シジミチョウ科とは?
世界におよそ6,000種類ほどが生息している大きな分類で、小型のチョウが多いです。小さく可愛らしい雰囲気で、ヤマトシジミやベニシジミは都会でもよく見られるとても身近なチョウです。幼虫はワラジ型と呼ばれる独特な形状で、蛹(さなぎ)になると豆みたいな形になります。
シジミチョウの仲間の図鑑(写真ギャラリー)
Lycaenidae
※クリックすると各ページに飛べます。写真と詳しい説明があります。
シジミチョウの名前(漢字・英語)
漢字で「蜆蝶・小灰蝶」
シジミチョウは漢字で蜆蝶と書きますが、これは貝類の蜆(しじみ)のような羽を持っているというところから名付けられています。
台湾では「小灰蝶」という漢字が使われます。
英語で「Blue(ブルー)やCopper(カッパー)」
チョウのことを全般的に「butterfly(バタフライ)」と呼びますが、シジミチョウの仲間のことを英語でなんと呼ぶでしょう?
シジミチョウの仲間全般のことは調べても学名で読んでいることが多いようです。
family lycaenidaeでシジミチョウ科の仲間。みたいな使われ方です。
名前をつけないものかと、色々と見ていたのですが海外のチョウを紹介しているサイトではシジミチョウの名前には「Blue(ブルー)」「Copper(カッパー)」がついていることがわかりました。
種類によって「small Blue」のように「~~Blue」といった呼び方をしているようです。
ベニシジミの仲間では「Large Copper」や「Small Copper」と呼ばれていました。
シジミチョウの分類や種類
シジミチョウの仲間は日本では約80種類ほどが生息していて、世界では6,000種ほどが知られる大きなグループです。
そのシジミチョウの仲間もいくつかのグループに分けられていて「亜科」と呼びますが、全体で8のグループ、日本では5つのグループが見られます。
日本で見られる「亜科」
- ミドリシジミ亜科(ムラサキシジミ、ミズイロオナガシジミ、アカシジミ、ミドリシジミなど)
- ヒメシジミ亜科(ヤマトシジミ、ルリシジミ、クロシジミ、ウラナミシジミなど)
- ベニシジミ亜科(ベニシジミのみ)
- アシナガシジミ(カニアシシジミ)亜科(ゴイシジミ)
- ウラギンシジミ亜科(ウラギンシジミのみ)
日本で見られない「亜科」
- コケシジミ亜科
- ホウセキシジミ(キララシジミ)亜科
- アリノスシジミ亜科
ほとんどの種類はミドリシジミ亜科かヒメシジミ亜科に分類されています。
ゼフィルスの仲間
ミドリシジミの仲間の中でも、森林性・樹上性が強い種類です。
オスは木の枝の先で縄張りを張って他のオスを追い払ったりもします。
日本では25種が知られていますが、ミドリシジミの仲間の中でも大部分を占めています。
ゼフィルスとはギリシャ神話の西風の神ゼピュロスが語源になっています。
シジミチョウの幼虫(イモムシ)
基本はワラジ型をしたイモムシが多いですが、毛虫のようなタイプも見られます。
チョウ類の中でも小型のタイプなので、幼虫も生まれたてはやはり小さいですが、アゲハのイモムシと比べてもかなり小さいので生まれたてのものを野外で見つけるのは難しいです。食痕などを頼りに目を凝らさないといけません。
食べ物や餌(エサ)
種類によって食べるものも違いますが、基本は植物の柔らかい部分を好んで食べています。
珍しい種類ではアブラムシを食べる肉食性の「ゴイシジミ」がいます。
共生や寄生
クロシジミはクロオオアリの巣の中で育てられることが知られています。
クロオオアリに餌を貰う代わりに、クロオオアリの好むミツを出すことで共生関係が成立しています。
ゴマシジミはクシケアリに育てられることが知られていますが、クシケアリの好むミツを分泌する代わりにアリの幼虫や蛹を食べてしまいます。
シジミチョウの蛹(サナギ)
シジミチョウの蛹は「帯蛹型」と呼ばれる形です。
葉っぱなどに一本の糸の帯で体を固定する形だからです。
アゲハチョウなどの蛹のように尖った部分の無いマメ状の形をした蛹になります。
シジミチョウの飼育
ベニシジミ(シジミチョウ科)の飼育と観察~幼虫も紅色をしているの?~
産卵したところを見つけて、卵から飼育観察をした記録を載せています。
ヤマトシジミの幼虫の飼育と観察!
ベランダで見つけたヤマトシジミと思われるイモムシを見つけたので飼育観察しています。
シジミチョウの越冬
種類によって冬を越す時の状態は違うのですが、何種類か成虫で越冬するものも知られています。
- ムラサキシジミ
- ムラサキツバメ
- ウラギンシジミ
などです。
シジミチョウの絶滅危惧種
シジミチョウの仲間の絶滅危惧種を調べてみたところ、各種の亜種や情報不足などを含めて「36種類」ものシジミチョウが危険にさらされていることがわかりました(レッドデータブック2014)。
絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)
絶滅危惧種に指定されている中でも危険度の高い「絶滅危惧ⅠA類(CR)」「絶滅危惧ⅠB類(EN)」だけで調べても次のような種類がいます。
- オガサワラシジミ
- アサマシジミ北海道亜種
- ゴマシジミ関東・中部亜種
- ツシマウラボシシジミ
- ゴイシツバメシジミ
- オオルリシジミ本州亜種
- カシワアカシジミ(キタアカシジミ)冠高原亜種
- タイワンツバメシジミ南西諸島亜種
- ウスイロオナガシジミ九州亜種
- ミヤマシジミ
- タイワンツバメシジミ本土亜種
- アサマシジミ中部低地帯亜種
- クロシジミ
- シルビアシジミ
- ゴマシジミ中国・九州亜種
- オオルリシジミ九州亜種