春の訪れを伝え、幸せを運んでくる「てんとう虫」ってどんな虫?

テントウムシ

テントウムシが嫌いな人はあまり見たことがありません。大人から子供までテントウムシを好きな人は多いですね!
でも、テントウムシがどんな虫か知ってますか?
みなさんはどのようイメージを持っているでしょう。

  • 赤い色
  • 幸せを運ぶ
  • かわいい

他にも色々あると思います!そして、みなさんが思い描く以上の面白さがテントウムシの世界には溢れています。ここでは、テントウムシが一体どんな昆虫なのかをまとめていきます。

テントウムシとは?

昆虫の分類でコウチュウ目(甲虫)テントウムシ科の昆虫を指します。
コウチュウ(甲虫)の仲間には、カブトムシ、カミキリムシ、タマムシやゾウムシなどよく知られている昆虫がたくさん含まれているグループです。
テントウムシには、小さくて丸いイメージがあると思いますが、実際にまんまるな玉をまっぷたつにしたような形をしているものが多いです。触角や脚は短く、じっとしていると体の下に全部隠せてしまいます。
日本では180種類ほどが確認されており、世界では約6000種とも言われています。

テントウムシの名前

テントウムシは日本でも「てんとう虫」と書かれたりしますが、漢字や学名からもテントウムシについて知ることができます。

漢字で書くと 「天道虫」

「天道虫」の漢字の由来は、太陽神のことを指しています。太陽のことを「お天道さま」って言いますよね!
なぜ太陽なのかというと、テントウムシは高いところに登っていって、てっぺんまで登ると飛び立つ習性があるので、その姿が太陽に向かって飛んでいくように見えるからなのです。

英語では 「ladybug(レディバグ)、ladybird(レディバード)、lady beetle(レディビートル)」

テントウムシを英語で呼ぶときにはいくつか合って「ladybug、ladybird、lady beetle」などと呼ばれます。
日本で英語で呼ぶ時は「ladybug(レディバグ)」がよく使われています。
共通するのは「lady(レディ)」の部分!
レディという言葉の意味は貴婦人や淑女のことですね!それだけでも、英語圏ではテントウムシに好感を持っているのがわかります。レディファーストの文化ですよね!
ただ、レディに関しては説も色々とあって「聖母マリア」を表しているという話が一番よく言われるものです。
聖母マリアの化身であったり、聖母マリアの使いだと言われることもあるので、神聖さと愛のイメージが強く込められています。

学名:テントウムシ科「Coccinellidae」

テントウムシ科の学名は「Coccinellidae」です。学名はラテン語でつけられます。
ラテン語で「Coccineus」は赤色のこと。「Lid」はフタのこと。この2つを組み合わせてできています。
ですから、「赤いフタみたいな昆虫」という意味が込められているんですね!

色々なテントウムシの種類

テントウムシの形態

全体

テントウムシは大体真ん丸な半球形をしていて、じっとしていても高さのある印象です。たまに楕円形のものもいます。
触角や脚は短く、休んでいるときや防御姿勢を取ったときには、羽や頭の下に全部隠れてしまいます。

ホシと呼ばれる紋

テントウムシの多くは紋の模様で区別されることが多く、星(ホシ)と呼んでいます。
10個の星があるテントウムシだと「トホシテントウ(十星)」みたいなイメージですね!

ホシが無い種類のテントウムシ(キイロテントウなど)もいますし、同じ種類でも模様の変化の大きい種類(ナミテントウやダンダラテントウなど)もいます。

オスとメスの見分け方

テントウムシの多くに共通するのは、メスのほうがオスよりも大きいということです。しかし、個体差もあるので絶対というわけでもありません。
お尻の先で見分ける方法もあります。
代表的なナナホシテントウで見てみましょう!

ナナホシテントウのオスとメス

ナナホシテントウのオスとメス
左が♂で、右が♀。メスのほうが大きい。

お尻の先を見てみると、オスの方は少しくぼみがありますが、メスではくぼみがありません。

ナナホシテントウのオス

ナナホシテントウのオス
オス

ナナホシテントウのメス

ナナホシテントウのメス
メス

テントウムシの生態

テントウムシの知られている生体の一部を紹介。

テントウムシの食べ物

テントウムシは種類によって食べるものが大きくことなります。肉食性、草食性、菌食性などがいます。

肉食性

代表的なのはナナホシテントウなどで、アブラムシを食べる肉食の昆虫です。他にはカイガラムシを食べるテントウムシもいます。可愛いイメージのあるテントウムシですが実は肉食のものが多いのです。

草食性

代表的なものでニジュウヤホシテントウなどがおり、ナスの葉っぱや実の部分を食べる草食のテントウムシです。

菌食性

小型のテントウムシに多いのですが、キイロテントウなどはウドンコ病菌を専門に食べます。

完全変態

昆虫の変態様式には「完全変態」と「不完全変態」とがあり、テントウムシは完全変態の昆虫です。幼虫の時期は成虫とは似ても似つかない姿をしており蛹(サナギ)の期間を経て、私たちが知っているようなテントウムシの姿へと変貌します。
一度、蛹(サナギ)になることで幼虫と成虫の姿が大きく変わるのが特徴です。同じように完全変態する昆虫には、カブトムシやチョウ、ハチの仲間などがいます。

カップルとボディーシェイキング

テントウムシは有性生殖ですので、オスとメスが出会って卵を産みます。
オスがメスの上に乗るような形で生殖器を合わせ、オスが体を左右に降ってダンスをするような行動がよく観察されます。(ナミテントウやクサキリテントウなど)
この行動は「ボディーシェイキング」と呼ばれ、精子の受け渡しに必要な行動のようです。この行動を意図的に止めた場合の卵は孵化(ふか)しないという実験結果もあるようです。
この行動をサンバに例えた「てんとう虫のサンバ」という有名な曲もあります。

寿命と世代交代

テントウムシの寿命はどれほどのものでしょうか?
もちろん種類によってかわってきますが、代表的なナナホシテントウを見てみましょう。ナナホシテントウは成長も早く、卵を産んでから20日ほどで成虫になります。
春に成虫になったナナホシテントウは約2ヶ月ほど生きますので、合計約3ヶ月くらいです。
しかし、秋に成虫になったナナホシテントウは越冬をして、春になると活動を再開しますので寿命が長くなります!

夏眠(かみん)、休眠

ナナホシテントウなどのアブラムシを食べる肉食性のテントウムシがいます。しかし、夏の暑い時期にはエサとなるアブラムシの数がぐっと少なくなります。そんな時期を過ごすために、夏の間は木陰でのんびりと休んでエネルギーを使わないようにしているんですね。その状態のことを夏眠(かみん)と呼びます。

集団越冬

テントウムシの仲間は成虫で冬を越すものが多く知られます。木の割れ目や、家屋の隙間、石の下、草むらなど寒さをしのげそうな場所で集まって冬を越します。
ナナホシテントウやナミテントウが同じ種類で集まって越冬するのがよく観察されます。

警戒色と黄色い汁

ナナホシテントウなどテントウムシの一部には身を守るために黄色い汁を出すものがいます。脚の関節の辺りから出されたこの汁は嫌な臭いと苦味があるために鳥などの捕食者から敬遠されます。
ですから、目立たなくするのではなく目立つ色と模様を持つことで捕食者に対してまずいとアピールしているのですね。

ナナホシテントウ 黄色い汁
ナナホシテントウの関節のあたりから黄色い汁が出てくる。独特な苦そうな臭いがする。

擬死(ぎし)

テントウムシの仲間には擬死(ぎし)と呼ばれる行動をとるものがいます。
ようは「死んだふり」です。
危険を感じると脚を、内側に折り畳み、死んだように転がります。しばらくすると動き出します。
死んだふりをしても、さらに追い討ちをかけられたときには、苦い汁を出して身を守ります。

ナナホシテントウで見るテントウムシの成長過程

卵(たまご)

ある程度まとまって20~30個くらいのオレンジ色の小さな卵を生きている間に何度か産みます。
ちょっと縦長の形をしています。

孵化(ふか)

まとまって産卵されるので孵化のタイミングは同じくらいに始まります。

幼虫(ようちゅう)

生まれたばかりの幼虫は「1齢幼虫(いちれいようちゅう)」と呼ばれ黒くて模様もまだはっきりしません。
脱皮をして「2齢幼虫」「3齢幼虫」「4齢幼虫(終齢幼虫)」と大きくなっていき、模様もはっきりと出てきます。
※終齢幼虫とはサナギになる前段階の幼虫のことです。

脱皮(だっぴ)

昆虫は大きくなるために脱皮をします。これは、古くなった表皮をまとめて脱ぎ去っているのです。テントウムシも同様なのですが、昆虫はクチクラ層からなる外骨格で形成されていて、成長とともに中身が大きくなっても、外見はあまり大きくなれません。ですから、成長に伴い古い皮を脱ぎ捨てることで大きくなっていくのです。テントウムシは成長の早いものも多いですから、いっぱい餌を食べてどんどん大きくなって脱皮します。

前蛹(ぜんよう)

蛹(さなぎ)になる前には一日くらい餌を食べない期間があって、そのうちにじっと動かなくなります。何も知らないと餌を食べなくなって動かなくなるので死んでしまったのかと思います。
しかし、それは蛹になる準備をしているだけで「前蛹(ぜんよう)」と呼ばれる状態です。その状態ではお尻を壁などにピタッとくっつけているので、よく見てみましょう。しばらく放っておくと蛹になっていますよ!

ナナホシテントウの前蛹
ナナホシテントウの前蛹

蛹化(ようか)

終齢幼虫が脱皮をして蛹(サナギ)の形状になることを蛹化(ようか)と言います。ナナホシテントウの場合、前蛹の状態から1~2日くらいで脱皮をして蛹になります。

蛹(さなぎ)

この時期に体を大きく作り変えて、蛹の中で成虫の形を作っていきます。幼虫のときは丸っこい印象なんてなかったのですが、蛹の状態では丸っこくなることを想定しているような形をしているので不思議なものです。

ナナホシテントウのサナギ
ナナホシテントウのサナギ

羽化(うか)

蛹の中で羽のある成虫の体が出来上がると、最後の脱皮をして出てきます。これを羽化(うか)と言います。
サナギになってから6日ほどで大人のナナホシテントウが出てくることでしょう。明け方や夕方に羽化することが多いです。

成虫から産卵

成虫になるとオスとメスが出会って産卵します。
オスが上に乗って、体を左右に振る姿はまるでダンスをしているみたいです。

ナナホシテントウのカップル
ナナホシテントウのカップル

ナナホシテントウのページはこちら

テントウムシの豆知識

幸せを運ぶテントウムシ

日本でも可愛がられるテントウムシですが、海外でも人気の高い昆虫です。
そして、テントウムシには「幸せ」に関係するような言い伝えやジンクスが多く存在します。

  • テントウムシが体に止まると幸せになれる
  • テントウムシが手に止まると結婚が早くなる
  • 夫婦に子供を授けてくれる
  • テントウムシが手に止まると一年以内に結婚する
  • 男女で一緒にテントウムシを見つけると両想いになれる
  • 病気のときにテントウムシが止まると、病を持っていってくれる
  • 悩みをどこかに持っていってくれる
  • テントウムシが家の中にいたらホシの数だけお金がやってくる

縁起の良い話ばかりですね!
この縁起の良さから、テントウムシモチーフのものを身につけることも幸せを呼び寄せると言われているので、結婚式などでのモチーフとしてもよく使われています!

害虫のテントウムシ

テントウムシの中には草食性で畑の作物を食害する種類がいます。
オオニジュウヤホシテントウなどのマダラテントウの仲間が日本では害虫として扱われています
益虫ののテントウムシと間違えたみたいな意味合いかと思いますが「テントウムシダマシ」という呼び方もされるようです。しかし「テントウムシダマシ科」が別に存在しているのでややこしいですね。

益虫のテントウムシ

テントウムシの仲間には肉食性で、農作物につく害虫であるアブラムシやカイガラムシなどを食べてくれtる種類のものがいます。害虫を食べてくれるテントウムシは益虫になります。他にも葉っぱの病気である「うどんこ病菌」を食べてくれる菌食性のキイロテントウなども益虫です。
ナナホシテントウやナミテントウは作物につくアブラムシを食べてくれるので益虫になります。

テントウムシに似ている昆虫

テントウムシはまずいということで鳥などから敬遠されているために、テントウムシのマネをして身を守っている昆虫がいます。ハムシ科の「クロボシツツハムシ」などはナナホシテントウに雰囲気が似ています。

日本最大のテントウムシ

日本で最大といわれているのは「オオテントウ」です!
その体長は大きいものだと約13mmで1センチを超えてきます。身近なナナホシテントウは大きいもので9mmくらいなので、その大きさがわかると思います。
実は最大級で同じくらい大きいテントウムシに「ハラグロオオテントウ」や「カメノコテントウ」などもいます。どちらも大きいものでは12mmほどのサイズになります。

世界で一番可愛いテントウムシ

アミダテントウ

私の主観によるものですが、とても可愛い顔をしているのです。トリコロールの学名がつくようにそのカラーリングも他のテントウムシにない魅力があります。私の中では世界で一番可愛いテントウムシに認定しています!

テントウムシの飼い方

テントウムシは種類によって食べ物が違います。餌の手に入れやすさで飼育の難易度が変わってきます。

食べ物、餌(エサ)

大きくは肉食性のものと、草食性のものにわけられます。

肉食性(ナミテントウやナナホシテントウなど)

ナナホシテントウなどはアブラムシを取ってこなくてはなりません。アブラムシは小さい昆虫ですが、集団で植物についていることが多いです。
ついている植物を少し大きめに切り取って飼育ケースに入れてあげると良いでしょう。
アブラムシは刺激を与えると、ポロポロと落ちていってしまうので注意が必要です。

草食性(ニジュウヤホシテントウやジュウニマダラテントウなど)

食草が準備できれば飼育しやすいです。ニジュウヤホシテントウでは畑のナスなどで見つけられるので、小さな畑でも持っていると餌に困ることはありません。
農家さんの畑から勝手に持ってくるのはいけないので注意しましょう。
プランターで食草となる植物を育ててみると、農薬などの心配もなくておすすめですね!

飼育ケース

市販されているケースには穴が空いているものが多いので気を付けなければなりません。
テントウムシが出てしまうサイズの穴は逃げ出す可能性がありますし、ナナホシテントウなどの肉食昆虫を飼育する場合にはエサになるアブラムシが逃げ出してしまいます。
となると、穴の空いてないものが理想的です。

簡単な小さなケース

あまり密閉されるものはよくありませんが、プリンケースやガラスケースの小さいもので充分です。
ラップでくるんで輪ゴムで止めるのが簡単で、観察もしやすいと思います。
空気穴はアブラムシよりも小さいくらいのもので充分なので、開けすぎないようにしましょう。
湿度が高くなるところに注意が必要です。

ナナホシテントウ飼育
ナナホシテントウ飼育の簡易ケース

普通の飼育ケースを使ってみる

穴の多い飼育ケースでもちょっと工夫をすれば使うことができます。
身近なものだとキッチンペーパーなどをケースとフタの間に挟んでしまうのです。
余計な湿度を適度に保つのにも効果的だったりします。
湿度など考えるとキッチンペーパーが良いと思っていますが、ラップなどをまいても大丈夫です。透明で観察もしやすいです。

ナナホシテントウ飼育
普通の飼育ケースだがアブラムシが逃げないようにケースとフタの間にキッチンペーパーをはさんでいる。

テントウムシの見つけ方

探す時期は春先の天気の良い日が狙い目です。
赤い色をしているものも多いので動き回っていると植物の中でも見つけやすいです。
アブラムシが多くつくようなところを探すのが良いですが、春先ですと草の茂ったところにはカラスノエンドウが生えているところがたくさん見られます。
そんなところを探してみると、テントウムシの成虫や幼虫がたくさん見つかると思いますよ!

まとめ

テントウムシのこと色々知っていただけましたか?可愛くて縁起の良い昆虫というだけでなく、農業などで益虫や害虫などの関係で人との関わりもとても深い昆虫なのです。見かけることがあったらぜひ観察してみて下さいね!

他のテントウムシはこちら!