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マイマイガってどんな虫?
特徴的な幼虫の姿で、実はよく見る昆虫です。その見た目がちょっと可愛かったりします。
オスとメスでは姿が異なっているのも特徴的です。
たびたび大発生をすることで、幼虫が色んな植物を食害して頭を悩ませることもある害虫の側面もあります。
よくも悪くも人との関わりが深い昆虫です。
ドクガ科
昆虫の分類でチョウ目があり、その中で一般に蛾(ガ)と呼ばれる仲間ですが、その中で更に分類された「ドクガ科」に含まれる一種になります。漢字では毒蛾と書ますが、実際に毒を持っている種類は少数です。
(マイマイガは一齢幼虫の時のみ毒針毛を持つようです。)
「舞舞蛾(マイマイガ)」の名前の由来
マイマイガは漢字で書くと「舞舞蛾」と書きます。
これは、成虫のオスが飛んでいる姿が不規則に飛んでいる姿が、まるで舞っているようだと名付けられたものです。
夜行性の種類が多い中で、マイマイガのオスは昼間にも活動をするので、人目に触れやすかったのもあるんでしょうね。
他にもマイマイと名前のつくものだと「マイマイカブリ」などがいますが、そちらの方はカタツムリのことを「マイマイ」と呼んでいるので違う意味のものです。
幼虫の時には吐いた糸にぶら下がったり、風に乗って飛んでいったりするのですが、その様子から「ブランコケムシ」の呼び名もあります。
マイマイガの特徴
マイマイガのオス♂とメス♀の違い
マイマイガは成虫になるとオスとメスで模様が違います。
オスは細かい模様の入った姿をしていて、触角もフサフサです。
個体によってその模様や色の濃さなどに変化があります。
オス♂
メス♀
カシワマイマイとの違い
成虫が似ているので比較されますが、幼虫は全く違う姿をしています。
成虫の模様は変化もあるので、メスだと似ていてややこしいこともありますが、カシワマイマイのメスはピンクの模様が入っているので見分けられます。
幼虫の比較
メス♀の成虫の比較
オスの触角はふさふさ
オスの触角は羽毛のようにふさふさになっています。
ガの仲間ではよくある変化で、オスはメスが出すフェロモンを感知するために触角が発達しているものが多いです。
マイマイガもそうなのかはわかりませんが、メスの触角はオスのようにはなりません。
マイマイガの幼虫の特徴
幼虫の一番の特徴は背面に並んだ赤や青のカラフルな点模様です。
個体によって色に変化も見られますが、このデザインが独特な雰囲気を持っています。
顔を見た時には縦に並んだ黒斑が顔のタレ目のようにも見え、これがなんとも可愛く見えます。
マイマイガの生態
ドクガの仲間だけど毒はない
ドクガとは名前がすごいんですが、どの種類も毒を持っているわけではありません。
毒を持っているドクガの仲間はほんの一部です。
マイマイガの場合は孵化(ふか)した直後の一齢幼虫のときにだけ毒針毛(どくしんもう)を持っています。
孵化した幼虫は、糸を吐いて風に乗っていく習性もあるので、大量発生したときなどには注意をしていないとかぶれることがあります。(ただ、被害報告は少ないようで、普段はそんなに気にしなくて大丈夫でしょう。)
成長した幼虫や成虫は毒を持っていません。
大発生と駆除
たまに大発生することがあるようです。
マイマイガは10年周期で大発生すると言われており、その時には駆除しなければなりません。
家の壁など含めて、あちこちに卵を産み付けられてしまいます。
マイマイガで調べると、駆除に関連した情報やお願いがたくさん出てきます。
壁についた卵などは、ペットボトルなどを半分に切ったもので、こそげ取るように卵を引っ剥がしていくのがよさそうですね!
収束するには2~3年かかると言われています。
対処方法
マイマイガは広食性なので、庭先で大量発生されたら色んな植物などへの被害が考えられます。
大きく成長してよく食べますし、海外に移入して問題になったケースでは、森がまるごと坊主にされてしまうほどの被害になることもあるそうです。
対策としては卵のうちに除去するのが効果的です。
丁寧に除去するなら、ヘラなど使って取ってしまいましょう。
卵を産み付けられないようにするには、家などにやってこないようにすることができれば一番です。
薬をまく方法などもありますが、光に寄ってくることがないように昆虫を誘引しない光源に変更するのも効果的です。
光源を変更した場合、他の光に集まってくる昆虫も集まりにくくなりますね。
灯火にやってくる走光性
光に向かって飛んでいく習性のことを走光性と呼びます。
マイマイガの成虫にも走光性があり、灯火などにもやってきます。
マイマイガの成長
卵
一箇所にまとまって卵塊(らんかい)を産み付けます。
表面には鱗毛(りんもう)を塗りつけて保護しています。
幼虫
卵塊から次々と生まれてきた幼虫は小さく黒っぽい姿をしています。
成長すると、体が大きくなり少しずつ派手に成長していきます。
幼虫は吐いた糸に乗って飛んでいく(移動する)習性を持っているので、色んな所で見かけます。
洗濯物なんかにもついていることがあるので注意したいですね。
大きく育ってからも糸にぶら下がっていたりします。その様子から「ブランコケムシ」の呼び名もあります。
蛹(サナギ)
葉っぱの裏などに太い糸を使って、揺りかごのようなざっくりした繭を作ります。
スカスカなので繭というほどでもないですが、かなり頑丈な糸です。
飼育・観察していたものは、プラケースの天井に気に入った場所を見つけたようです。
成虫
成虫の姿はオスとメスでは雰囲気が異なります。
オスは昼間に活動してメスを探します。メス♀は昼間に飛んでいるのを見かけることは少ないようです。
夜にはオスもメスも、灯火などにやってくるのが観察されます。
交尾したメスは、適当な場所を見つけて300粒ほどの卵の入った卵塊を産卵します。
マイマイガの飼育
マイマイガを見つけたので、家の飼育ケースの中で観察しました。
育ててみた感想ですが、そんなに難しくはありません。
植物を適当に入れておけばすくすくと育っていきます。広食性で色んな植物を食べるので、どんな葉っぱが好みなのか調べてみても面白いかもしれないですね!
飼育ケースはフタ付きのものだと、天井部分が蛹になる場所にもよいですし、エサが足りなくなったときの逃亡防止にもなります。
これは僕がやっていた方法ですが、取ってきた植物を長持ちさせるのに考えたものです。
プリンカップなどのケースに園芸スポンジを入れて水で浸して、そこに植物を刺しておくだけで割と長持ちしました。
水を直接だと、うっかり溺れると大変ですからね。後は、定期的に餌を変えてあげれば問題なさそうです。
マイマイガの種類や亜種
マイマイガは世界に広く分布する昆虫です。
ヨーロッパ亜種、アジア亜種、日本亜種に分けられており、日本の中ではいくつかの種として扱っている図鑑もあります。
北アメリカは移入種
北アメリカでマイマイガが大量発生して大変なことになっているニュースも聞きますが、北アメリカにはもともと存在せず、ヨーロッパから持ち込まれたと考えられています。
大発生しても、寄生虫などの抑制効果で数が減っていくものですが、北アメリカにはもともといなかったこともあってそのような抑制効果が働かないようです。
名前 | 生息地(生息範囲) |
---|---|
ヨーロッパ亜種 | ヨーロッパ全域、北アフリカ |
アジア亜種 | ウラル山脈以東、極東ロシア、中国北部、朝鮮半島 |
日本亜種 | 本州、四国、九州 |
(種)エゾマイマイ | 北海道、千島、シベリア南東部 |
(種)コシロシタマイマイ | 種子島、屋久島 |
(種)シロシタマイマイ | 沖縄 |
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