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【マクロレンズの昆虫写真レビュー】Nikon(ニコン) AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED フルサイズ対応

著者紹介

2003年頃からカメラに出会って昆虫ばかり追いかけてきた昆虫写真家「村松佳優」が、自分で使っているマクロレンズのことについて書きました。マクロレンズを使って撮影された多くの作品がこちらのサイトに掲載されています。

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ニコンユーザーにこの105mmマクロレンズはとにかくオススメ!

自分で使ってるからわかるのですが、めちゃくちゃ使いやすいレンズです。使いやすいということはよい作品が生まれやすいってことです。絶対損しないのでニコンユーザーなら持っておきたいレンズですね。
私の愛用レンズでもあります。

記事の最後には作例も豊富に紹介しています

Nikon105mmマクロレンズ(マイクロレンズ)のおすすめポイントと実際の使用感を項目ごとに解説!

最初に、マイクロレンズはマクロレンズとは違うのか?

nikon105mm
AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

この105mmのレンズには「Micro-Nikkor(マイクロニッコール)」の表記が入っています。
実はこの部分にはニコンのこだわりが入っています!

各社「マクロレンズ(Macro lens)」を発表する中で、ニコンは「マイクロレンズ(Micro lens)」の名前で発表しています。マクロレンズとマイクロレンズにはどのように違いがあるのでしょうか?

答えは「特に違いはない」です。

これは「マクロレンズとは顕微鏡写真のように、もっともっと拡大した世界を撮影できるレンズのことだから」。とのニコンのこだわりから「マイクロレンズ」という名称を採用したそうです。
マクロレンズが欲しくなって初めて調べる人にはややこしいかもしれませんが、基本的な用途や性能は他社のマクロレンズもニコンのマイクロレンズも変わりませんので安心してください。
(※この記事では一般的に普及している「マクロレンズ」の表記を使って書いていきます)

単焦点レンズは何が良いのか?

ニコンの105mmマクロは単焦点レンズと呼ばれます。

AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

レンズには焦点距離(~mm)がありますが、このニコンのマクロレンズは105mmの単焦点レンズになります。
ズームができるレンズでは(70mm-200mm)のように焦点距離にズームのできる幅が書かれているのですが、名称からもわかるとおり105mmの単焦点レンズではズームができません。
しかし、ズームレンズはどの焦点距離でも一定の画質を確保できる設計にしなければならないのに対して、単焦点レンズはその焦点距離に最適なレンズ設計をすることができます。
つまりは、単焦点レンズは画質がきれいなのです!
その最高の画質を活かして、マクロでの昆虫撮影からポートレートまで綺麗に撮影して楽しみたいですね!

最短撮影距離「0.314m」の距離感

レンズには最短撮影距離というものがあります。
どんなレンズでも、近づきすぎるとピントが合わなくなってしまいます。マクロに対応していないレンズでは、近づいいて撮影できる距離に限界がありますが、マクロレンズは近づいてもピントが合うことが魅力のレンズなのです!

例えばですが、ニコンから出ている同じ焦点距離105mmでメーカー希望小売価格が20万を超えるレンズの「AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED」ですが、最短撮影距離は「1.0m」です。それに比べてニコンの105mmマクロは最短撮影距離「0.314m」で約30センチメートルの距離まで近づいてもピントが合います!

近づけるということは大きく写せる!小さいものを大きく写すために最適なレンズなんですね。そして、この105mmマクロの約30cmの最短撮影距離はとても撮影のしやすい距離感なのです。
被写体が昆虫の場合だと、離れすぎると見失いやすくなったり、遠くから大きく写そうと思うと焦点距離の長い大きくて重いレンズが必要になってきます。
レンズ前数センチまで寄れるものもありますが、近づきすぎると被写体に逃げられる可能性も高くなりますし、近づかないと大きく写らないので茂みや柵などに邪魔をされることもあります。場合によっては近づきすぎることで自身やレンズが影として写ってしまって邪魔になることもあります。

その点、この105mmマクロの約30センチの最短撮影距離の距離感は、使えばとてもバランスの良い距離感であることがわかります。実際には30cmまで近づくのは等倍撮影の時だけなので、もうちょっと離れた距離から大きく写すのがメインになってきます。
そして、手持ちで撮影をすることを考えた時に、レンズの大きさや重さのバランスが取れているのがこの105mmレンズなのです!(もうちょっと軽いともっとよいけど)

距離基準マーク

最短撮影距離
最短撮影距離とはこの「丸に横棒の入ったマーク(距離基準マーク)」から被写体によってピントの合う一番短い距離を指します。この位置にイメージセンサー(撮像素子)がカメラに組み込まれています。レンズ先端から被写体までの距離は「ワーキングディスタンス」と呼ばれています。最短撮影距離が長くなればワーキングディスタンスも長くなっていきます(レンズ自体の長さにもよってきます)。

手振れ補正(VR)は必要か?

nikon105mm
手ぶれ補正の切り替えスイッチ

Nikonの手ぶれ補正は「VR機構(Vibration Reduction)」と呼ばれています。

このレンズにはVR機構(手ぶれ補正)の機能がついていて、メーカーサイトを確認すると「約3.0段分」の手ブレ補正効果が期待できます。しかし注意事項で「3mより近距離になっていくと手ぶれ補正の効果が減少する」とも書かれているので、実際にはちょっとましになるくらいの気持ちで使ったほうが良いですね。

手ブレを抑える一つの基準として焦点距離分の1秒(1/焦点距離)のシャッタースピードが手ブレをしない一つの目安として一般的に言われていますが、中望遠の105mmくらいになると100分の一秒のシャッタースピードでは心もとないです。慣れるまでは倍の200分の一秒くらいが安全圏と思って撮影すると良いでしょうね。私が実際に使っている使用感では等倍近くの撮影時に100分の1秒だと、手ぶれ補正が効いた状態でもブレたりブレなかったりです。

マクロ撮影の場合は結構無理な体制で撮影することも多くブレやすい傾向があります。さらに、動きまわるの昆虫ではどのみち低いシャッタースピードでは被写体ブレを引き起こすこともあるので、ある程度シャッタースピードは確保して撮影には臨みたいものです。手ぶれ補正の安心感はありますが、まずはしっかりカメラをホールドすることと、自分の体を固定することが大切になってきますので、基本を大事に撮影していきたいですね!それでも、1枚でも多く良い作品が生まれる可能性を増やす。という点でも手ぶれ補正が効いてると安心感は増しますね。

フルサイズに対応したレンズ

この105mmマクロは、フルサイズのイメージセンサーに対応しているレンズです。ニコンから出されている「フルサイズ」と「APS-C」対応のカメラ本体どちらにも使用することが可能です。

フルサイズのカメラには高機能でプロが使うものも多く含まれています。そのカメラに対応するために開発されたレンズはニコンも気合が入っています。
実際の描写力も申し分なく、とても良い写真を取ることができますよ!
F値開放時の画質の劣化もそこまで気にするほどではないと思っています。絞れば問題もなくなるので、絞って撮影することの多いマクロレンズではあまり気になりません。

フルサイズとAPS-Sサイズの大きさの違い

フルサイズとAPS-C
左:フルサイズ 右:APS-Cのサイズの違い。フルサイズ対応レンズのほうが大きなイメージセンサーで撮影できるようにイメージサークルが大きく設計されている。

APS-Cサイズのボディではメリットあるの?

APS-Cサイズの本体で撮影したときにはどのくらい使えるレンズなのでしょう?
ニコンは実質的な焦点距離が35mm換算で1.5倍になりますので「157.5mm」程度の焦点距離換算で撮影することになります。
少し長くなって使いにくいような気もしますが実際はどうでしょう?

私が初めて買ったデジタル一眼レフはAPS-Cサイズのカメラでした。そのカメラにこのレンズの前のモデルの105mmマクロを使用して撮影していたんですね。
当時は標準レンズと、105mmマクロレンズの二本しか持っておらず、毎日そのレンズを使って撮影しまくっていた結果になるかもしれませんが、使いにくいと感じたことはなかったです。
(初めて使ったり、慣れてない方には撮影時に100mm前後になるレンズをおすすめしますが)

実は画質の良い部分だけ使っている

フルサイズ対応のレンズをAPS-Cサイズの本体で使用した時に実はメリットがあります!フルサイズのイメージサークルの真ん中だけ使っているということです。
レンズというのはその光学的な問題から画面の周辺(レンズの端の方)の画質が低下します。わかりやすいので言えば「周辺光量落ち」などは画質劣化の一例になります。
そのレンズの中心部分だけを使うというのは実は贅沢な話で、画質の良いところだけを使って撮影することができるのです。
以外にAPS-Cサイズのカメラを使ってもメリットはあるんですよ!

最大撮影倍率で等倍撮影が可能!

マクロレンズとしての魅力の一つは「等倍で撮影」ができることです。
等倍の定義は、35mmフィルム(デジタルだとフルサイズ)に同じ大きさ(等倍)で写し込むことができる。というのが等倍の定義になっています。
ですので、APS-Cサイズに取り付けたときにはその中心部分だけ切り抜いて使っているようなものなので実際には等倍を超えた1.5倍程度で撮影していることになります。
つまりは大きく写すことができる!ってことです。
レンズによって、等倍までいけないものもありますが、もっと大きく撮りたいと思うことはあっても、小さくしか撮れなくてよかったと思うことはありません。
ですから、本格的にマクロを楽しむためには等倍撮影はできたほうが絶対に良いのです。

円形絞り(絞り羽9枚)って何?

レンズには絞りという機構が組み込まれています。レンズを通ってくる光の量をコントロールする役割を持っています。
この絞りの形が画面に影響を与えることがあるのですが、一番影響が大きいのが「ぼけの形」になります。
特にキラキラした水面や木漏れ日のようなシーンでは絞り込んだときに、絞りの形がぼけの形として出てくるのです。
6枚の直線的な絞り羽根を使って、更に絞り込んだ場合は「ぼけが六角形」になる。ということです。
絞りを開けて撮影すれば問題ないのですが、それだけ撮影に制限がかかってしまうということでもあります。
もっと細かく言えば全体のボケ味にも影響が出ていると考えられます。
ですので、9枚の絞り羽根を使って絞り込んだときにも綺麗な円形の「ぼけ」が得られるように設計されているレンズは全体の画質の面や、撮影の自由さにおいて一歩先を行っているのです。

ぼけがカクカクしてても綺麗ではないのか?とう疑問もあるかと思いますが、そこは個人の好みの話になってきます。
しかし、昆虫を撮影するときには自然の中で撮影することが多く、自然の中では直線で構成されるものはそんなに多くないと思います。そんな写真の背景に、印象の強いカクカクした「ぼけ」が入っていると違和感になることがあります。それは被写体よりもぼけの方が目立ってしまうということです。
カクカクしたぼけも使いようではあるのですが、円形のボケならば被写体の邪魔をせずに画面に華を添えてくれるのです。

nikonlens
このレンズはマクロレンズではないですが、レンズの奥にカクカクしたところがあります。あれが絞り羽の部分になります。

ナノクリスタルコートって良いの??

レンズは見た感じは透明ですが、それでもすべての光を通しているわけではありません。
レンズに当たった光の何割かはイメージセンサーにまで届くことなく、レンズに当たって反射してしまうのです。
表面から反射するだけならまだしも、レンズは複雑な設計で何枚ものレンズを組み合わせて設計されています。
そんな複雑な設計のレンズ内部で光が反射して画質を低下させてしまうのです。
そんな画質を低下させる原因を作る反射を、効果的に防止する技術として開発されたのが「ナノクリスタルコート」です。

このコーティングが施されたレンズは「ゴースト」や「フレア」といった画質を低下させる現象を軽減するのにかなり役に立っています。

実際に使っていると当たり前になってしまうのですが、ほかのレンズを使った時に強く実感します。同じような条件で高いコントラストの描写ができていたのに、ナノクリスタルコートを採用していないレンズを使ったら全体的にフレアが出てコントラストが低下してしまった。などということは結構ありました。
それでもまったくゴーストやフレアが起きないというわけではないですが、格段に画質がアップしているのは間違いないです。しかし、極端な逆光などの悪条件では出てしまうので、フードを使ったり構図を工夫する必要はもちろんあります。

しかし、ゴーストやフレアも捉えようによってはレンズの味になるので、そんなのを楽しむ余裕も持っておきたいですね。
余談にはなりますが、フレアのようにふわっとさせたい時にはソフトフォーカスフィルターを使ったりしますが、昆虫の撮影では利用頻度は高くないです。

超音波モーターの静かな駆動

AF(オートフォーカス)はレンズの中にモーターが入っていて機械的に動かしています。ですのでモーターの音や場合によっては細かな振動が撮影の邪魔をします。
そんなことがないように静粛なAF駆動を可能にしてくれるのが「SWM(超音波モーター)」なのです。

といっても、マクロの昆虫撮影ではマニュアルフォーカスが基本になるので使うことはあまりないです。たまにポートレートや風景を切り取るときに気軽なスナップ感覚で使えるのは良いですけどね!

M/Aモードを搭載

nikon105mm
nikon105mm

オートフォーカスモードにしている時に、急なピントの切り替えをすることができるのが「M/Aモード」です。
このモードならオートフォーカスで撮影をしながら、ピントリングを回せば思った位置にピントを持ってくることができます。
これがオートフォーカスモードとマニュアルフォーカスモードしかない場合は、オートフォーカス中に急にピントを変えようと思っても一度レンズのスイッチを切り替えないとならなかったのです。

しかし、やはりマニュアルフォーカスをメインに使っているので滅多にお世話になることはありません。

旧モデル製品

このレンズの旧型の製品があります。「AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D」です。

旧型製品の価格を見てみる

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中古だと2~3万円くらいで手に入ります。

現行の製品より名前が短いので、なんとなく機能や使われている技術も少ないのかな?って感じですね。
しかし、このレンズは私が一眼レフを持ち始めた頃に使っていたものです。
新しくレンズが設計された時の大きな違いは「ナノクリスタルコート」「手振れ補正」「重量」かなと思います。

レンズが新しく設計されたときに

  • ナノクリスタルコートで画質をアップ!
  • 手振れ補正で使いやすさをアップ!
  • 重量がアップしてちょっと疲れる!

旧製品は上記の逆になるわけです。新製品になって画質は向上されましたが、重さもあがってしまったので、旧製品のよいところは軽いところでしょうか。
しかし、よく写るレンズであることに違いはないので、お試しくらいなら中古で買って使ってみてもよいかもしれませんね!

基本スペック AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED
焦点距離105mm
メーカー希望小売価格122,500円(税抜)
レンズ構成12群14枚(EDレンズ1枚、ナノクリスタルコート1面)
手ぶれ補正レンズシフト方式で約3.0段分
最大絞りf/2.8
最小絞りf/32
イメージサークルフルサイズ対応(FXフォーマット)
最大撮影倍率1/1 等倍
最短撮影距離0.314m
絞り羽根枚数9枚(円形絞り)
質量(約)約750g

メーカーサイト「AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED」
https://www.nikon-image.com/products/nikkor/fmount/af-s_vr_micro-nikkor_105mm_f28g_if-ed/

価格を見てみる

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新品では10万円を超えてくるレンズです。中古だと運がよいと6万ちょっとで見つかりますが、状態の良いものだと7万くらいから出品されています。

作例紹介

AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-EDで撮った写真

実際にこのレンズを使ったらどんな昆虫写真が撮れるのかを作例で紹介していきます。
撮影時にどんなことを意識して撮影していたのかなども合わせて紹介していきますね!

前ボケを活かしたベニシジミの写真

ベニシジミ
「ベニシジミ 1/400 f5.6」ツツジの花に来ていたベニシジミを撮影。ツツジが少しうるさくなってしまうので、手前のツツジを前ボケとして使ってその印象を軽減。ベニシジミのシャープさと前ボケのバランスを考えf5.6に設定し、被写体にボケがかかりすぎないように少しずつ調整しながら撮影。背景には緑が入るようにフレーミングも考えて構成した一枚。
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等倍撮影で羽の模様を大きく撮影したツマキチョウ

ツマキチョウ(lens105mm)
「ツマキチョウ 1/125 f8」最短撮影距離で撮影した蝶の羽。モンシロチョウよりも小柄なチョウだが、フルサイズのカメラに等倍のマクロレンズを利用すればここまで大きく撮影することができる。複雑な雲状模様が美しいが黒い模様の中に黄色い鱗粉が混じっているのがよくわかる。
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近づくのが至難の昆虫ハンミョウとの距離感

ハンミョウ(lens105mm)
「ハンミョウ 1/160 f5.6」APS-Cのカメラに取り付けて実質157.5mmで撮影。ハンミョウは金属光沢の美しい昆虫だが、人の気配にも敏感で近づいて撮影するのは難しい。そんな時に少し離れたところから適度な距離を持って撮影できるのが魅力的な105mmマクロレンズ。それでもここまで近づいて撮影するには根気もいるよ。
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強い光でコントラストの高い表現

カマキリの仲間
「台湾のカマキリ 1/4000 f5.6」赤い花の上で画面のコントラストも高く強い日差しが指していた。この強い印象を活かすために背景にも暗い部分を選び、カマキリの顔に光があたった状態で、その部分が目立つように背景の暗い部分とのバランスを考えて撮影。カマキリは表情豊かで撮影していても飽きることのない昆虫だ。
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柔らかなぼけと、被写体のシャープさで可愛らしさを出したアオバハゴロモ

アオバハゴロモ
「アオバハゴロモ 1/200 f8」アオバハゴロモが二匹向かい合っていたのが可愛かったので撮影。逆光で透けた羽と輪郭のハイライトが美しかった。背景を暗く落とせばその雰囲気も強調されて面白いが、ここでは全体の雰囲気を優先してすこし明るいボケが入るようにフレーミングしたものを紹介。しかし、二匹の眼にどちらもピントが来る位置で撮影したかったのである程度位置取りも制限されてしまう。それでも羽に入ったピンクのラインが背景の緑によく映えていて美しい写真になった。ピントを合わせた被写体のシャープさも105mmマクロの魅力。
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フレーミングと位置取りで落ち着いた画作りのクロボシツツハムシ

クロボシツツハムシ
「クロボシツツハムシ 1/125 f8」これはテントウムシに似ていますが、クロボシツツハムシというハムシ科の昆虫です。カップルだったのでどちらにもピントが来る位置に回り込んで撮影。葉っぱが風で揺れていたので1/125秒のシャッタースピードでは被写体ブレを起こしているものも多かったです。背景は葉っぱなどが映り込むと煩わしいと思ったので、すっきりとした構成になるようにしました。
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しっかりと目にピントを合わせ、被写体が印象が強まるように追いかけ続けたナナフシモドキの幼虫

ナナフシモドキ幼虫
「ナナフシモドキ幼虫 1/250 f8」桜の花を散歩するナナフシモドキの幼虫。脚が細く全体がボケやすいが、顔(目)にピントを合わせる基本は変わらない。桜のボケ感をくずさないように絞り込むのにf8で撮影。ナナフシモドキの幼虫の色がまだ薄いので、柔らかな印象の桜の背景ではあるが、その中でも若干濃くなるところがナナフシを重なるように追いかけた。動き回っているので、なかなか骨が折れる。
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背景のボケの大きさと、光の質をうまく使ったディティール表現のクロカタゾウムシ

クロカタゾウムシ
「クロカタゾウムシ 1/100 f8」世界で一番硬いと言われているゾウムシの仲間。日本では南西諸島に生息していて憧れの虫だった。黒いダンベルのような形をしているが、気をつけないと黒い塊に写ってしまう。少し曇った日差しのおかげで柔らかい光が差していたので、その光が当たる位置に来たゾウムシを撮影。黒い体を強調するにはいっそ白い背景が気持ち良いかと思って、光が強く抜けている部分をぼかしてゾウムシとのバランスを考えて撮影。葉っぱが赤かったのはたまたまだが、強すぎないアクセントになって画面に動きと方向性をもたせてくれているのでとても良い作品になった。背景は結構距離があるが、そんな位置のぼけも適度に引き寄せてくれるのが105mmの焦点距離だ。200mmとかだったら、本当に全体が白バックみたいになっていただろうし、50mmとかではここまで画面を整理できていなかっただろう。
「クロカタゾウムシ」のページはこちら

まとめ

ニコンの105mmマクロの楽しさは伝わったでしょうか?
どんなレンズも使い方次第で楽しく写真の撮影はできます。その中でも個人的にも使いやすくて安定した撮影のできるレンズです。虫さんを追いかけることに集中できるんですね!
良かったら検討してみてください!

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この記事を書いた人

村松佳優

昆虫写真家/講師/カメラマン/ムシミルの運営。

昆虫の面白い!魅力たっぷり!
たくさんの人にそれを知ってもらうことで、人も昆虫もよりよい未来を築いていけたらと思ってこのサイト「ムシミル」を運営しています。

カメラマンやイベント運営などに携わりながら、大学の講師やクリエイターの支援活動もし、次代の育成にも力を入れて活動しています!
詳細なプロフィールはこちらのページで御覧ください。
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