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オニヤンマってどんなトンボ?
オニヤンマといえば日本で一番大きなトンボで、トンボ好きの子供にはたまらなく憧れの昆虫です。テレビの「香川照之の昆虫すごいぜ!」でも特集されていましたね!
滋賀に実家があるのですが、小さい頃は家の中に飛び込んでくることもあったんですね。
羽音も大きいので、何が飛び込んできたのかとびっくりもするのですが、捕まえてみるとその大きさと力強さにも驚く昆虫です。
オニヤンマの「鬼(オニ)」の由来とは?
名前に鬼(オニ)の字を当てられたトンボ。
その由来は顔が怖いからだとも言われていますが、鬼(オニ)が身につける虎柄から連想されて名付けられたとも言われています。
「大きい」の意味合いも多少はあるのではないかと思いますが、他の大きい昆虫にあまり「オニ」とつけられてはいないので、きっと違うのでしょうね。
オニヤンマ科
昆虫の分類の中にトンボ目があります。その中にオニヤンマ科は含まれていてオニヤンマはその中の一種になります。
ヤンマと名前につく昆虫では「ギンヤンマ」などもいますが、それらはヤンマ科の昆虫でオニヤンマとは分類が違います。
オニヤンマの特徴
日本最大のトンボ
日本最大のトンボで「オニヤンマ科」のトンボです。
メスの体長は「98〜114mm」と10センチを超える大きさで、サイズに比例して羽ばたく力もとても強いです。
子供だとしっかり羽を持たずに、胸などを掴んでいると逃げられてしまうかもしれません。
美しいグリーンの複眼
オニヤンマの複眼はとても美しいグリーンカラーをしています。
死ぬと黒くなってしまうこの色は生きているときだけに見られるものなのですね。
ヤンマ科との違い
トンボの科では「ヤンマ科」と「オニヤンマ科」は分かれています。
名前も似ているのでちょっと紛らわしいですね。
ヤンマ科のトンボとの違いは、複眼の接している部分に大きく現れています。
オニヤンマ科では左右の複眼が1点だけで接するのですが、ヤンマ科のトンボは左右の複眼がしっかりと接しているのです。
コオニヤンマとオニヤンマの違い
コオニヤンマというトンボがいるのですが、サナエトンボ科のトンボで違う種類になります。
配色が黒地に黄色と似ている点はあるのですが、コオニヤンマはサナエトンボ科のトンボの特徴で、複眼がしっかりと離れています。正面から見ると全然似ていません。オニヤンマの小さいバージョンというわけではないのです。
生態
スピードも早く、高い飛翔能力「ホバリング」
飛ぶ速さは、時速は70キロと言われ、高速で飛翔から急旋回までできる上にホバリングと呼ばれる空中静止までできるのだから本当にすごいんです!
食べ物、餌(エサ)は?
成虫のオニヤンマ
他の昆虫を捕らえて食べます。高い飛翔能力を持っているので、飛んでいるハエやアブ、ハチ、ガなどを空中で捕えます。
ヤゴから羽化したオニヤンマの餌(エサ)に困ったことがありますが、ペットショップなどで販売されているミルワームなどを直接口に運んでいくとたくさん食べました。
オニヤンマのヤゴ(幼虫)
オニヤンマのヤゴは水中に生息し、孵化したての時にはミジンコやボウフラなどを捕食しますが、大きくなるとメダカやオタマジャクシを捕まえて食べるようになります。
肉食で、飼育下ではアカムシやミミズなどを食べますが、大きくなったヤゴは水面に落ちた他の昆虫を捕食する姿も観察しました。
オニヤンマに「天敵」はいるのか?
他の昆虫を捕えるオニヤンマですが、それでも昆虫を食べる動物からは狙われてしまいます。
鳥やコウモリなどが代表的で、昆虫の中では弱肉強食の強者でも、もっと大きな動物には敵わないのですね。
扇風機を見つけると動きが止まる?捕まえ方の参考にも
これはオニヤンマの習性に由来するものです。
オニヤンマのオスはメスを見つけると数秒間動きを止めてホバリングをして狙いを定めます。そこから一気に飛びかかって連結するのです。その後はしばらく飛び回ってから樹上などで静止してオスとメスがつながります。
扇風機をオニヤンマのオスの前に持っていった場合、オスはそのくるくる回る羽の動きをメスと勘違いしてしまうのです。
オスは羽ばたくものを全てメスとみなすので、他のオスを見つけても飛びかかっていきます。
ですから、扇風機を見つけると動きが止まるというのは本当なのですね!
指をくるくる回しながら近づくとトンボを捕まえやすい、というものはこの習性からきているもので根拠のある話なんですよ。
(実際に指を回しながら捕まえるのは難しいですが・・・。)
成長
ヤゴ(オニヤンマの幼虫)
トンボの幼虫は総じて「ヤゴ」と呼ばれます。
水中で生活し、他の生き物を捕食して成長していきます。
顔の下部分にたたまれたアゴを伸ばして捕食します。そのスピードは一瞬のことでびっくりします。
成虫も大きいオニヤンマのヤゴは、なかなか立派な大きさまで成長します。
卵から孵化(ふか)すると、数年かけて10数回の脱皮を繰り返しながら大きくなっていきます。
羽化直前のヤゴ
羽化直前になってくると、羽の部分が少し伸びてピンと張ったような雰囲気になってきます。
微妙な差ではありますが、羽化のタイミングを判断する一つのポイントです。
羽化してからの観察
羽化する瞬間は逃しましたが、驚いたことがあります。
特徴的なグリーンの複眼かと思っていたら、銅色の複眼をしているので違う種類かと思いました。
時間の経過で成熟すると、色が変わってくるのかと思って、しばらく観察してみました。
羽化した初日
7日目
12日目
16日目
豪快な産卵にびっくり
メスの産卵は空中でホバリングをしながら、お尻を水面に叩きつけるように産卵します。
その勢いで水底の砂の中に産卵するんですね。
体の大きさだけでなく長大な産卵弁を持っているので「ドッ」「ドッ」という音が聞こえるほど豪快な産卵です。
なんだか音が聞こえるなぁ、と思ってあたりを見渡すとオニヤンマが産卵していてびっくりした経験があります。
オニヤンマの寿命
オニヤンマの成虫は数ヶ月の命であるが、幼虫期間がとても長いんです。
幼虫の時期を3~4年過ごすと言われていて、冬の時期も幼虫の姿で越冬しています。
大きく育つのには時間がかかるんですね!
分布や生息環境
国内では全国的に見られる昆虫で、平地から山地の水のきれいな小川や渓流などに生息しています。
大きな湖や河川ではなく小規模な水の環境を好むようです。
石垣島と西表島に生息するものは「ヒロオビオニヤンマ」と呼ばれ別種の扱いになります。
見られる時期
7月や8月に多く見られますが、6月上旬から10月頃まで見ることができます。