をして成虫になります。
ぶら下がった状態で出てきたようですね!

カシワマイマイの飼育

今回カシワマイマイを見つけてからは、家の飼育ケースの中で観察しました。
育ててみた感想ですが、そんなに難しくはありません。
食草となるブナ科(クヌギ、アベマキ、コナラなど)やサクラの葉っぱ(バラ科)が手に入れば飼育は可能です。

飼育ケースはフタ付きのものだと、天井部分が蛹になる場所にもよいですし、エサが足りなくなったときの逃亡を防止することにもなります。

取ってきた植物は、プリンカップなどのケースに園芸スポンジを入れて水で浸します。
そこに植物を刺しておく方法で試してみましたが、定期的に餌を変えてあげれば問題なさそうです。

ドクガの仲間をもっと見る!

ムシミルではたくさんの昆虫の面白い!を届けていきます。
綺麗な写真をたくさん使って紹介していますので、他の昆虫も是非ご覧になってください。
これからもムシミルをよろしくお願いします!

ドクガ科まとめ 毒蛾図鑑

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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たくさんの人にそれを知ってもらうことで、人も昆虫もよりよい未来を築いていけたらと思ってこのサイト「ムシミル」を運営しています。

カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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