タテハチョウ科とは?
世界におよそ6,000種類ほどが生息していて、中型~大型のチョウが多いです。「渡り」をすることで有名なアサギマダラなどのマダラチョウの仲間や、蛇の目(じゃのめ)模様が特徴的なジャノメチョウの仲間などバリエーションにも富んでいます。日本の国蝶であるオオムラサキもタテハチョウの仲間です。
タテハチョウの仲間の図鑑(写真ギャラリー)
Nymphalidae
※クリックすると各ページに飛べます。写真と詳しい説明があります。
マダラチョウの仲間
ヒョウモンチョウ(ドクチョウ)の仲間
イチモンジチョウの仲間
ジャノメチョウの仲間
タテハチョウの名前の由来(漢字・英語)
漢字で「立羽蝶」
タテハチョウは漢字で立羽蝶と書きますが、これは花に止まる時に羽を立てているところから名付けられています。
しかし、絶対に立てているわけではなく、日光浴をするように羽根を広げることもありますし、ミスジチョウの仲間では広げて止まることのほうが多かったりもします。
台湾では「蛺蝶」という漢字が使われます。
タテハチョウの種類
タテハチョウの仲間は日本では約100種類ほどが生息していて、世界では6,000種ほどが知られる大きなグループです。
タテハチョウの仲間もいくつかのグループに分けられていて「亜科」と呼びますが10のグループがあります。
- タテハチョウ亜科(アカタテハ、ヒョウモンモドキ、コノハチョウ、メスアカムラサキ、タテハモドキなど)
- ドクチョウ亜科(ヒョウモンチョウ、タイワンキマダラなど)
- イチモンジチョウ亜科(ミスジチョウ、カバタテハ、イシガケチョウ、スミナガシなど)
- フタオチョウ亜科(フタオチョウ)
- コムラサキ亜科(コムラサキ、オオムラサキ、ゴマダラチョウなど)
- ジャノメチョウ亜科(ジャノメチョウ、ヒカゲチョウ、クロコノマチョウなど)
- モルフォチョウ亜科(日本にはいない)
- クビワチョウ亜科(日本にはいない)
- マダラチョウ亜科(アサギマダラ、カバマダラ、オオゴマダラなど)
- テングチョウ亜科(テングチョウ)
種数も多いため生態や特徴も色んなものがいます。多くは羽を閉じた時に枯れ葉や木の模様などに似ていて擬態がすごかったりするのですが、羽を広げた時の模様は派手だったりします。
海外のチョウですが、モルフォチョウなどは羽を広げた時の輝く羽が美しく、その構造を科学的に再現することで新素材の開発がされたりもしています。
このサイトでは、名前などでもわかりやすいグループでタテハチョウの仲間全般にプラスして「マダラチョウの仲間」「ヒョウモンチョウの仲間」「イチモンジチョウの仲間」「ジャノメチョウの仲間」を上のギャラリーで分けています。
マダラチョウの特徴
名前にマダラとつくものが多いです。南国の方に生息しているものが多く、幼虫の時に毒の成分を含む植物を食べることから体内に毒を持っているものが多いです。そのために、見た目もタテハチョウの仲間の中ではかなり派手な警告色となっているものがたくさんいます。
ヒョウモンチョウの特徴
マダラチョウと同じように幼虫の時から毒成分を蓄える種類が多いですが、日本では毒を持っているものはそんなに多くありません。
羽の模様もヒョウ柄のように派手になっていますが、ツマグロヒョウモンのメスなどは毒を持つカバマダラに擬態していると言われています。
タテハチョウの仲間の中では、ドクチョウ亜科の分類に含まれています。
イチモンジチョウの特徴
羽に入る模様が横一文字であったり、三本線などになっているチョウです。止まる時にも羽を広げて止まるものが多い種類です。
スジ模様の特徴が顕著なものをギャラリーで分けているだけなので「イチモンジチョウ亜科」をわけているわけではありません。
ジャノメチョウの特徴
蛇の目(ジャノメ)模様が特徴のものを入れています。大きな蛇の目模様から小さなものまで様々です。
色彩が地味なので、ガの仲間と勘違いする人も多いようです。
国蝶と呼ばれるオオムラサキ
国蝶と呼ばれる「オオムラサキ」はタテハチョウの仲間です。日本昆虫学会が選定したもので1956年に切手のデザインに採用されたことで選抜されました。
国で決めたものではないですが、今では国蝶として一般的にも認知されています。
青いタテハチョウ
青い色をしたタテハチョウの仲間を考えてみると「リュウキュウアサギマダラ」などがいます。南西諸島に生息し、似た種類も何種類かいますが、その青い羽はとても美しいです。昆虫館などでもよく飼育されています。
ツマムラサキマダラも青い模様が羽を広げると少し見えます。深い青色をしていて綺麗です。
名前にも青い色が印象的に入ったタテハチョウの仲間もいます。
「ルリタテハ」と言って、羽を閉じると地味な模様なのですが、羽根を広げると渋い青色が印象的な種類の蝶です。
茶色いタテハチョウ
全体的に茶色い種類が多いグループですが、その中でも印象深いのは「コノハチョウ」でしょう。
羽根を広げると派手な模様を見せてくれますが、一番の特徴は羽を閉じた時の模様が木の葉にそっくりなのです。
タテハチョウの幼虫に毒はある?
タテハチョウの仲間には毒を持つものがいます。それは幼虫の時に食べる食草に毒成分が入っているためで、その毒成分を持って成長するので、鳥などが食べるのを嫌がるのです。
例えばオオゴマダラの幼虫はホウライカガミを幼虫の時に食べていますが、ホウライカガミは人が触ってもかぶれるような毒成分を持っています。
それを体内に溜め込んでいるのです。
だからといって、チョウに触ったときにかぶれたりするようなことはありません。
体内に溜め込んだ毒で、天敵などに食べられないように身を守ることが目的なのです。
タテハチョウの幼虫(イモムシ)
種類が多いので幼虫の形態も様々ですが、トゲトゲやツノのついたイモムシが多いです。
そのタイプは色々あって、毛虫のようなものもいれば、肉質突起が目立つものもいます。しかし、オオムラサキの幼虫のようにトゲはあるけどイモムシ型のようなタイプもいるので一概には言えません。
ツノを持った種類の幼虫もたくさんいて、トゲトゲのついた角を持つものなどもいます。フタオチョウの幼虫などはまるで龍の仮面をつけたようないかついツノがついていますが、ジャノメチョウの幼虫などは小さなツノがまるで猫耳のようになっていて可愛らしい感じになっています。
タテハチョウの蛹(サナギ)
タテハチョウの蛹は「垂蛹型」と呼ばれる形をしています。
これは尾部を葉っぱなどにくっつけてぶら下がるように蛹になるためです。
タテハチョウの成虫の脚は4本!?
タテハチョウの仲間の多くは一見すると脚は4本しかありません。
しかしよく見ると前脚の二本は折りたたまれているだけだとわかります。
花に止まるときなどには使いませんが、前脚には感覚器官が発達しているので、卵を産む食草の確認をするときなどは前脚で触って確認しています。