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トゲナナフシの飼育と成長記録

トゲナナフシの飼育

トゲナナフシというのは、ナナフシ目ナナフシ科の昆虫で、棒みたいな虫として木の枝に擬態しているナナフシモドキの仲間だと言えばわかる人も多いのではないでしょうか?

著者紹介

村松佳優の写真
村松の撮影風景

はじめまして。昆虫写真家でWebサイト「ムシミル」の管理人の村松です。
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ナナフシの仲間のなかではちょっとずんぐりした体型で、ナナフシモドキよりは短いのですが、それでも長い虫に違いはなく、昔から会ってみたい昆虫でした。
しかし、そんなに珍しい昆虫ではないはずなのですが、出会った記憶がない・・・
ナナフシモドキやエダナナフシにはよく出会うのに。
トゲナナフシもトゲのあるノイバラなどを食べるのですが、そんなトゲのある植物に擬態をしていて、私の目を誤魔化しているのかもしれません。
しかし、ふとトゲナナフシの卵を譲っていただくことができましたので、自分で育ててしまおうとなったわけです。
そこで、わかったことや飼育の仕方などをトゲナナフシの成長と共に紹介していこうと思います。

トゲナナフシの一生

トゲナナフシは不完全変態の昆虫です。産まれてから成虫と同じような形をしていて、脱皮を繰り返して大きくなっていきます。
オスの発見は極めて珍しく、メスだけで卵を産む単為生殖をすることが知られています。そして、メスだけで生んだ卵から幼虫が孵ってまた大人になっていきます。

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天敵

鳥やトカゲなどは天敵として代表的ですが、カマキリや蜘蛛などにも補食されます。しかし、飼育の観点から考えるとそんなに天敵の存在は気にしなくて良さそうです。

トゲナナフシの見つけ方

飼育するにはまずは見つけなくてはいけませんね!近くにトゲナナフシを飼育している人がいればラッキーですが、なかなかそんなこともないでしょう。
野外で探すときには、卵を見つけようと思うとかなり難易度が高いです。卵はまるで植物の種のようで、地面ばらまいて産卵されるのでとてもじゃないけど見つけることはできません
ということは、トゲナナフシの成虫か幼虫を見つけるのが一番よいですね!
トゲナナフシは食草の幅も広いのですが、丘陵から山の広葉樹林などを中心に生息していてサクラ、ヤツデ、アザミなどの近くに潜んでいることが多いようです。

幼虫の飼い方

・エサ

エサは割りとなんでも食べます。しかし、生まれたての幼虫は固い葉っぱを食べることができません。そこで、他のサイトなどで調べた結果コマツナが一番お手頃かと思って与えてみたらよく食べてくれました!バラの新芽なども柔らかくて良さそうです。
一回脱皮して2齢幼虫になると固めの葉っぱも食べることができるようになります。
他にも、バラ科の植物やヤツデなどを食べるので、庭などにあれば与えてみるとよいでしょう!園芸店などで販売されているレモンリーフ(ツツジ科)もよく食べます。

・水分補給

よく水を飲みますので霧吹きをしたり、いつでも吸水できるように濡れたティッシュを入れるなどの工夫をしてあげるとトゲナナフシが喜びますよ。

・飼育ケース

生まれたての幼虫の時は小さなプリンカップでも行けます!
後は、成長に合わせて一般的な飼育ケースで充分です。100均などでも売っていますよ。
ちょっとしたプラケースに空気穴をあけても代用できます。

気を付けたいのは飼育ケースの高さになります。ぶら下がったような状態で脱皮をしますので、高さがないとうまく脱皮できないことがあります。

注意事項

・農薬

スーパーで買ってきたコマツナなども食べますが、農薬に気をつけなければなりません。丁寧に洗うなどして気をつけたいですが、私は一度トゲナナフシを全滅させるところでした・・・。

・水分補給

トゲナナフシは水をよく飲むことでも知られています。定期的に水分補給のために霧吹きをしたりして水分を取れるようにしてあげましょう。

ではさっそく飼育していきましょう!

卵の保管方法

卵の保管方法も色々とありますが、ポイントは実際のトゲナナフシが卵を産み落とした場所の環境を再現できるか?ってところですね。
そこで考えたのが次の方法で、ケースの底に水分を含んだ地面を作って湿度を適度に保つ方法です。

園芸用の底石などにも使われる「Hydro bowl(ハイドロボール)」を使います。この小石は高温で処理された多孔質で通気性にも優れた人工軽石なので、保湿性にも優れているし雑菌なども少ない衛生的な環境を保つのに丁度良いと考えました。

ハイドロボール
ハイドロボールは多孔質で保湿性にも優れながら通気性も良い人工軽石。

その上に、卵を保管するのですが、直接濡れないようにしたかったので何が良いかを考えました。そこで考えたのが「レンジフードフィルター」です。キッチンペーパーとかだと水が染みてきてしまう可能性がありますが、このレンジフードフィルターなら適度な厚みと通気性もありますし、衛生的な素材としてなかなか良いと思います。

レンジフードフィルター
レンジフードフィルター。換気扇などに使うフィルターは適度な厚さと通気性が良いので保管に向いている。

さらに念には念を入れて、水分を含んだハイドロボールとレンジフードフィルターの間に、鉢植えの底に敷く鉢底ネットを抵当なサイズにカットして挟むことにしました。レンジフードフィルターの水没を防ぐためです。(ちょっと心配しすぎかもしれませんね。)

鉢底ネット
鉢底ネットは適当なサイズにカットして石の上にセットする。

これを飼育ケースにセットします。
最後のポイントはキッチンペーパーです!ケースとフタの間にキッチンペーパーを挟むことで、中の湿度が一定になりやすいのです。ケースの外側の環境が変わっても、急激な変化を避けることができます。

飼育ケース
飼育ケースとフタの間をキッチンペーパーで挟む。

水分の補給をしやすいように、中に入れたフィルターの角を落として水を入れることができるようにしておきます。上には小さく切ったフィルター片を乗せて、卵が落下しないようにしておきます。

トゲナナフシの卵

トゲナナフシの孵化(ふか)にびっくり!

卵の保管がうまくいったのかトゲナナフシが孵化(ふか)してきました!やった!

ナナフシの仲間全般に言えることですが、卵から出てきた幼虫がかなり大きいのです。どうやって卵に収まっているのか不思議でなりません。

トゲナナフシの孵化(ふか)の写真

トゲナナフシ
トゲナナフシの孵化(ふか)

ナナフシが小さい頃の飼育の様子

小さい頃はプリンカップなどの容器で飼育できます。中にはティッシュを濡らして入れたものと、そこにレモンリーフなどの食べ物を差しておきます。こうすることで、水分をよく取るトゲナナフシはいつでも水をのむことができますし、葉っぱも長持ちします。

水飲み場の作り方

1:小さなプラスチック製のミニカップが役に立ちます。100均でマヨネーズケースやミニカップの名勝で売られています。
2:本来はこんな感じでフタができて便利なミニカップです。
3:出っ張り部分が水をのむのに邪魔になると思ったのでハサミでカットします。
4:ティッシュをつめて水分を含ませます。
5:水をそのまま入れると、昆虫が溺れる可能性があるのでティッシュなどを濡らすのが良いです。濡らしたティッシュをそのまま入れてもよいのですが、ケース内をびしょびしょにしてしまうと昆虫が溺れる可能性があるのでこのような形にしています。ナナフシの幼虫などはちょっとした水滴でも表面張力で抜けられなくなることがあるのです。
6:ここに食草を差しておくと、エサも長持ちします。それと、なんだか可愛いです。

トゲナナフシの1齢幼虫

1齢幼虫はまだトゲらしいものははっきりとはわかりません。ナナフシモドキやエダナナフシの幼虫と比べると、この頃から少しずんぐりとしています。

トゲナナフシの2齢幼虫

一度脱皮をして2齢幼虫になりました!ちょっと大きくなって、頭身のバランスもスタイリッシュに変わってきました。

トゲナナフシの3齢幼虫

さらにちょっと大きくなりました!ちょっと背中もでこぼこしてきた印象ですね。

トゲナナフシの4齢幼虫

また大きくなって背中もトゲトゲっぽい雰囲気が出てきました!

トゲナナフシの5齢幼虫

大きくもなっているのですが、背中のトゲがトゲらしくなってきました!

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

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たくさんの人にそれを知ってもらうことで、人も昆虫もよりよい未来を築いていけたらと思ってこのサイト「ムシミル」を運営しています。

カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
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